このレビューはネタバレを含みます▼
表紙含めて作品の雰囲気がすごく良かったです。
ひと夏の思い出とトラウマ。小学生の頃に住んでいた田舎町。秘密基地の廃屋。主人公だけの秘密の友だち。初恋の人。
夢に見る風景とか、夏の蒸し暑さとか、虫の声とか、本当に良い雰囲気と間合いでした。中盤までは。
真実が分かってから(初恋の人を覚えている友人に会ってから)の展開が駆け足気味で、説明的。情緒が一気に失われてしまい残念でした。
真相についても肩透かしを食らってしまった気分です。
漫画の雰囲気と、中盤まで思い出の中にだけ存在した初恋の人、この状況にちょっと考え過ぎてしまいました。
ある意味ミスリードにハマったというか、騙された気分ですが、ガッカリ感は否めません。
拍子抜けはしましたが、酷い展開とまでは思いません。
ただ、まるで全て丸く納まったハッピーエンドのような展開だったせいで、幻覚見たり、ぶっ倒れたり、トラウマを植え付けられた主人公が本当に哀れでした。いや、どう足掻いてもトラウマはトラウマですが。中学生の逃避行セッ久の犠牲になったの? そんなことの為に? っていう虚しさが……。
お兄ちゃん、見られたことに気が付いていたなら、ちゃんとフォローしてから帰って欲しかった。中学生だから仕方ないかもしれないけれども。主人公の顔が弟と重なったなら尚更、いきなり居なくなるようなことはしないで欲しかった。
そして後輩、告白の返事を先延ばしされたまま主人公の初恋の人探しに付き合わされて可哀想。
それを加味しても、先輩に真実を話した時の「最初から何もなかったんだよ」が無神経で可哀想(主人公が)で良かった。
ただ、真実語り始めた辺りから後輩が完全に説明係だったので悪い意味で微妙な気持ちになりました。
とはいえ、雰囲気がすごく好きだった。冒頭から中盤にかけての不思議な不気味さ。本当に好きです。
無理にエロにページを割かなかった事も評価したいです。
それでも終盤は説明的だと感じたので、結末はそのままでも、もっと尺を使って間合いとか情緒を保って進んでくれたら良かったのになぁと思いました。