ぼっちのお作法
」のレビュー

ぼっちのお作法

セキモリ

ふたりでいる契約ってそれもう結婚じゃんね

ネタバレ
2023年7月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 189ページ。
拗らせぼっちの幅岸と、真性ぼっちの葛谷。
ストーリーが等身大な感じなのが個人的なフィクションの趣味から外れるため及ばずの星4つですが、かなり好きな作品です。
この作者さん、『恋心の果てない理屈』でも思ったんですが、いわゆる発達障碍タイプ(今作では葛谷)を描くのがすごく上手い。身近に居るんですかね。どうしても「変わり者」として揶揄がちだったり上から目線だったりに扱われやすいキャラクターを、非常にフラットに「こういう人も居る」というスタンスで描いていて、変に誇張もせず改心させようともせず、めっちゃ安心して読めます。やりとりのすれ違い方も、ああ〜〜〜わっかるぅ〜〜〜ってなりますね。「契約」に対しての二人の差、わかるううう〜〜。
自分の気持ちに鈍くて、相手の気持ちにも鈍くて、鈍いから理屈に頼るけどそれだとなかなか対人関係はうまくいかない。でも決して相手を傷付けたいわけはないから一人で居ることを選んで、それでもずっと一人だけで居たいわけじゃない。そんな葛谷のようなタイプを認めて等身大に扱ってくれる相手が居る、それは私にとって希望の物語でもあるのです。
幅岸の10年間の片思い相手だった草間とのエピソードも良かったです。草間のことを明確に「嫌い」と言う葛谷から、幅岸を大事にしている気持ちがあふれていて微笑ましかった。
そして、葛谷とのことを草間に相談している幅岸にハリセンかましたくなりました。葛谷は草間のこと嫌いだっつってんだろ!
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!