うみべの女の子
」のレビュー

うみべの女の子

浅野いにお

長い人生の一瞬の出来事なのに…

ネタバレ
2023年6月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 浅野先生の作品の中でもダントツ苦しめられる作品です。こんな14歳っているのか?と疑いたくなるほど部外者が見たら現実味がないのかもしれないけれど、そんな浅はかな考え方を持っていたら絶対野暮で、自分がどの年齢にあったとしても、その時自分に起きている出来事はその時の自分に一番の影響を与えているわけで。自分の置かれている状況や、自然と持ってしまう感情にも、抗えないからどこまでも苦しいわけで。俯瞰して見たら、長い人生のたった一瞬の出来事に過ぎないのに、その時の自分、そしてその後の自分に多かれ少なかれ影響を及ぼすわけで。苦しみの最中にいる当時の自分は死にたいほど苦悩していただろうし、数年後の自分だって未練や後悔、寂しさでまた思い悩むかもれない。だからなんだ?と言われたら、別になんでもないけど、と返すことしかできないかもしれないけど。それでも、長い人生の一瞬の出来事でも、危うく脆く儚いその一瞬に自分が見出した何かはきっと尊いし忘れられないし、思い出すときっと涙が出てきてしまうだろうな、、と、磯部と小梅に全く関係ない自分を投影して共鳴して、苦しくなっている自分自身がいるんだから、この作品は本当にすごいと思う。
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