このレビューはネタバレを含みます▼
DEADLOCK番外編は、2007年から2019年の13年もの長きにわたり、販促物などで発表されたものを時系列に従って3冊の本に纏めたものです。
DEADLOCKと同じ高階佑先生のイラストなのですが、口絵は発表時の緻密で繊細な素敵なイラストのものが採用されていて満足がいくものですが、表紙が購入をためらってしまうような魅力があまり感じられないものでした。
その為に、3冊目を買っていませんでした。私は、紙本で読むのが好きなのと、気に入った表紙の本だけを手元に残しておくので、既に、1冊目と2冊目を手放してしまっています。
今回、電子書籍で購入するために、3冊目を買って読み、加えて、手放した1,2冊目も買って読んでみました。
DEADLOCK本編やDEADLOCK外伝やSEASON2の違う側面からの話が興味深く読めて楽しかったです。
二点ほど、ディックのネイサンに対する接し方の設定が本編を台無しにするものだったのが残念です。
それは、『遠い夜明け』の中で、〈無意識のうちに発散していた殺気を解いた〉という箇所と、〈去っていく後ろ姿を見送りながら、ネイサンの背中に見えないナイフを深々と突き立てた〉〈親しく笑いかけながら、何度あの首を絞めただろう?〉という箇所です。
敏いネイサンに対しては、何時いかなる時も、決して己の内なる殺気は見せずに2年もの間、己を律してきたディックのはずです。これでは、直ぐに、ネイサンに気づかれて、今迄の苦労が水の泡になってしまいます。
少し考えればわかるような、安易な誤りはともすれば犯してしまいがちですが、プロなればこそ、決して犯してはならない誤りもあるということになります。