このレビューはネタバレを含みます▼
BLでこんなに切ない作品に出会った事がないと思えました。紙のコミック本が初読みでした。
サッカー部のエースの稜とクラスでは存在感無しの陽平。
出会いは高3の暑い日。友達が居ない陽平は図書室で1人暇を潰す毎日(もうこの時点で泣きそう…)。そこへ稜がボールを蹴りガラスが割れて運悪く陽平が居た。その時から2人は行動を共にする事が多くなるが、稜はサッカー部のエースでどうやら女たらし?で性格も明るく人気者かつお調子者。かたや陽平はその逆だけど、どうも出会いから稜の方が陽平に一目惚れに近い感覚。
それまでお互いはゲイでもないようだったが、2人のその出会いが運命だったみたいで、読んでいくにつれて「スゴい出会いだなぁ」と思いました。
2人が部室でキスをしていた様子を隠れて見ていた人物により学校にバラされてしまう。
稜はその出来事で奇しくも上り調子だった人生が断たれてしまうが、その事で2人は離れられない関係となりまたその事でお互いに苦悩してしまう。
とにかくこの物語は稜と陽平の関係がとても素敵でした。
一見するとチャラい稜は陽平と出会った事でガラリと変わりましたね。そして陽平の生い立ちももの凄く可哀想でした。お互いが唯一無二の存在で、もう一心同体のよう。
物語の中で親しくなりたて位の時に稜が日陰が無い屋上で寝ていた時に陽平が側で稜を見ていると、稜が寝ながら暑そうにしていたら陽平が黙って自分が盾になって遮光したり、その時陽平は(複雑な家庭状況)でお弁当もお金も無くてお腹がグーグーと鳴ってしまい、稜がパンを買って来たくだりのストーリーでも泣けました。(陽平の家のお金の事情もだけど、稜の優しさ!!)。
そして2人が社会人になっても一緒に居るがその理由も複雑だったけど、結果的に稜の方が陽平を一途に大切にしていて出会った頃から現在まで稜は陽平を守っていたんですね。稜は社会人になってもモテ男だけど陽平を一途に溺愛していて感動的でした。
大好きだったおじいちゃんと小さい頃に初めて夏祭りに連れて行ってもらったシーンでの、綿あめのくだりも陽平が可哀想過ぎて(泣)。
この作品はエッチな場面は二の次で、ストーリーがとても感動的で素晴らしかった。何度も読み返しては泣けます。
これが作者さんの初コミックとは信じられない。
電子書籍も良いけれどコミック本は永久保存です!。