名作なのに、なんでレビュー数が少ないんだ





2023年7月23日
上巻244P、下巻346Pと読み応えあり。人の肉を〇して食べる表現があるので、グロいの苦手な方は気を付けて下さい。エロはチラホラ。いつもはエロが多いと嬉しい私でも、そこはメインとなりえないほどストーリーに惹き込まれた。トラブルに巻き込まれて亡くなった教員と、それを生き返らせた頭のいかれた科学者。最初は、教員が切り刻まれたり実験対象として扱われたので、単に科学者が功名の道具にしたいのだと思った。しかし、下巻から怒涛の展開。こんな悲しい物語だとは思いもしなかった。人に対して刺々しくて、融通が利かなくて、頭でっかちな科学者。反対に言えば、こだわりが強くて必死に自分を守るしかできず、素直に自分の気持ちを認めたり表現ができない、単に不器用な人。そんな彼が、心のどこかで羨望し続けた一筋の光を手に入れるために更なる苦しみを背負うことになる。恋なんて不要だと言っていた彼が、ようやく「好きだ、愛してる」と口にできた瞬間に落涙。また、下巻の最後の床しか見えないシーンが約6P続く。床と足しか見えないのに、科学者の焦り、悲しみ、絶望が手に取るように描かれている。この6Pで心を鷲掴みにされた。二人が作る「新たな世界」が見たかった。メスなのに「モン吉」と名付けられた猿もいい味出している。BL枠だけど、多くの人に読んで貰いたい。

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