あした死ぬには、
」のレビュー

あした死ぬには、

雁須磨子

生きる、とは

ネタバレ
2023年7月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 生きるとは、こういうことなんだなぁと感じた作品でした。

主人公の本奈さんは朝の連続ドラマのような、みんなから愛される可愛いらしい女性ではないのですが、こういう人居るよね!と感じるキャラクターでした。

それは主人公の本奈さんだけではなく、彼女が勤務する職場の人達や友人、家族にもいえることで、読んでいてちょっと不快な気持ちになったりもするし、心配になったり応援もしたくなる人達ばかりでした。

関係性や出来事においては「はい、終わり!めでたし、めでたし!」というスッキリ感はなく起承転結がハッキリしていないあたりが、ほんと現実の人生と重なり妙に生々しかったです。

最終巻の4巻ではガン宣告の有岡さんの痩せた姿に涙したし3巻での死を覚悟した彼のスッキリした部屋のシーンにもぐっとくるものがありました。

主人公の本奈さんは学生時代に「55くらいで死にたい」と言っていたんだけど自分自身「寿命は50才くらいでいいのになぁ」と思ってるので、野崎さんの「できたら100歳くらいまで生きたいな」発言は例えそれが若さ爆発中の学生時代のものではあっても羨ましくも感じました。

読んで元気が出る作品ではありませんが(むしろちょっと落ち込むかなぁ)人生とは、年を重ねるとは、こういうことなんだよなぁと感じることができました。私は読んで良かったです。

(1巻→162ページ)
(2巻→163ページ
(3巻→162ページ)
(4巻→162ページ)
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