DEADLOCK
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DEADLOCK

英田サキ

米国の闇と光、懸命に生きる者の真と愛

2023年6月12日
『デッドロック』は2006年9月30日に初版が発行され、2011年3月5日に10刷が発行されている。
『デッドヒート』は2007年2月28日に初版が発行され、2015年11月20日に12刷が発行されている。
『デッドショット』については、電子書籍で購入したので、発行年月日の詳細にについては判らないが、2007年7月ごろには発行されたようだ。
英田サキ先生のこの一連の作品がこれほどまでに人気を博したのは、話の内容自体の面白さに加えて、イラストレーターの高階佑先生の表紙絵と挿絵のイラストの繊細で緻密さに負うところが大きいと思う。他のイラストレーターが表紙を描いていたとしたら、果たして此処まで爆発的に売れただろうか。小説は、全編を通してイラストのイメージで本を読み進めていくので、イラストが読み手に及ぼす影響は多大なものがある。漫画や映画と違って、文字と数枚の絵を基にして、自分だけの想像の世界を創り上げていくのが小説の醍醐味である。しかし、人の好みは千差万別なので、高階佑先生のイラストが好みでない人は、自分の好きなイラストレーターの人物像に変換して読むしかないのだろう。
作家がどんなに物語の設定と人物の設定を巧みに考えて練り上げたとしても、虚構のものなので、人によっては面白みを感じないのはしょうがない。
だが、米国の表と裏の闇の部分をかなり明確に描いているこの作品群は、虚構ではなく、限りなく現実に近いものだと思える。
その闇の中を射す一条の光のような、登場人物たちの友情や、恋や、愛が限りなく愛おしい。
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