ロイヤル・シークレット
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ロイヤル・シークレット

ライラ・ペース/一瀬麻利/yoco

次代の国王と共に新時代の王室を見てるよう

2023年6月30日
初めて海外作家さんの作品を読んで、何とも言えない読後感の中にいます。読むのに普段の4倍の時間がかかった事もあり(質・量ともに)これは「ライトノベル」という括りではない気がします…英国王室という設定がそうさせるのか、翻訳ものというそもそもの文化の違いがそうさせるのか、その両方と他の要素もあるでしょうけど、雰囲気から何から未知のもので新しい扉が開けた心地です。

どなたかも仰っていますが、まるで外国映画を見ているような感じでテンポよく会話も事態も進みます。感情的な衝突は殆どなく、会話も行動も優雅で上品だし、相手をやり込める時にも常に正攻法で、人としての徳を感じさせるものでした。特にジェイムスの中には「ノブレスオブリージュ」の精神が深く根付いていて、次代の国王に相応しい人物だなと思いました。

これは人によると思いますけど、外国文化等に馴染みが薄いと会話や行動の意味する所がいまいち掴めず、波に乗り切れない部分がある気がしました。私は、その乗り切れないタイプだった訳ですが…一番大きいのが「固有名詞」の分からなさで、歌手や俳優などの人名からフラット(アパートやマンション)など日本と同じものでも呼び名が違うものが沢山あって、調べながらなので読むスピードが上がりにくかったです。次がジョークですね…日本のなら微妙ではあるけど若者ジョークにも何とかついていけると思うのに、外国のジョークは分からないものが結構ありました。

現代の王室という華やかな世界の光と影、そこに恋愛(しかもBL)を絡ませるという大がかりな舞台演出に、大作を読み切った感がありました。
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