独特な雰囲気で描かれる恋人探し





2023年7月17日
転倒事故により、記憶の一部、3人の人物に関することを失ってしまった受け。この3人の誰かが自分の恋人かもしれない・・・という、なかなか面白い話でした。この作者さんの独特なテンポと内容がよくあい、受けの不安定さや、心細さ、繊細さがとても引き出されていました。また、受け目線だからか、恋人候補達が妙に怪しく見えるのですが、全てが明らかになった後は、各々が親しみやすいキャラクターに見え、受け自身も中核を取り戻したからか不安定さが消えており、受けの気持ちの変化がよく伝わってきました。全ての作品を読んでないのですが、作者さんは、しっかり説明するタイプというよりかは、想像してね、と読者に投げかけるタイプのように感じます。そのため、2人が恋人になった細かい事情や流れや、恋人が名乗り出なかった理由の明確な表現はありません。そこに、すっきりしない人はいるかもですが、最低限の描写はあるので、きっとこうだろうなぁと想像出来て楽しかったです。こういう内容なので、自分の推しと恋人ではなかったと残念に思う方もいるかと思いますが、(私もです笑)作品として面白かったです。最後の方で、恋人が、受けは男の庇護欲を掻き立てるという台詞があるのですが、本当に同意します笑 自分の決めた推し以外とはくっついてほしくない思いが強い方でなければ、ぜひ読んでみてください。

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