見た目や種族の違いではなく心の大切さ

魔族と人間との掟で異形の眷属に生贄として捧げられた少女とその異形の王が心を通わせるお話。
ファンタジーの世界ではありがちな人外モノですが、設定や世界線、キャラ作りや心を通わせる過程など全てがとても丁寧に作り込まれています。心優しいおーさまと心強きサリフィ。立場が違えど、二人とも傷ついてきた過去があるからこそ、弱き者の気持ちを汲み取って行動に映す姿勢が素晴らしいと思いました。特にサリフィは、ある意味捨て身だからこそ、自分の信念を貫こうとする気持ちが真っすぐです。その真っ直ぐな想いが周囲の人々の心に響き、どんどんと仲間を増やしていく過程は彼女の魅力を雄弁に語っていると思います。
また、おーさまの秘密の謎も緻密に設定されていて、親の代から続く長きに渡る因縁が最後の最後でクリアに解決され、物語としても非常にいい大団円だったと思います。そして、最後まで読むと、サリフィ程妃に相応しい人はいないし、おーさまもサリフィが隣にいればこそ、より王様らしくなるなぁと思いました。
そして、とにかく言いたいのがキャラの可愛さです。魔族ということで様々な動物が人外として登場しますが、どのキャラもカッコいいし、可愛いし、愛くるしいです。色々な動物の魅力をこんなにも見事に漫画に落とし込む作者様の力量は凄いと思います。ぜひ、このファンタジーの世界にどっぷりと浸かってほしいです。