海自とおかん
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海自とおかん

上田美和

これを男性たちに読まれたら

ネタバレ
2023年7月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 同じ女として、いつまでもピュアな気持ちは持ち続けていたいし、独身ならどんな若い子に現実世界でときめいても自由だと思います。ただ、まあこれだけ理想が詰まっていると、どこか読み進めるのが気恥ずかしくなってくるんですよね。

主人公は努力家のシングルマザーで、子どもふたりを育てあげたことは尊敬の対象となるし、ひと息ついたところで、恋愛を楽しむ権利は十分にあると思う。

でも、大金持ちのマダムが年間数百万をかけても、ここまでにはならないでしょうという、国内トップ女優なみの美しさと若さの描写が、ちょっとありえないと、冷めてしまいます。

まれに、生来の美しさを備え持つ人というのは存在しますが、10代から子育てをしてきた30代半ばの女性にこの美貌では、ファンタジーが過ぎるというもの。どんなに美人でも、多少は年齢に合わせた描写がありますが、もうお肌つるつるのツヤツヤで、10代のようなみずみずしさには、さすがに違和感があります。

そして、相手となる男性は、ほかの人も書かれているように、超絶イケメン優良物件で娘の同級生という設定は、ちょっと女の夢を詰め込みすぎなんじゃないかと思う。

これ、もし男女が逆の設定で、シングルファーザーが息子の同級生の女の子と付き合い出すという作品があったら、女性としてはどう感じるか。

偶然に立ち寄った場所で、超絶エリートで読モなんて相手にもならない美貌をほこる相手側から求愛されて、自分もまた10代後半のような筋肉質の体で精悍さと甘さを併せ持つマスクである、なんて設定だったら、どうなんだろう。

たぶん、ありえない、キモキモ、これを男たちは支持しているの?バ〇じゃないの?大合唱になるのでは。

女が、ファンタジーの世界で、ありえない夢をかなえる主人公を見て疑似体験をするのは、素敵なことだと思います。

でも、この作品を好きというなら、男性向け作品で「アラフォーのシンパパが、子どもの同級生の超美少女から求愛されて、なんでもしてもらえて、遅れてきた青春を楽しむ」といったものがあったとしても、あたかたく、上からではなく、同じ立場の読者として、認め合うことが必要だなと思いました。
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