このレビューはネタバレを含みます▼
「4月の東京は…」「東京-四季-」に続くシリーズ3作目、前作で唯一曖昧なままだった神宮寺×恭平のその後。親からの過剰な重圧に潰れかけ、屈辱と快楽に塗れながら神宮寺の手を借り医大に合格したと同時に神宮寺を切り捨てた恭平。神宮寺の凄まじい執着、恭平の危うさ、恭平に忍び寄る不穏な気配。久々に「4月の〜」からきっちり読み返して(また泣いた)、じっくり読もうと思っていたのに、最後まで気の抜けない展開で緊迫感があってあっという間に読み終わってしまいました。作者さんの言葉からして、おそらくこれがシリーズ最終巻…はあ〜よかった。親に傷付けられても時に間違っても、自分の手で未来を掴み取ろうと足掻く彼らがやりきれなく、懸命さに胸打たれた。一人じゃ立っていられなくても、二人なら。逞しく成長して前を向いて進む彼らみんな、幸せになって欲しい。一度切れた縁が再び繋がる涙の瞬間はおあずけだけど、幸せな予感しかなく、にくい終わり方。すべてが最高でした。読めてよかった。