銀の鎮魂歌
」のレビュー

銀の鎮魂歌

吉原理恵子/yoco

幻影に囚われて

ネタバレ
2023年7月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ ハピエン主義なので読む前から悲しい結末だと分かる作品は買わないのですが…。あらすじやレビューでどうも気になりセール中というのもあって購入。近年のBLとは展開が異なりどこまでも受けのキラに厳しい物語でした。元凶でもあるイリスは確かに非があったのでしょうが、最初から最後まで悲壮感に溢れて憐れに思えてしまいます。攻めのルシアンは良くも悪くも苛烈です。可愛さ余って憎さ百倍とは言いますが、キラに裏切られたと勘違いしてからの言動が辛辣極まりないです。キラのいる田舎町にまで来て責め立てる所はしつこい…と思ってしまった笑 後半、イリスの手紙でキラは実は冤罪で尚且つ先が長くないと知ったルシアンは自室で荒れに荒れますが、その時の心境や如何に。ここで1度おかしくなってるんでしょうね。そして療養の為に馬に乗って離宮に行くシーン。終わりまでまだ30Pもあるのに、これが最期の対面となるなんて早いんじゃないでしょうか…。
ルシアンの結婚式の日に儚くなってしまったキラはナイアスの花吹雪が見れたのがせめてもの救いでしたね。ストーリーのラストで、あたかもキラが居るかの様に振る舞うルシアン。これからもずっと一緒に幻のキラと仲睦まじく過ごすのだと思うとメリバ的な締めくくりに感じました。そしてルシアンの妻になったマイラ。結婚も済み幸せな生活を疑っていませんが、果たしてその幸福感はいつまで続くことでしょう。彼女はルシアン達の過去を知らないし、キラに嫌がらせをした訳でも無いのでBL特有のイヤな女性キャラではありません。が、(例えば閨で)ルシアンが幻のキラに睦言囁いたりとかしちゃいそうだなぁとか妄想してしまうのはハピエン主義故なんでしょうか…。肝心の世継ぎ問題に不安が拭えない終わり方に思えて仕方ないんですよね。
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