このレビューはネタバレを含みます▼
良いですね、穏やかな日々。姫宮の賢く素直に育っている様を確認でき、アノ雪哉が姫宮の前では慈しみの気持ちを十分に堪能できている…。良かった。修羅の生き方を選ばざるを得ない雪哉でも、平和な時間があったのね…とか言えたのは、前半のみ。そこからの転調っぷりが怒涛です。辛い!けど、止まらない!!!
いつメン達の、コレまでの楽しかった時間や思い出が、全て音を立てて崩れていく様をまざまざと見せつけられる事になるなんて…。第一部までの6冊では思いもよりませんでした。辛い。ストーリー的には、シリーズ作品の中で、一番辛かったです。大好きな人達が死んでゆき、その出来事が残った者達に不協和音をもたらし…それでもより良い未来の為に選択しなければならない。苦しい状況がまざまざと…。
しかし、その分ストーリーから目が離せず、手に汗握り、ページをめくる手を止められないのも、また事実。怒涛のストーリー展開はコレまでのシリーズ作の中でもピカイチで“面白い”ハズなのに、やはり苦しさが前面に出てしまうのは、コレからの展開が暗雲立ち込めること間違いないハズだし、雪哉の行末が、前作『楽園の』で出てくる雪哉に続くかと思うと、苦しさ以外の何者でも無く…。読者としては続きの展開、早よ!!!です。
前半の雪哉と姫宮の蜜月な描写は、今後の展開との対比となるのかなぁ、と予想してますが、どうか雪哉には“自分の幸せ”に“大好きな人達との未来”も入れておいて欲しいと願うばかり。姫宮が金烏になる為には自分が切り捨てられれば良い、みたいな選択は絶対にしてほしくない…のに、しちゃいそう。てか、そこまでが奈月彦の思惑のように思えてならないのよ。。。
愛情深いのに合理的な政治的判断ができる男は、孤独で悲しさを抱えながら、そう言うのを見せようともしないだろうから、結果アノ博陸侯になっちゃうんだろうなぁ。姫宮陣営との対立のお膳立てが揃ってしまった感…くぅ〜!
八咫烏シリーズ、ここまで続けて読みましたが、1冊目の『単は…』だけが浮いてる感じ(だって“雪哉”としての活躍がほぼ見えない形でしか登場してないし)が拭え切れてませんでしたが、ダイレクトに繋がっていたのはこの巻だったのですね…。『単は…』は、雪哉が出てなくても重要でした。
あーーー!私も叫びたい!!!