このレビューはネタバレを含みます▼
初読み作者様でしたが、これは予想以上の当たりでした。多分、表紙で損してます。中の絵の方がスッキリしてて綺麗です。
主人公の佐々木が、見た目ヤンキーなのに、中身ピュアなオカンDK。気持ちダダ漏れなのに強がってて可愛い!
そんな佐々木が、思いを寄せるのが、寡黙なヤンキー、藤川。この藤川が、実は前作のメインCPの1人に片想いしてて。片想いしている奴へ片想いする佐々木の言葉とは裏腹な切ない関係から、お互いが言葉には出さない感情に気付く関係に転じていく様子が、巧みなコマ割りとテンポの良い会話で展開されます。上手いなぁ思ったのが、佐々木が藤川に告白するシーン。告白を受けた藤川の言葉だけを聞いて後悔して佐々木が駆け出すとき、藤川の顔は隠れてる。その後2人が向き合って話すシーンでは藤川の表情が描かれて…と映画のカットのような絶妙さが素晴らしい。終始、言葉と食い違う本心。それを2人だけが察知したり、すれ違ったり…というのが、場面毎に効果的に使われてて、作品作りのセンスを感じます。
途中、藤川が言いたいことを飲み込んでしまう寡黙な性格になった理由が生い立ちから描かれ、感情豊かな佐々木と過ごすうちに、変化し成長していくのも、エモい。大人っぽかったり、子供っぽくなったりしつつ、カッコ良くなっていく藤川の多面性に翻弄され、「君、ホントに高校生か?」とツッコミたくなる、饒舌になった時の藤川の言葉使い…藤川が見せる、ムッツリなのか、スパダリなのか、オヤジなのか、よー分からん魅力に当てられて、不覚にも佐々木と一緒に、ドキドキしてしまいましたー!!もー、心臓持たない…。
さらに、描き下ろしが秀逸!今まで、結構BL読んできたけど、このネタは初めて!まさか、かき氷食べに行くシーンにHネタがあったとは!!という大爆笑必至のオチが最高。
ギャップと切なさと萌えと笑いがギュッと詰まった1冊。
*スピン元未読で大丈夫です。