蛍火艶夜 単話版
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蛍火艶夜 単話版

amase

切なくて、どうしようもなく愛おしい

ネタバレ
2023年7月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 本当に素晴らしい作品です。初めてレビュー書いてまで多くの人にオススメしたいと思えました。
戦時中の内容で最初は少し驚きましたが、読んでみると切なさ、もどかしさ、どうしようもないくらいの愛おしさが詰まっていて、心を鷲掴みにされました笑
特攻直前に、タロちゃんが言葉を詰まらせる姿を見る和さんの表情が堪らなく切ない。
そして一度は拒んだキスを自分から…。感動しました。和さんの部屋に行けばよかったのに、夜通し整備をしたタロちゃんの気持ちは、最早愛なんじゃないかと思ってます。
そして志津摩と八木さん編。好きと漏れ出てしまうシーンが大好き。そのシーン直前から、八木さんが初めて「田中」じゃなくて「志津摩」と呼び始める。からの志津摩の「すき」なのがたぎる。戦争が終われば終わる関係(志津摩の決めつけ?)、過去のトラウマ、同性愛が受け入れられていない時代背景…色々な気持ちが入り混じり、自分に素直になることができない。八木さんの気持ちを一方的に決めつけて、一線を引いてしまう気持ちが、何とももどかしく、切ない。側に行って励ましたくなるよ…。
途中、八木さんは上官に志津摩と変な関係と思われたことで、志津摩に怒りをぶつける。「お前と妙な関係だなんて、気色悪い軟弱者だと思われたじゃないか」の言葉に、志津摩はどれ程傷ついただろう。そして「お前の匂いを嗅ぎながら征きたい。」という言葉が、どれ程嬉しかっただろうか。最後には志津摩と襟巻きを交換し、「せっけんの匂い」ではなく、「ん、お前の匂いだ…」というシーンから、八木さんにしっかり刻まれた志津摩への愛を感じられる。
読み込むほどに気づくことがあり、そこがとても面白い。
また、所々志津摩の表情から魔性の香りを感じる。「浅ましいのは自分」発言もあり、自分の解釈が覆される気もして、今後の展開が待ち遠しい。
この作品をきっかけに、今この時代について改めて深めなおしています。どうかこれからも続きを堂々と描いて描いて描き切って下さい。贅沢を言えば、たくさん読みたいです。1000ページでも2000ページでも、何ページでも読みます!!よろしくお願いします!!
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