こたえてマイ・ドリフター
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こたえてマイ・ドリフター

大島かもめ

どこまでも2人で…

ネタバレ
2023年6月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 信頼のかもめ先生!
新たな傑作誕生です。

楽しいBLではありません。愛はある、でも辛く悲しい。それでも、愛が残る。そんな物語。

禁酒法時代のアメリカ、アッパーミドルクラスのエリオットと経営者のロバート。一目でひかれて関係を持つ。この辺りの流し目での誘い方とか、指の触り方とか、心憎いです。たまらん。

2人は幼い頃からの想い人だけれど、片や裕福な家庭、片や移民の混血の底辺。再び巡り会うまでにロバートは犯罪に手を染めながら生きてきた。2人の幸せな日々は長くは続かない。

禁酒法時代、世界大恐慌などの時代背景が見事に織り込まれて、2人の仲を裂いていく。想うがゆえに、裏切り、突き放す。

それでも、切れない絆。
ラストシーン。決して美しい部屋じゃない。
でも、小さな望みが叶えられた部屋。

切ない、幸せです。
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