東京-臨界点-
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東京-臨界点-

ハル

心に刺さる、最後は読者へのプレゼント

ネタバレ
2023年7月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 4月の東京シリーズ、蓮の兄、恭平のお話。相変わらず早乙女家は愛がない。登場人物みんながイッちゃってる人ばかりて救いがないかと心配になったけど、雉間君のお父さんや結人の小学校の担任の先生とか、ちゃんと大人でそれぞれの立場で雉間息子や結人を護ろうとしてくれて安心した。そして恭平が弟の蓮をずっと思っててくれたのがじんわり嬉しかったです。兄弟が再会するのも時間の問題かと。描き下ろしの最後は読者へのプレゼント、涙涙です。ありがとうございます。臨界点という発想が何のことかなって思ったけと両親や結人、受験、など恭平を取り巻く環境からのいろんな我慢なんだね。恭平の繊細でぎりぎり理性で自分を保つところ、結人の破壊的てサイコなところ、早乙女両親の肩書きと世間体なところ、雉間息子の自己中で見栄っ張りさ、雉間父や担任の愛情、諸々、登場人物の構成、ストーリー展開が巧みで、引き込まれます。4月の東京もすごい展開でしたけど、こちらも負けてません。でも苦しんだ主人公達が幸せでラストは読みながら音楽が流れてるみたいな感覚で映画を観てるようでした。良作な物語では自分の場合、エピローグに向けて音楽が流れる感覚があります。これで完結なのね、完結しないでほしい。この後の展開もあるといいなと望むのは読者の欲張りでしょうか、でも期待せずにはいられない。それほどこのシリーズは心に刺さる。恭平の早乙女家と病院乗っ取りや、蓮と和真との再会とか、早乙女両親の反省とか、まだネタはあるはず。矢島さんと博道と三つ子ちゃんとの絡みももっと読みたい。それぞれが繋がって登場してほしいな。読んでて心が痛くなることもあったけど、引き込まれて集中したし、蓮と和真にも会え、満足な読後感を味わえました。
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