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今月(9月1日~9月30日)

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シーモア島
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投稿レビュー
  • 悩める小説家のための怪異デート

    海野幸/街子マドカ

    前巻とは違う怖さで面白い!
    ネタバレ
    2026年9月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ じわじわと肌が粟立つような怖さは若干少なめ。
    前巻で怪異夢子を食い腹に飼うこととなった友春と御影が、取材旅行先や新居探し中に遭遇する怪異のお話。

    ちょっとした違和感から徐々にズレていく世界。
    文字と声、どちらも生活の中に紛れる怪異で身近なだけに、実際に起こりそうな、地味に不安になる怖さだった。

    今回夢子はおとなしめ。友春の命に危険があれば、おそらく守ってくれるはず…な安心感は常にある。
    ぐうと鳴く腹の夢子を、はたして信用して良いのか否か。

    歓迎パーティ宴会芸ときて、今回はアパートに住み着く怪異を隣人扱いしていた友春。
    良い子だな。その優しさに御影も救われたんだね。
    触れ合う時の二人は、甘くて官能的でうっとりとしてしまった。いつまでも手を取り合って生きていって欲しい。
    更なる続編を期待します…!
  • 明日は我が身の分水嶺

    亜良々來

    面白すぎて何てこった!
    2026年9月18日
    冒頭から掴みが強すぎる…!

    神官の手で、過ぎた欲を神へお返し???
    なんか大真面目におかしなこと言ってる!!
    しかも絶妙に話がしっかりしてて面白い…
    品まである…聖母のほほえみ……

    神官フルゥト様の神聖で優しげな可愛らしさ。
    護衛兵レイヴンの寡黙で一途な使命感。

    えええ、今なら無料で1巻読めちゃうの!?
    絶対買う!割高でもキュンとするし、面白いから絶対買う!
    はやく2巻買って読みたいなー。
    読みホ民さんはなんと両方読めちゃうの。うらやま!

    1巻P74-75、レイヴン…笑笑

    タイトルいいなー。キャラもいいなー。すごく好き!
    単話の作品も読んでみたい!
  • 良き隣人のための怪異指南

    海野幸/街子マドカ

    とても面白い小説だった…!
    ネタバレ
    2026年9月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 何作か読んだサラリーマンものと、不思議な展開のある話に説得力あって面白かった海野幸先生のホラーBL小説。
    騙された挙句仕事も失い格安物件へ越してきた友春と、隣人で怪異を引きつける体質を持つ小説家御影のお話。

    怪異、BL、そのどちらを主としてみても面白かった。
    情景が浮かぶ描写力に加え徐々に深刻度が増す構成のため、怪異エピソードに説得力があり薄っぺらくならない。
    父親の話には、思わず泣かされた。

    取り巻く怪異が深いものへと変わる頃、二人の絆はより強いものとなっていく。眠ると命に危険をもたらす夢の中の怪異夢子(御影命名)に、二人がどう立ち向かっていくのか。
    ハラハラドキドキにBLが加わり、とても面白かった。
    後半話も、閉鎖感ある展開に息を呑みつつ、御影の魅力も友春の強さもどんどんと増し官能的でクラクラしてくる。
    地下鉄、地下迷宮は怖いよね。一瞬、ここで御影に身を捧げるの!?とあらぬ心配をしてしまった…笑

    解決の方法も伏線も感情の持ち方も、とても好み。
    次巻も購入済みなので、歓迎パーティ、宴会芸ときた友春のツッコミにも続きを期待しちゃう!

    冒頭では、弱いながらも根性はある友春が会社を辞めるに至った理由がじわじわと辛かった。ゲイバレしなくとも、いずれは何かしら嫌な思いをさせてきそうな同僚沼淵。御影に塩を撒かれた時は清々とした。そんな奴には、どんどんしてやれ、ソルトスプラッシュ!(それは違う漫画の必殺技)
  • セカンドキスからはじまる恋

    森野くみち

    良すぎる!!!
    ネタバレ
    2026年9月15日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 前作の「ダメ元の恋では、だめですか?」でも、とっても絵が上手で素敵だった作者さま。今作も更に更にで、試し読みからカッコいいやら艶かしいやら…
    絵が上手すぎる…!白抜きほんっと勿体無い!!
    しかし、パンツは今回も良い…!

    テンション低めで相手を射抜くような眼をする相馬の、なんとまあ顔が良くてカッコいいこと。
    対してフットワーク軽めで調子良くグイグイくる唯翔を、何だかんだ放っておけない優しいとこも良き。
    会社では目立たなくしてて真面目なのも良き。
    首筋のホクロも控えめで良き。
    押しの強い唯翔の誘いに流され、なのに毎回唯翔をガッチリ掴む手の強さも良き!!

    唯翔も押しが強いだけじゃなく、相手のことをちゃんと見てわきまえた行動をすることも引くことも出来る良い子。
    良い子だからこそ、身体の関係から始まった付き合いが変わる瞬間、心が痛くなるような展開があって…

    相馬よ、相馬には唯翔のような、明るく前向きに頑張ってる良い子がお似合いだよ!
    ちゃんと話し合う唯翔は、すごく誠実な、いい相手だと思うよ。

    セカンドキス、すうっっごく良かった!!!

    全265ページ。描き下ろし16ページはモッチーに惚気る唯翔。恋人になった二人が良くて、恋人になった相馬はこうなるんだってのが良くて、これは絶対読んだ方がいい!
    電子描き下ろしは漫画2ページ、四コマ(2本)1ページ。
    カバー裏は初期キャラデザと、してやったりなセクシー唯翔+作者さまのあとがき。前作同様、もしくはそれ以上に記憶に残る、何度も読み返したくなる作品ですとも!

    あっという間に、けれどたっぷりと堪能しました。良かった。大満足。おすすめ!
  • 王様に捧げる千夜一夜

    安西リカ/Ciel

    いつの時代も物語は人を楽しませる
    ネタバレ
    2026年9月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 千夜一夜物語をモチーフにした、王宮勤めの働き者アーシェと後継が出来ない王様ラシードのお話。
    安西先生の作品は殆ど読んでいて、けれどアラビアンなイメージが先生と結び付かず何となく後回しにしていた作品。
    設定が気になる人もいるかも知れませんが、ストーリー上に無理を感じる訳でもなく、読みやすかった!

    物語を作り語るアーシェの描写は軽快なもので、耳を傾け聴き入る人々の姿には終始ワクワク。持ち前の明るさと愛らしさと噺の面白さで、王の妾や王様までをも夢中にしていく。

    隣国の牢で語る場面では、アーシェのそれまでの苦労も相まり涙々。希望を捨てず物語が与える力で苦境を乗り越えようとする姿には、主人公としての強さを見ました。
    いつの時代も物語は人々を楽しませ、時に励まし時に救う。
    とても良い、お話でした。

    子供のような見た目のアーシェと、長年子宝に恵まれない王様ラシード。閨ではどんなものかと思いましたが、これがこれが、なかなかのもの。性を知らないアーシェを寵愛し、いちから教えこんでいく。食われたくなったら言え、と待つのも良かった。

    アーシェの前では王ではなく本来の自分に戻るラシードと、ちょこまか頑張るアーシェが可愛かったです。面白かった!
  • マイリトルインフェルノ 番外編

    朝田ねむい

    ハハハハハッ
    ネタバレ
    2026年8月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 23ページで揺さぶりますねえ…
    仁くんの発言に、大体まーくんと同じ顔して読んでました。
    永遠じゃない、から高笑いまでが最高。
    仁くんが仁くんだからという、絶妙で奇跡的なバランス。
    友達と目え合ってないのもウケる、愛すべき仁くん。
    これからも流されながらガンバッて。

    面白かったです。最高!
  • 24時過ぎのスカーレット・リリィ【単行本版/シーモア限定描き下ろし漫画付き】

    京古

    心に残る恋愛作品
    ネタバレ
    2026年8月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ レビューを読ませていただき購入。初読み作家さま。
    冒頭で何度も「大丈夫」と自分に言い聞かせる葵の、華やかな笑顔の反面、静かに諦めを滲ませた表情が気になって…
    出会えて良かった作品です。ありがとうございます。

    慣れた風に受け入れ振る舞う葵だけれど、辛い人生を歩むΩの生き方は相当に過酷で、全然大丈夫なんかじゃない。
    葵を助けるように現れた晴一郎は、人のために泣ける優しいα。大丈夫か?と声を掛け、向き合う眼差しは常に誠実。

    オメガバースだとドラマチックな運命の〜が見所としてあるけれど、大事なものを同じように大事だと思ってくれる相手との、こんな運命も当然心を打つ。

    親は最悪ですね…

    琴線に触れたようで、再読時は様々なシーンで涙止まらず。
    短い爪に揺れる期待を、贈る花に強い決意を感じまた涙。
    とても心に残る、恋愛映画のような作品でした。
    温かい料理が並ぶ食卓の幸せを、どうかいつまでも二人に。

    描き下ろしは、二人らしい思い合いが素敵なシーン。
    美しいラスト。幸せが眩しい。
  • 復讐のために死に戻ったら囲われ溺愛が始まった

    滝沢晴/猫柳ゆめこ

    あー楽しかった!
    ネタバレ
    2026年8月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 滝沢先生の作品を何作か読ませていただいているのですが、読み終えた最初の感想が毎回コレ。楽しかったー。
    いつも攻めの愛が素敵なの。安心して読める作家さん。
    おすすめレビューもありがたい!

    タイトルで分かっちゃう系ですが、これはもう楽しみでしかなかったです。囲い込み溺愛が始まるその瞬間、待ってました!行けー!ってなもんです。
    しかも2週目だとこれが目頭熱くなるとこで…

    面白い作品は、やっぱりその先も面白い。展開やエピソードで飽きさせないし、いい塩梅で期待させてくる。

    復讐はどれも、ジェレミーの内面を表すような可愛らしいものでした。可哀想なのに天然だから重すぎず、でも押さえて欲しいとこはちゃんと押さえてるから気も逸れない!
    人に優しくカエルに優しく、相手を思い反省もする。毎回作品の道徳観がとても好ましいです。

    好きなシーンは、ストレートな物言いをするジェレミーの「これ僕のと同じ◯◯ですか…?」からの、謝って隠そうとするフェルディナン、凛々しいジェレミーに感心するフェルディナン、醜い欲望を知っても逃げないでと懇願するフェルディナン!しっとりと束を作る金髪は、さぞ色っぽいことでしょう。
    ナタン兄さんとその友人としてのフェルディナン、弟ジェレミー三人のシーンはどれも好き!
    印象に残った言葉は義姉の言葉!なんて素敵な人!
  • 気難しい王子に捧げる寓話

    小中大豆/笠井あゆみ

    寓話が示す戒めと教訓
    ネタバレ
    2026年8月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 小中大豆先生のシリアス・ファンタジー。
    気難しい癇癪持ち王子エセルと腹黒側近オズワルドのお話。
    腐敗した国の政治を絡めた、読み応えのある作品。

    薔薇の聖痕を持つ王と刺草の聖痕を持つ宰相の伝説が伝わる国で、聖痕を持つ王子エセルは暴君へと育ってしまう。
    後に嘘と真実に向き合ったエセルの自責と自戒は痛ましい程のもので、それは彼に王としての覚悟をもたらした。
    壮大で素晴らしい結末を見せた1巻だったので、続きは無いと思っていました。

    めでたしめでたしの後に、彼らがどうやって国政を牛耳る七侯たちと立ち向かい、国を治めていったのか。
    過去の戒めと教訓を忘れず綺麗事だけでは終わらせない、エセルの覚悟を見せた2巻。物語は続き、それがいつしか歴史となっていくのだと強く感じました。
    2巻最後の挿絵は可愛くて賢い義弟エドワードと、未来ある庭師見習いのダフ。新しい世代への眼差しは優しい。

    エセルとオズワルドの関係は、時に甘く時に初々しく。
    また時にオズワルドが過去を反省し、1巻での仕打ちを忘れない私の溜飲がほんの少しだけ下がる。
    オズワルドの黒い部分もチラリと覗き、まだまだこんなもんじゃ無いんだろう?とその期待値も上がった。

    そして各巻の物語を深く温かいものにしているのが、田舎学者マルジンと老師ビリンガムの存在。
    優しい文体で語られた、心に残る、素晴らしい終盤エピソード。これが非常に大きかった。

    仲間を増やしていくエセル達の物語を、まだ読めるのだとしたら楽しみでしかありません。
    続きあるのかな〜と先生のXを見に行ったら笠井あゆみ先生のカバーラフ案が紹介されていて、そこから動けなくなってしまった!え、笠井先生ギャップが…好きです笑笑
  • 兎太と烏堂

    tacocasi

    作者さまの作品、全部面白いし全部好き
    ネタバレ
    2026年8月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 巧みな絵と見せ方で引き込む物語はどのお話も面白く、個性が際立つキャラクターからはそれぞれの魅力が匂い立つ。
    今回の作品も最後まで面白く、魅力的だった。

    旅に出る第四皇子宇斗(うと)に仕えるのは、無骨な護衛・兎太(うだ)と美しく賢い文官・烏堂(うどう)。
    兎太も烏堂もキャラが悶えるほど良いのは勿論のこと、皇子宇斗のキャラがとても良かった。
    皇子にしては風変わり、世の中への好奇心に溢れよく学び、お面でお顔が見えないのに感情が豊かで子供らしい。
    自由な振る舞いをする宇斗だけれど、立場的に抑圧されていたとしても不思議じゃない。なのに常に前向きで視野が広い。生き方の違う従者二人を旅のともに選ぶ彼は、きっと賢い皇子なんだろう。

    旅はタイプの違う従者二人を少しずつ歩み寄らせ、お互いをほんの少しだけ変えていく。
    このじわじわがもうたまらんのです。
    想像の余地が、たっぷりとあるんです。
    それは物語が終わってからも。

    必要以上には喋らず笑わない兎太がいつの間にやら烏堂への眼差しを変え、最中にその肩に、ガブリと噛みつく。
    烏堂の艶やかな身体も色っぽいが、傷だらけの兎太の大きな身体の、なんと色っぽいこと。
    描き下ろしの「報酬と着せ替え人形」もすごく良かった!
    兎太、反則級にカッコいい。烏堂も可愛いのう〜

    あと毎回この世ならざる小さきものたちが非常に好きなんですけど、今回は古沈!いるだけでわくわく。好き!
  • あがた愛

    くわーーー
    ネタバレ
    2026年8月9日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 全56ページ短編。
    出版社クーポンを使って購入。ありがたい。

    いやー良かった。好き。好き短編。
    素直で幼さの残る中学生透と、カッコよくて大人っぽい高校生瑞稀の幼馴染もの。という作者様らしい設定。

    幼馴染だけどキスはしちゃってて、してくる瑞稀を受け入れてる透だけれど、そのキスの理由は理解していない。
    透はまだ子供なんですね。
    キスの後が何かすらも、自分には関係ないと思ってる…

    読み終えてからまた読み返して瑞稀の気持ちを想像しながら更に味わうのがもう本当に私の好きな短編の良さそのものなんですけれども、瑞稀の視線、言葉、手つき、そのどれをとっても高校生としての未熟さ含めて満点すぎて。ベットに腰掛けネクタイを締め直す彼の背中の物悲しさなんて、もうもうもう…

    ラスト8ページ、恋を自覚した瞳と、見えない表情。
    すれ違う感情の対比からの蕾が、とても切なく綺麗でした。
  • くちびる営業

    ARUKU

    沢山のキスシーン全てで語る感情の変化
    ネタバレ
    2026年8月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 毎度ながらARUKU先生の作品は沁みる。
    今作も宝石みたいなシーンや言葉に胸が打たれました。
    コンプラ違反のキス営業、そんな題材でこんな素晴らしくて甘い恋愛の物語を紡いでしまうんだもの。
    全くもって感服しきりです。

    営業の美鳩は働く痛みを知る男。
    粘り強く汗水流して働いて、無いかもしれない働く意味を探しながら寒い夜に震えている。

    営業先の犀門寺は経済ヤクザみたいな風貌の超絶やり手。
    ちょっぴり意地悪だけれど、可哀想なものを放っておけない優しい男。決してセクハラ野郎じゃありません。

    まさかのコンプラ違反スタートが、だんだんと印象を変え、いつの間にか甘く巣箱をあたためている。

    一生懸命に働いて自分の力で仕事を掴むのも、時には無力感に震えてるのも、まとめて知っててくれる存在はすごく力になるだろうなと、犀門寺を知るごとに強く思いました。

    全221ページ。描き下ろしや特典は無し。

    ARUKU作品に登場するキャラクターはやっぱり良くて、ぽっぽちゃんはとても可愛い。犀門寺はギャップもあって、キラキラかっこいい!美鳩も商売仇の獅子原も、今日も何処かで営業に励んでるのかな、と思うと愛おしいです。
  • 君のまにまに、鈴木くん。

    むく田やなぴ

    彼らのまにまに
    ネタバレ
    2026年7月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 真面目そうで頑固に我が道をいく不思議っ子鈴木くんと、そんな彼が気になって声をかけるようになったヤマトのお話。
    分冊版は3まで無料。

    鈴木くんいいよ、すごくいいよ。
    踏み込んだ者にしか見ることのできない彼の表情。
    最初は警戒心MAXでおずおずと、それが少しずつヤマトに心を許して、プルプルしながら近づいて…

    返事しないし肘鉄するし(こら!)、不器用な鈴木くん。
    感情が読みにくい彼だけど、いつでも一生懸命に頑張っているのが分かるから、だんだんと応援したくなってくる。

    鈴木くんの貴重な反応を待って導き出せるヤマトも、めちゃくちゃ心の広い、いい子です。平凡くんとのことですが、いやいや、地味にガチでモテるタイプでは…?

    所々に笑えるシーンがあって、面白いです。
    私はヨーモで吹きました。新作どんどん作って欲しい。

    BLになりそな二人が微笑ましくて、のんびり楽しく読めました。けれど恋、始まっちゃいましたよね。キャー
    続いて欲しいな。もっと彼らでキュンキュンしたい!
  • 9年目の伏線回収

    丸山ハシシ

    愛だな
    ネタバレ
    2026年7月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ レビューを拝見して試し読み。最近読んだ凪良先生の小説で挿絵を担当されていた作者さま。その時の透き通った美しい印象の絵が記憶に新しく、新刊購入。
    美しい秋人は大変目によろしかった。

    訳あって素顔を隠すようになった秋人と親友陸のお話。
    デビューコミックスとのことですが、練られたストーリーと質の良さに驚きます。(連載中の次作も設定からして面白そう。単行本出たら絶対読む!)
    全234ページ、一気読み。背後が気になる場所で気になる展開だったけど、感情乗っちゃって止められなかった〜

    溌剌とした少年秋人を襲った、悲しい出来事。
    一緒に痛みを感じ見守る優しい存在の、そのどれもこれもが愛で、だから秋人は幸せになれたのだと感動しました。
    いい友人に、いい親子。白玉先生と、特に母さんの生き方がアナーキーでカッコいい。え、太ももツチノコ…?

    一途で健気で必死な攻めが、頑張る姿は最高ですね。
    出版社勤務、上着を脱いだスーツにリュックもツボでした。

    誠実で茶目っ気のある作風が好ましかったです。
    恐ろしいほど広く深く、進化どころか退化に思いを馳せてしまう程の世界の知見を、これからも積極的に広げていきたい所存です。
    そして大きいものも小さいものも小気味よく回収されていく伏線。とても面白かったです。私も、おすすめ!
  • ハートビートエラー【単行本版】

    文川じみ

    面白いし、キュンとする〜
    ネタバレ
    2026年6月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 高校球児だった結城とパソコン部だった天ヶ瀬が、転職先の営業とSEとして再会するお話。
    文川じみ先生は「ページをめくるその前に」が特に大好きで新刊作者さま買い。
    今作も面白くて、笑いながらもキュンキュンしました。
    相手のこんなところが好きなんだろうなっていうのが、すっごく伝わってくるんですよね。終始、それが楽しかった。

    明るくて人気者で何でもできて、太陽みたいな結城は天ヶ瀬のことになるとちょっとオモシロ可愛くなる。
    天ヶ瀬は人見知りだけど仕事は出来るし、変に拗ねてなくて素直なところがとても良い。
    高校時代のキュンもサラリーマンになってからのキュンも味わえるし、イチャコラもキュンキュンしながら読めました。

    全241ページ。
    おまけ1は結城と天ヶ瀬のイチャコラ2ページ。描きたいものを描くだけのページ、良いと思います。
    おまけ2は二人の上司が2ページ。おお…。脇キャラも設定がしっかりある感じがするので、こういうのもしっかり楽しめる。眼鏡の奥の目が良き!
    シーモア特典はビンゴの景品。そっちかい!(それもいい)
  • あめとつち

    庭田羊々

    やさしい…
    ネタバレ
    2026年6月25日
    このレビューはネタバレを含みます▼ レビューで気になり購入しました。
    表紙がめちゃくちゃ良いですね。
    犬のろくろの、自然な可愛さ。タイトルも素敵。
    まるでお気に入りの絵本みたい。

    ふと立ち止まる、日常のそんな瞬間のような作品。
    絵も会話も間も全てが優しかった。

    伯父さんと成田君が直に言った「(直なら)できるよ」。
    できるかな?たぶんできるよ、できない時は誰かに頼って。
    作品自体がそう言ってるみたいで私も励まされました。

    ふたりの関係も、こそばゆくて好ましかった。
    相手と過ごすうちに、言葉遣いを寄せてみたり靴下の趣味を変えてみたり。それがなんだかとってもかわいい。
    電子には付いていないけど、明日美子先生の推薦帯も素敵。

    陶芸してみたくなっちゃったな。ちょっと単純すぎるか?
    取り敢えずコーヒーカップでも見に行ってみようか。
    次作もコーヒー飲みたくなりそうだしね、ふふ。
  • 2119 9 29

    凪良ゆう/丸山ハシシ

    愛とは何か
    2026年6月24日
    愛とは何か、その議論はあと千年も万年も続くでしょうと言ったのは、昔読んだブラッドベリの小説に出てくる電子おばあさん。アンドロイドと人間の愛を書いた本作を読んでいる間、記憶という愛を書いた先出の本の言葉を何度か思い出しました。
    愛は人の数、どころか、ひとりひとりがそれこそ何種類も持っていて、なら私が知らないそれも愛かもしれない。
    今は嘘だと言われることも未来では分からない。
    人が空を飛べるようになったみたいに。

    スピン元「ショートケーキの苺にはさわらないで」では衝撃の展開に心揺さぶられ(タイトル良すぎ)、スピンオフのこちらでも号泣するだろうことは読む前から分かってた。
    分かってたけどさあ…

    阿部ちん、貴方は最高にカッコいいであります。

    戦争とアンドロイドについても多く触れています。
    普段は忘れている自分の傲慢さ、無知で浅はかな身勝手さに目を向けさせられる場面も。
    何もしなくともじわじわと変わっていく世の中で、貴方は本当に今のまま考えないでいていいの?と、シリーズを通して問いかけられている気がしました。

    アンドロイドと人間ではあるけれど、やはりこれは愛であり恋である。物語という嘘の中で、愛情という名を持った嘘に泣かされました。
    BLとしても素晴らしく、幸せだったな、と思える読後感。

    恒例あとがきQ&Aもとても興味深いです。
    作品についての話は勿論、本作ではないけど好きな色の中に透明もあって、いいな…と思いました。
    この新装版シリーズ、順次20冊超の発売予定なんですね。
    今シーモアで買える先生のBLは全て読んでしまったので、修正作業は大変だと思いますが、とても楽しみです。
  • 夢の終わりで待ち合わせ

    仁嶋中道

    みんながみんな、優しくて
    2026年6月20日
    読み終えた私は痛みを包む優しさに胸がいっぱい。
    お互いがお互いにとってかけがえの無い存在(支え)であり、それは離れていても損なわれなかった。
    幼馴染作品の真骨頂を、そこに見る。

    中高と離れていたからこそ慎重に、相手を思いやりながら関係を再構築する旭人の誠実さに惚れた。
    背中に触れる手が、本当に優しい。
    愛する人への優しさが、人から人へと繋がっていく。
    優しくするだけじゃない、成長し合う姿に未来を感じる。

    レビュアー様方のおすすめ通り、とても素敵な作品でした。
    痛いような切ないような、胸の温かさが心地良い。
  • ヘンタイSubくんは待てができない

    蝦夷森わに

    面白かったー!
    ネタバレ
    2026年6月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 強いSubと弱めDomの、幼馴染(短期間だけど)再会ストーリー。職業は、新進気鋭の漫画家と営業さん。

    きょうちゃんにだけヘンタイな飛鳥が可笑しくて可愛くて、チラリと出てくる両親も含め面白かった。
    綺麗な目元と良い身体、一途な所が魅力的。
    振り回されちゃうきょうちゃんも、ちゃんと考えて受け止めてくのがカッコいい!
    Dom側としての振る舞いは、まだまだこれから勉強かな。

    相手のことが大好きな強いSubと、自身のダイナミクス性に戸惑いながらも徐々に受け入れてくDom。
    Dom/Subの要求と愛と信頼、その見せ方とバランスが、すっごく上手で面白かった。

    嫌がることはしないからって言うのがSubなのも、待ても何も全部受け入れて全開笑顔しちゃうのも、凄くいい!

    仕事関係家族関係、脇まで魅力がある作品。私もわちゃわちゃ語りたい。おすすめ感謝です。
  • 勇者になりたかった側妃、本物の勇者に下賜される

    滝沢晴/奈良千春

    頑張るオメガと健気な勇者
    ネタバレ
    2026年6月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 正義感が強く、守りたい子のため勇者を志したリヒト。
    しかし13才でオメガ性が発現し、その美しさから汚職まみれで好色な国王の側妃に選ばれてしまう。

    オメガであっても負けん気が健在で、父親が廃爵し領民への責任が無くなってからは城からの逃走を図るも失敗続き。
    幼い頃に夢見た魔王討伐は他の勇者が成し遂げて、しかもその褒美として、何故だかリヒトが指名され…

    ラブコメなんだけど、自分は何が出来るのか悩みながら頑張るリヒトは応援したくなるし、涙脆くて健気な勇者ヴィクトールはとても可愛くてよい執着。アルファだけど努力型で、一途な変態なのも良かった。
    優しくて待てが出来る勇者様っていいですよね。

    ヴィクトールの眷属たちも面白くて、
    それぞれ南北の方言で喋る白黒毛玉のケサラン・パサラン、倒した後に仲間となった魔獣たち、そして角を持つ見た目は子供中身は大人な訳あり執事アンタス。「ほんじつことばうりきれ」って、なにそれ可愛い!

    オメガだから勇者になれないと諦めるリヒトは悲しかったけど、「一つ一つの困りごとに向き合った積み重ねが勇者をつくる」夢を諦めない、説得力のあるヴィクトールの言葉が良かった。

    あー、恋っていいな。甘酸っぺ。そんな作品でした。
    とても楽しかったです。
  • おまえの吐息を奪っていった【電子限定描き下ろし付き】

    早寝電灯

    ホラーではありません
    ネタバレ
    2026年5月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 霊が視える、視えていた玲志と依良の、二人にしか持てない孤独と絆を、優しい愛でじっくりと紐解いていく作品。
    時間を忘れてゆっくりと味わっていただきたい。
    言葉に、眼差しに、吐息に込められた優しさが、切ない場所にじわりと沁み入る。そんなお話。

    作品内に出てくる霊は、通り過ぎていく黒い影。私達が暮らす地上とは、少しだけ座標がズレた空間を歩いている。
    人は霊の影響を受けてはいても「普通」に生活をしていて、視える玲志と依良は、そこから一歩外れた所にいる。

    見えないはずのものが視え、周りの人たちとは違う世界を見ながら生きてきた二人。
    受ける疎外感と孤独は、とても寂しいものだったと思う。
    だからこそ、同じものが視える相手との出会いは特別で、お互いにしか与え合えない思いやりがある。
    そして玲志が視えなくなったことから、見えてくる想いがあって…

    依良の視線を独占したい玲志が、いじらしくて必死でそれはもうキュンとする。
    霊が視えるからゴニョゴニョ…な依良も、ほんと「そんな顔すんのかよ」な訳で。もう可愛いったら。
    くるりと回るシーンやコンビニからの帰り道とか、なんでもないようでいて素敵なシーンが沢山あって、早寝電灯先生の世界に浸されていくのがとても心地良い。
    優しくて幸せで、そして何故か、どことなく切ない。

    一言一言に込められた思いを辿るように読み返し、特別だけど同じでもあり、違っていてもちゃんと見て、相手を思いやる心があれば大丈夫なんだと、そんな風に思いました。

    描き下ろしは7ページ。依良の友達ギイちゃんが気になる玲志。
    電子書店限定描き下ろしは2ページ。夜のコンビニからの帰り道、依良が思っていたこと。

    あとこんなこと最後に書く自分ってどうなんだとも思うけど先生の描く身体の骨っぽさと腰から臀部にかけて凄く好き。
    玲志のおしりかっこいい。依良のおしりはかわいいね〜
  • リップスティック・メタモルフォーゼ(分冊版)

    早寝電灯

    早寝電灯先生のアオハル!!
    ネタバレ
    2026年5月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 単話配信のスタート嬉しいです。
    定期的に確実に摂取出来る生きる喜び。
    前作が完結したばかりなので尚更。

    今作は久しぶりの高校生もの。
    しかも、先生めいっぱいのアオハルとな!!
    早寝電灯先生の描くキャラは(特に短髪男子)、潔さと意志の強さと、それらを守るように覆う透明感があって、私はいつもそれに憧れてしまう。

    元陸上部の千里も部員時代は短髪男子で。
    でも怪我で走れなくなってしまって、そりゃ、落ち込む。
    そんな時に寄り添ってくれるのが塔吾なんだけど、高身長黒マスクタレ目下睫毛な容姿で肩なんて組まれた日には…
    彼らには日常茶飯事な距離感でしょうが、私もサトーさんのように言葉なんて出なくなるし、心だって掴まれちゃう。
    ダウナー系男子塔吾、彼には色々と期待したい。

    部員時代に塔吾がくれたリップと、前向きになるため気分転換にと二人で買ったメイク道具。
    何てったって、メタモルフォーゼですからね。
    もちろん外見だけじゃなく。
    さなぎに退化と自分で言った千里の挫折から、どう千里が変わり、どう二人の関係が変わっていくのか。
    楽しみです!!!
  • 春、結婚して

    HISADA

    ふわりと、沁みる…
    ネタバレ
    2026年5月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 半年前に彼女と別れ将来にも漠然とした不安を持つ玉水に、高校時代からの友人花海から天体観測のお誘いが届く。
    試し読みで読める一話が何とも懐かしい感傷を思い出させ、なのに二人を取り巻く空気はふわりと、柔らかく優しい。
    つい、予定にない新刊購入をしてしまった。

    既に同性婚が認められている時代。
    いつも突拍子もない誘いをしてきた花海が、誰かと一緒にいたいと言う玉水に、俺と結婚する?と提案をする。
    決めるのは一年後の春。そして始まるルームシェア。
    この流れが全く不自然ではない。
    穏やかな玉水と、思考が自由な花海。友達としての相性がとても良く、仲良しな二人は見ていて楽しい。
    けれど友情が愛情に変わった瞬間が、花海にはあって…

    ああぁ〜、キュンとする。
    沁みる。エモい。
    しかも、めっちゃ丁寧。
    読み進めるのが勿体無く感じるくらい良かった。
    友情と愛情の間で揺れる感情が素晴らしい。
    二人の歴史が愛おしい。
    表紙が神。タイトルも神。

    全196ページ、内25ページは読み切りの別作品。
    ギャグ系のそちらも楽しいお話でした。
    両想いっぽいけど言い出せないあの瞬間がサビ…わかる笑

    後から気付いたのですが、「恋わずらって日常」を描かれた先生だったのですね。あちらも良い作品でしたので、今回の先生初コミックス、早々に購入できて嬉しいです。
    恋わずらってのアキオの涙ぼくろも色っぽくて好きだけど、本作の玉水は頬ってのも実にいい。
    花海の、センター分け前髪が顔にかかる瞬間も良い。

    先生の作品は友人達も、周囲の表現も、良いですね。
    先生の人柄でしょうか。
    これから応援していきたいです。
  • あのね、みっちゃん

    すう

    やられたー
    ネタバレ
    2026年5月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ これはもう清野と共に、いや、その他人類全てと共に、
    みっちゃんを好きになるしかない。
    不器用で真っ直ぐで、気弱なんだけど善意に溢れてて。
    なんとまあ愛おしい。
    体躯の良さと気弱さが同居してるのがもうね。
    先生、前作といい愛されキャラを描くのが上手過ぎです。

    タイプの違う愛されキャラを、何故こうも描けるのか。
    先生の視点が素晴らしいからか。
    先生の愛が深いからか。
    ストーリーも良くキャラも良い。
    いやもうほんと尊敬します。

    物語を面白く伝わり易くするために、あえて省いた事柄も多いのではないでしょうか。
    ならば先生の脳内にあるであろうその全てを見たい。
    これまでの人生も知りたいし、みっちゃんが側についた無敵な清野の活躍と魅力と、表とは別の顔をもっと見たい!

    そしてご夫婦ウォーキングのおじ様、絶対にみっちゃんを逃がさないでください。
    浴衣みっちゃんもご褒美級だけど、それだけじゃ足りないんです神輿会に入れてくださいお願いします褌ください…

    描き下ろしも面白かった!
    お互いに振り回し合う二人のバランス最高すぎませんか?
    あと、みっちゃんのエプロン後ろ姿も最高!!
  • 「パブリックスクール ―リーストンより愛をこめて―」番外編集【電子限定版】

    樋口美沙緒/yoco

    おぉ…
    ネタバレ
    2026年5月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 恋人たちの甘い空間に突如ワープし、狼狽えつつも歓喜するという素晴らしい体験が出来る番外編集です。

    スタン圭人、エド礼を1話ずつ。
    それぞれ「リーストンより愛を込めてII」に収録されている書き下ろし2編の続きです。
    あの感動のその後を、こんなに甘く、飛び切りの愛を込め、かつ官能的に読ませて頂けるなんて…

    スタンとアルの双子萌えに加えメンベラーズもちらり。
    エドの雄々しさ、エドをエド以上に分かってる可愛い礼…

    攻め様、受け様(普段そう呼ぶ習慣ないけど、これはもうこう呼びたい)、共に素晴らしい。
    幸せしかありません。番外編集ありがとうございます!
  • 愛しいのは、君のまま

    会川フゥ

    いい話だった!
    ネタバレ
    2026年5月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 会川フゥ先生の高校生もの。努力型イケメン立川と天然イケメン神田のお話。高校生らしい、清々しい作品でした。
    自分のあり方に悩んで、歩み寄って、成長して、いつの間にか恋をして。立川も神田も、めちゃくちゃ良い奴!!

    理想に近付こうと努力しながらも、「本物」との差にモヤモヤしてしまう立川。わかる、わかるけど、努力して手に入れた自分だって、本物なんだよ〜!
    素直で正直な立川は試練にあってしまうけど、立川の中身を見ていた人たちが、神田をはじめ、ちゃんといる。
    普段の何気ないやり取りで、相手に対する誠意とか優しさって伝わってるんですよね。立川にはそれがある。

    神田はねえ、本当に天然物のイケメン男子で、中身もイケメン。明るくて優しくて可愛くていい奴で、陸上部だから足もバキバキで。それらの筋肉を拝めなかったのは残念といえば残念だけど、この二人は頬を手で挟むだけで最大級のキュンを供給してくれるんです。
    先生の描くキャラのリアルなこの感じ、大好きです。

    ここで終わるか!の描き下ろしも高校生っぽくていいし、インパクトあって心掴まれちゃいました。
    このまま神田のペースで押しつつ、可愛くなっちゃった立川と、良いお付き合いを進めていって欲しいです。

    全208ページ、大満足。電子共通特典、シーモア限定特典は共にイラスト。微笑ましいです。
  • フェイクフィクション【電子限定描き下ろし付き】

    ゆいつ

    色っぽい!
    2026年5月2日
    私も好きです、どんどん読めちゃうこの感じ。
    どんどんいけちゃう。おかわりどんどん欲しくなる。
    ゆいつ先生らしい、色気のあるカップル。
    薄めのホクロが良い仕事をしています。

    俳優同士の、身体からの関係。
    妖しげな色気がある憑依型俳優の透と、社交的で騒がしくて熱量があるタイプの嵐。

    正反対な二人の相性が、とびきり良いです。
    お互いの個性がお互いの魅力を引き立てて、絡みも多いから色っぽいやらカワイイやら。
    それがまた、ちゃんと男の色気と可愛いさで。
    嵐のタレ目も、たまらん!

    最終話とその後の絡みも、めちゃくちゃ良いです。
    ほんと良い仕事してる。未読の方、ぜひ読んでください!
  • 旅の勇者は宿屋の息子を逃がさない

    ジツヤイト/円陣闇丸

    おもしろーい!でも、完結は…
    ネタバレ
    2026年4月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ゲームによくある最初の村っぽい村に住む宿屋の息子ルースと、幼馴染であり勇者でもある金髪翠眼アレクのお話。

    主人公ルースは宿屋の息子なので村からは出ないが、攻めのアレクは女神の信託により勇者に選ばれ旅に出てしまう。
    えー、物語序盤から攻めが不在!
    本編は村に残ったルースと、各巻それぞれ村に訪れた別のキャラとで進みます。
    けれどアレクはルースが第一。しかも割と策略家。
    さっさと役目を終わらせるべく旅を続け、途中勇者らしからぬ行いで本編に絡んでくるのが面白い。

    女性と見紛う程に美しいルースだけれど、実は幼少期に前世の記憶が蘇っていて、両方を合わせると中身は壮年?
    前世では女性経験の無いまま三十路を過ぎ事故死したため、結婚願望は強いものの女性からはモテない。そして鈍感。

    物語も文章も個性があってすごく面白いんです。
    キャラも良く、1巻では女神病の騎士団長が微笑ましい。
    2巻は亜人や魔族も絡んだ、宿屋密室?ミステリー風。
    ただ、3巻の出る気配が全くない。えー!!

    投稿サイトでは完結しているので続きはそちらでも読めるのですが、加筆修正してある単行本の方がやっぱり読みやすいし、面白い。更にイラストがめっちゃ良いので、是非とも挿絵込みで読みたいのです。
    書籍化されていない部分はまだまだ長く、徐々にシリアスなシーンが増えるそう。続きが出版されたら本当に嬉しい。出ないかなー。
  • 色悪作家と校正者の結婚

    菅野彰/麻々原絵里依

    とても良い最終巻でした
    ネタバレ
    2026年4月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ひとつの道を二人で示し、まだその半ばである彼らが出した答えを、最後までしっかり読ませていただきました。

    本の中、文字の中でだけ生きてきた正祐が変わり、弱さを想像せず優位に強く生きてきた大吾もまた変わり。
    不当に踏みつけられる辛さを知って、たくさんの大切な人から言葉を受ける幸も知って、負うのではなく持って生きると言った愛が、心に沁み入る最終巻でした。

    あー、楽しかった。彼らの過ごした3年間、私も本の中で本に囲まれ、彼らと共に生きました。途中ドリアン・グレイと金髪宇宙人(本作のスピンオフ作品主人公)のロマンスも挟んで、仲間も増えて。これぞ、シリーズ物の良さ!

    年を重ねた人生を小説のようなものだと、最近とある所で読んだ言葉が、この作品を読み胸にすとんと落ちました。
    最後に老翁の提案で酒に助けられるのも良かったな。当日の様子は全員が格好良すぎるし、いい場だった。

    また一緒に時を生きたいので、歳時記の方も読みたいです。
  • 福引で当たったので異世界に移住し、恋をしました

    日野晶/花柄

    たっぷり満足。こりゃ、かわいい!
    2026年4月5日
    面白くて、びっっっくりしました!
    レビューを拝見しての購入。想像以上に楽しかった!

    異世界移住、わくわくする現地での生活と交流、そして元気に頑張る健気な主人公。優しくてカッコいい騎士隊長までいて、しかも登場シーンが、水も滴る…!!!
    童顔で子供のような主人公(でも移住前は苦労してる)との恋は、どうにもおさまりが悪いのではと失礼ながら懸念していましたが、そんなこと考えてた自分が恥ずかしくなるようなお二人で、全くもって余計なお世話でした。
    スローライフをゆるゆると堪能しながら、何度か泣いちゃいましたよ。いい子だ。料理も飯テロ、お腹空く〜!

    異世界スローライフに対して、無意識の先入観があったのかも知れない。人気あるジャンルだけど、モフモフしてみたいけど、多分自分には嵌まらない感じかなって。
    いくつになっても人生勉強。食べてみないと分からないものですね。この作品に興味を惹かせてくれたレビュアーさま、ありがとうございました。のんびり次巻を待ちます!
  • 日々、君

    小池定路

    すごくいい話だった
    2026年4月4日
    四コマ…というのかな。大体8ページに15個の四コマで、ひとつのエピソードが描かれています。
    しかし四コマと侮るなかれ。少しずつ進む日々が、少しずつ変わる環境と変わる想いを、日ごと紡いでいくんです。
    まさに日々、君。なんて素敵なタイトル。

    買う時は是非2冊一緒に。
    とても良い読後感です。
    どの登場人物も、みんな生きてて。
    どの言葉も、ちゃんと生きてる。
    良い作品だったなぁ。

    蓮野さんが劇団所属の脚本家なので、途中に劇もあります。
    台詞とか場面とか、めっちゃいいの。観たい。

    恋ってこうだよなって、とても純粋な気持ちに浸れました。
    素晴らしい。素敵。おすすめ。
  • 色悪作家と校正者の不貞

    菅野彰/麻々原絵里依

    本と酒と男と男
    ネタバレ
    2026年4月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 堅いタイトルに興味が湧いた、長いシリーズの1冊目。
    こちらに一瞥をくれる男と、付箋だらけの原稿を抱く男が書かれた色気のある表紙に目が惹かれ、読んでみるとこれまた堅い文体と挿絵が良い味を生み出していて面白い。
    つい、シリーズ一気買いをしてしまった。
    舞台は西荻窪。歴史校正者正祐(マサスケ)と時代小説作家大吾のお話。

    馴染みの居酒屋で二人が初めて言葉を交わす夜、書を愛する者同士でありながらその会話は喧嘩腰だ。
    作家と校正者という立場はもとより、その立場が明らかになる前から、正祐は大吾への怒りを隠せていない。
    何故なら正祐は、老翁源十郎の死が許せないのだ。

    大吾が書く小説の中で死んだ老人を巡るやり取りが、後に彼らの深い部分へと繋がっていく。
    博識な登場人物の会話はそれ自体が面白く、ミザリーしかり春琴しかり、知っていても知らなくても、問題なく楽しめるように書かれている。

    昭和じゃないのに漂う昭和感と、気性が荒いのによく気のつく大吾が、体温高めなことも含め、とても好みだった。
    居酒屋の年老いた店主の言う通り、嫌いは好きの裏返し。とはいえ初めての営みの理由が◯すか△すか(伏せると何のこっちゃ)なのは少々強引ではと思いつつ、愛憎入り交じるとはそんなものかと納得してしまったけれど、どんなもんなんだろうか。

    追記※ シリーズ最終まで読みました。
    新着順で並べれば順番は分かりますが一応。
    不貞→貞節→純潔→多情→ドリアン激しすぎる憂鬱→別れ話→ドリアン禁じられた遊び→初戀→太陽は→結婚
    で、読みました。次は書棚を読んで、歳時記に行きたい!
  • 鏡よ鏡、毒リンゴを食べたのは誰?

    小中大豆/みずかねりょう

    写真家とMUSE
    ネタバレ
    2026年3月25日
    このレビューはネタバレを含みます▼ レビューに惹かれて購入。
    ファンタジーのようでいて、現代の芸能界小説。
    純粋で繊細でしなやかに強い、子役上がりの元アイドル永利と、美貌の天才写真家紹維のお話。

    紹維のミューズとして長い期間身体を重ねているにも関わらず、永利の自己評価はとても低い。
    過去のミューズを気にし、次のミューズには怯えている。
    おとぎ話とリンクする内容かつ永利の成長が見せ所なので、かなり胸が痛かった。

    紹維は才能ある強い男。天才だから、強いから、永利に対する態度はひどく冷たく見える。でも深い。この魅力は紹維という人間ならではで、書かれた紹維の行動を深読みし感情を想像する瞬間や、その強さが永利の前で揺らぐ瞬間、これがたまらなく良かった。
    精力高く経験豊富な彼が声を上ずらせてしまうの凄くいい。

    共に芸能界を生きる友人梅田、マネージャー桶谷、ベテラン俳優小田、2巻共演者の迅も個性があって面白かった。
    特に迅は不思議な魅力の持ち主で、つい応援してしまう。鈍感な永利、威圧する紹維、憎めない迅の構図はなかなかに熱いので、そこに梅田を投入した話なども読んでみたい。

    タイトルの誰?を考えるのも楽しい。
    毒リンゴを食べたのは永利かな?純粋で真面目で美しい魅力の中に、ほんの少しの毒が加えられたから。
    芸能界もの、結構面白い。
  • サマー・ボーイ・ブルー

    遠野みやこ

    三者三様な親たち
    2026年3月22日
    過去にレビューで惹かれていた作品を、最近のレビューと番外編レビューに後押しされ購入。
    こうして出会った作品は間違いなく面白いので、いつも有り難いかぎりです。

    若葉の頃を生きる彼らの、心の傷と自立と恋愛。
    痛みがずっと続いているミチルの瞳が、綺麗なままでいたのが余計に悲しい。

    父親の印象を薄くし母親にのみ焦点を当てることで、子どもの置かれた狭い世界をとてもリアルに表現している。
    子離れされつつあるミチルの場合は、痛みを伴いながらも自立していく過程が胸を打つ。
    対して潤の環境は息が詰まる。耳触りの良い言葉を吐いたかと思えばすぐに感情的になり、意のままに子どもを操ろうとする母親と、諦念を抱きながら静かに離れ、自分も悪いと反省すらする息子。
    まだまだ問題は山積みだ。

    バイト先の父娘にも健全な衝突があり、どんな親子であっても難しいもんだな、などと思う。

    親子関係の問題に目がいってしまったけれど、若葉色の恋愛描写も大変素晴らしかった。
    向き合って話し合って分かち合って、二人が肌で確かめ合うシーンは美しく尊い。心情を表す台詞や空気感を作る描写、見せ方、気付かせ方も大変素晴らしい。
    4月から連載される作品も初恋のお話のようで、今からとても楽しみです。
  • おススメの恋、お持ちしました。【特別版】

    小宮山ゆき/小椋ムク

    おススメの小説、お持ちしました!
    2026年3月20日
    何となくついてない日の仕事帰りに見つけた、丸太風の壁に赤い三角屋根が可愛らしいダイニング・凪。
    明るい店内は木の香りがし、定食の旬野菜は自然派無農薬。注文した若鶏のソテーは熱々で、驚くほどに柔らかい。
    更には感じの良いイケメンシェフの店長までいて、疲れていた控えめゲイの祐希の心はいつの間にやら癒されていく。

    疲れた腐の心も癒しつつ惹きつける、優しい語り口。
    気まずい場面のやり取りも、誠実で優しい…とても優しい。
    食事シーンも美味しさが伝わってきて、祐希の仕事柄チーズについての会話も多くてお腹が空いちゃう!
    お茶漬けにチーズ、美味しいですよね。私も好き。

    少しずつ近付く二人の、穏やかな描写が心地良かった。
    ノンケとゲイの切なさもいい塩梅で、セ友達だった怜二さんの存在も案外丁度良い。自分のことを節度と良識のある害のないゲイだなんて表現してしまう祐希には、あれくらいグイグイしてくれる人がいていいし、引き際も余韻を残した。

    飲食店とチーズ会社のお仕事話も程よく楽しかったし、色っぽさを少しずつ期待させてくノンケとゲイの恋も良かった。付き合う上での悩みも誠実。とても誠実。

    何となくさえない日のシーモア検索で見つけた優しい小説。のんびりすらすら楽しませて頂きました。
  • シェアーズ

    つゆきゆるこ

    分かち合う
    ネタバレ
    2026年3月2日
    このレビューはネタバレを含みます▼ つゆきゆるこ先生の女性漫画。
    人に触れると記憶や思考が共有できるコネクタのユージン(1巻)、陸(2巻)、それぞれを通した友情のお話。

    触ると分かるなんて、結構怖い。
    ユージンはもう大人で大らかな性格だから、コネクタの特性とかよりも繊細なヒロへのカウンセリング感が強かった。
    過去の記憶と向き合おうとするヒロに歩み寄り、寄り添い、その中でお互いが大事な人へとなっていく。
    ブロマンスなのに手を繋ぐ姿にほっこりし過ぎて、満たされてしまう腐のココロ。

    陸はまだ高校生なので、コネクタとしての悩みも深い。
    そんな彼と出会うのは、家では子供に会社では部下に、気を使うあまり言葉を飲み込んでしまう武生さん。
    とても優しくて、人を思いやれる人。

    こっちの二人は友情以外あり得ない関係なんだけど…
    とっっっても尊い。関係性に癒される。
    武生さんは伝える大切さを思い出して好転していくし、武生さんの優しい心に触れて陸も息がしやすくなって。
    お互いがお互いに気付きを与え、尊敬し合える。
    人との付き合い方について考えさせられる、いい話だった。

    愛犬ポポコが可愛くて、ドックセラピーの効果も。
    珈琲店兄妹の個性も良かったし、陸と仲違いしていた友人の葛藤も、納得のいくもので読後が良かった。
    つゆき先生の作品はどれもキャラクターが魅力的ですね。
  • 本日も幼なじみは回り道

    ツブキ

    ツブキ先生、やっぱり面白い!
    ネタバレ
    2026年2月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 交通事故に遭ったことをキッカケに、それまで一方的に絶交していた幼馴染との仲直りをしたい創(はじめ)と、謝る創に何故か逃げ腰の、文武両道な男前、静真のお話。

    諸々含めて全294ページ。長めなのに(嬉しい!)つい何度も読んじゃう。その度に会話と行動がツボってきて、今では1ページ目の表情見るだけで笑えてくる。
    ツブキ先生のセンス、ホント好き!

    家族や友人、部活など幼馴染を取り巻く環境もしっかりと描写されてて、しかも全員少しずつ面白い。
    幼馴染が遠回りして回り道して、恋人同士になってからもじっくり読めて大満足。

    高校生らしい初々しさとえっちも、すごく良かった。
    ツブキ先生の色っぽさ、すごくすき。目と表情が良いんですよね、キスシーンとか…舌も厚みが色っぽい。
    幼馴染の距離感でのイチャイチャも最高!
    水泳部の静真…ガタイよしっ!
    性癖発表ドラゴン、もっとくれ!

    創のキャラクターも良かったなあ。
    生命力溢れる危なっかしさとか、ひとり相撲しがちなところとか。路チューはダメとかしっかり言うとこも好印象。

    描き下ろし6ページ、電子限定描き下ろし4ページ。
    カバー下かな?おまけマンガとあとがきと、ボリュームもたっぷり!

    ツブキ先生の高校生幼馴染もの、とても良かったです。おすすめ!
  • 6番目のセフレだけど一生分の思い出ができたからもう充分

    SKYTRICK/渋江ヨフネ

    一気読みせざるを得ない小説
    ネタバレ
    2026年2月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 毎回毎回ストーリーに引き込まれ、続きが気になって途中で止められない小説を読ませてくれる作者さま。
    本作は幼馴染の大学生。大人しく穏やかな主人公幸平と、周囲から一目置かれる刺青ピアスの美男子陽太のお話。

    ある時までは仲の良かったふたりが、同じ高校に通いながらも距離を置き、卒業後には題名通りの関係となる。
    何故そんな状況になっているのか。
    幸平と陽太それぞれの視点で大学・高校・中学・小学生時代と過去を織り交ぜ、ふたりの関係を読み解いていく。

    徐々に分かる人となりとその背景が、思いもしなかった方向に進み出し、ページを戻り読み返してはまた戻りと、いつしかその手が止まらなくなってしまった。

    控えめな幸平には何とかしてあげたい気持ちになるし、それに陽太がさぁ…もうさぁ…ほんともう…
    彼の呼ぶ「コウちゃん」は、たまらなく幼馴染を感じさせ、伏線はいちいち心臓にアタックしてくる。
    ここでそれが効いてくるとか、作者さまマジですか…!

    没頭して読み、繰り返しや構成も面白かった。周囲のキャラも各々良くて、一人一人の言葉が心に響く。

    終盤、幸平が親を拒めないことを想像しなかった谷田に対して「誰も彼もが簡単に、自由に拒否できるわけではない」と陽太が思うのですが、ホントそう思います。
    知恵と強さは必要で、でも間違えたとしても、悩み、生き抜く姿は尊い。そんなメッセージを受けたように思いました。

    想いが通じてからの幼馴染は、ほんといい。ほんと幸せ。
    某サイトの番外編、教えてくださってありがとう。
    シーモアでも発売して欲しい!
  • お憑かれさま、黒瀬くん【単行本版】

    たこまっちょ

    私も成仏しかけました…
    ネタバレ
    2026年2月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 上下巻、大変面白くて大満足。
    バランス良く細やかに、優しい眼差しで描かれています。
    二人の結びつきと、物語に出てくる様々な怪異たち。
    相手を思いやる、優しい感情を浴びた読後に、うっかり私も成仏しかけてしまいました。

    叶糸から移動し、結真へ取り憑いた5体の目玉。
    同じようでいて少しずつ異なる願いを持つ霊たちは、それぞれがどんな時代を生きていたのか。
    おそらくは一体目より二体目、二体目より三体目と、より思いは遂げられず、より若い命を落とし…

    生まれてきた時代が違ったらと言った彼の、愛する人を守りたかった思いと、運命の流転がとても悲しい。

    ストーリーと画力、キャラクターがとても良いです。
    結真と叶糸が大好きになり過ぎて、その後の姿を延々と見たい。というか結真はずっと心が綺麗で可愛らしくて、もはや天使だし、叶糸は子供時代からカッコ良すぎる…!!
    普段はあまり変わらないクールな表情の、ちょっとした変化の色っぽさったら…!!
    結真を好きすぎる叶糸が本当にカッコいい!!!
    クールな水泳部男子萌えという新たな癖が加わりました。

    透真と隼人も時代が違えば、きっと違う一生だったはず。
    結真と叶糸、二人に残る傷あとに、動き出した運命と、受け入れた強さと優しさを感じました。
  • アニマル婚活

    まつぼっくり/みずかねりょう

    えええぇ…ラッコかわいい〜ぃ
    ネタバレ
    2026年2月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ めっっっちゃくちゃ可愛い小説です。
    ラッコ獣性の白石くんと、シャチ獣性の鯱地(シャチ)さんが、結婚相談所で紹介されてお付き合いをするお話。

    作者様の仰る通り、山なし谷なし、可愛いしかない世界。
    白石くんが成人済みか何度も確認したくなるほどおぼこいので、おそらく好みは分かれるところ。
    イラストが凄く良くて、私には道標のようでした。

    シャチ獣性を持つ鯱地さんは、イケメンでスマート。
    囲い込み、狙った獲物は確実に狩るタイプ。
    嫌がることは絶対にしない。けど束縛は強め。前のめりで丸め込むし、ちょいちょい囲むし牽制もする。

    ラッコ獣性の白石くんは無垢なのんびり屋さん。
    緊張するとお気に入りの石をニギニギ。
    海藻で巻かれるが如く何かに包まれると安心できて、夜は手を繋いで寝る習性がある。

    獣性強めの白石くんに、獣性強めの鯱地さんが、ポイント押さえて、押して押して押しまくる。
    ああ、ラッコがシャチに捕まっちゃう!

    囲い込みたいシャチと包まれたいラッコの相性良さったら!
    結婚相談所の川島さん(獣性カワウソ)、いい仕事した。
    セリフも「可愛い」のオンパレード。
    でもしょうがないね、ラッコ可愛いからラッコ。

    あんまり可愛くて無垢でウブで、イケナイことしてる大人になったような気分さえしてくる。
    でも婚活だから…。仕事もしてる大人だから…。
    白石くんのおぼこさに試されちゃってる鯱地さんが面白い。

    スイーツ食べた後の甘さが延々続いてるみたいな作品。
    疲れて何も考えたくない時に、また読んで白石くんにニギニギしてもらおうと思う。
  • 雷神とリーマン

    RENA

    その結末を前に、ただただ茫然と
    ネタバレ
    2026年2月9日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 私なんぞが書かずとも既に参考になるレビューが沢山ついていて、面白さと奥深さと作品の魅力も語り尽くされ、新しい読者も増え続けている。
    それでもやっぱり、自分の手でも星をつけたい。
    動いた心を残したい。
    物語の核心に触れ、人間に生まれて良かったかもと、思えた自分の感情を記したい。

    突然現れた、人間になりたい神・雷遊と、その世話をするサラリーマン大村のお話。後に高校へ通うなど、あるある設定ではあるけれど、随所で個性とセンスが光り笑わせる。
    強いて言えば大村がゲイであることが特徴で、少数派であるが故に抱える孤独や寂しさが、彼の人間味を強くする。
    最初こそ渋々とではあるが、共に過ごしていくことで人間の持つ様々な感情を雷遊に教え、或いは逆に教えられ、神を前に救われる大村の、一生をかけた人間の愛。

    彼らの共同生活は、常に思いやりがあり穏やかだ。
    ふたりで作るニギリメシは手の込んだ料理よりも美味しそうで、狭いベッドは心地よい温もりに包まれている。
    お互いがもたらす笑顔は驚くほどに優しくて、眼差しは慈しみに満ち、人が求める幸せそのものだ。

    やがて寂しいという感情を知り、迷い、不安になることで揺らいだ雷遊は、大村の愛に包まれ「生きたい」と願う。

    命を繋ぎ子孫を残す営みは尊く、けれどそこからはみ出したとしても、人間の持つ愛の力と本質は変わらない。そのことを、大村は静かに教えてくれる。
    限りある命の儚さと、それでも共に生きるふたりの姿が、寂しくて切なくて愛おしくて、人間から見れば長い年月とその結末を前に、ただただ茫然としてしまった。
    山桔梗の美しい優しさに流れる涙が止まらない。

    良くも悪くも、自我を持った人間は命の選択すら可能になり、生きる意味をそこに求める。人はなぜ生きるのか、生の痛みがその答えになりそうで、作品の余韻に浸っている。

    結論をいうと、めちゃくちゃオススメです。
  • 「監禁された朝、僕は親友を失った」 番外編集【電子限定版】

    鳴海しずく/yoco

    本編終了後のバンド活動を書いた番外編
    ネタバレ
    2026年2月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 詩乃がボーカルを務め、柏木がマネージャーとしてサポートしているバンド「月曜日の夢」。
    本編では色々なことが起きたけれど、残った詩乃とギターの巳波、柏木の3人で活動を続けている。

    一ヶ月半ぶりのライブ後のふたりを巳波目線で書いた書店販促ペーパーと、小説キャラに掲載された短編のみ。
    短編の方では、新曲の作詞に悩む詩乃と、新メンバー候補の登場にまたもや悩む詩乃が書かれています。

    イチャイチャは少ないけれど、柏木は当然のように詩乃に甘く、安定モード。
    詩乃は悩んで悩んで、またひとつ成長をする。柏木や巳波に見守られながら。

    げつゆめの今後の活動も応援したい。
    詩乃がどんな歌を作って行くのか私も見守りたい。
    巳波も魅力的だし、yoco先生の挿絵ももっと見たい!!

    本編では大学一年生の柏木が、どうやって短期間で部屋を用意したのかが気になって気になって(些末なことでスミマセン…)。叔父さんを頼ったのか、あらゆる手段を取りそうな柏木の、その辺のあれこれも詳しく知りたかったー。
  • 監禁された朝、僕は親友を失った

    鳴海しずく/yoco

    繊細で、どこか寂しい印象の文体が好き
    ネタバレ
    2026年2月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 監キンという強い言葉のタイトルと、それに似合わない優しい色合いの表紙と美しいイラスト。
    読み始めてみれば謎めいたストーリーも心情も、とても繊細なものでした。
    第一回キャラ文庫小説大賞受賞のBL小説。
    大学の軽音サークルでバンド活動を始めた詩乃と、親友でマネージャーを務める柏木のお話。

    物語の始まりでもある監キンの理由が、欲望や恨みといった類からではないだろうことは、割とすぐに感じ取れて。
    では何故、普通の大学生が監キンされるまでに至ったのか。

    思い出せない直近の記憶を大学入学の出会いから辿りつつ、監キン生活の合間に二人の人柄と関係性を探っていく。
    過去を振り返り状況を紐解いていく構成が面白かった。

    やがて点と線が繋がると、柏木はただただ詩乃を大事にしたいだけなのだと、手段は物々しいのに、手枷足枷をつけているのに、その思いが伝わってきて…
    詩乃の繊細さと、柏木の脆さを知ることになる。

    なので、性癖としての監キン作品ではありません。

    これからの作者さまの活動を応援したいし、番外編集が出たばかりなのはとても嬉しい。書かれてないけど気になる所もあるので、補填されてたら嬉しいな。今から読んできます!
  • ハンケチーフ持って、タイムマシーン待って、ラストシーン黙って、

    佐岸 左岸

    カニなのかウニなのかエビなのか
    ネタバレ
    2026年1月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ラフな服装と髪型、佇まい。そしてそばかす。
    ネットで見かけたその姿とタイトルに、ひと目惚れのような衝動を受けシーモア内を検索、購入。
    タイトル含め冒頭からひたすらに続く会話と、映像のように流れていくコマ、何気なく置かれた事実を見せつけてくるショットの数々に、とんでもなく文字量は多いのに飽くことも疲れることもなく、読む手が止まらなかった。
    全253ページ。佐岸左岸先生の女性ジャンル作品。

    基本他人には塩な対応をしながらも相手を尊重し、過重労働を一身に背負う飲食店勤務の主人公花虎と、その仕事先の面々。そして仕事帰りに出会った謎の男、可児。

    淡々とテンポ良く会話は進んでいくのだけれど、各々がなかなかに重いバックグラウンドを持っていて、1巻終盤は更なる重さを、受け止め切れずに私の思考が一旦停止。
    読み返すとまた置かれた事実が見えてきて、やり切れなさを強くすると共に、花虎と可児、ふたりの関係性の構築に希望を見いだしたくなってくる。

    タイトルにもあるハンカチの使い方が上手なんです。
    可児の自己完結した価値観に救われる花虎の心を、よく表している。
    箱に入れられ並んだそれらは、一枚一枚が可児の嘘偽りのない優しさで、幼馴染や後輩からの心配では埋めることの出来なかった花虎の心を埋めていく。
    可児の言葉は、惑う感情を自分に向き合わせてくれる。

    ていうか幼馴染の冬介は本心が分からなくて気になるし、後輩の八作くんは可愛くていい子だし、続きがすごく気になります。菫さんも何だかカッコいい。
    めちゃくちゃネタバレで語り合いたい…
  • ロックンロール

    mememe

    ロックだなー
    ネタバレ
    2026年1月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ めちゃくちゃカッコいい。
    信念を持って自分らで選んだ道を行くんだね。
    ずっとずっと応援したい。
    そんな世の中であって欲しい。

    子供も親とは別の人間。当たり前なのに難しい。
    傷付いても、「全部俺らのもんやもん」
    作者さまの大きな愛に、目から鱗と元気が出ました。

    彼らの会話、一日中聞いていられる。
    もはやベットと漫画誌とがあるそこに生息したい。

    女の子たちもとても可愛い。
    彼女たち目線の彼らの、なんとカッコいいこと。

    胸がギューッとしたり、ギュンとしたり。
    なんて素敵なビッグ・ラブ!

    作者さま、生きる喜びをありがとう!!!
  • 青野くんに触りたいから死にたい

    椎名うみ

    なんて悲しい恋なんだろう
    ネタバレ
    2026年1月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 付き合い始めて2週間で幽霊になってしまった青野くんと、彼女だった優里ちゃんのお話。
    コミカルでどこか拙い読み始めの印象からは想像できない程に、深い深い作品です。しんどくて優しくて、ピタリと心に寄り添ってくる、キレイで純粋な作品。
    それでいて、怖くて恐ろしい。
    ホラーと純愛。生贄と機能不全家族。暴力と負の連鎖。
    彼らの全力の戦いに、ようやく幕が下りました。

    もともと二人の抱えているものが本当にしんどい。
    だからこそ惹かれ合い、求め合い、補い合い、救い合い、お互いを知る前は気が付かなかった種類の寂しさを埋め合う。
    でもどんなに心が通いあっても、触れ合えない。
    だって青野くんは、幽霊だから。

    そもそもなぜ青野くんは幽霊になったのか。
    青野くんの友人藤本くんと、不登校でホラー好きのクラスメイト美桜ちゃんが仲間に加わり、四ツ首様編、受肉編と物語は加速していく。

    以下ネタバレが過ぎてしまうのですが…

    青野くんも優里ちゃんも生い立ちが苦しく、心が酷く削られる。けれど優里ちゃんは母親のような優しさと強さで、次第に青野くんを救っていく。共に戦う藤本くんと美桜ちゃんも本当に素晴らしい子たちで、すごくすごく愛おしい。論理的で思考力が高くて、優里ちゃんたちを迎える時はいつでもオシャレをして待つ美桜ちゃん。彼女と繋がっていたからこそ戻れた場面が沢山ある。藤本くんは常に真っ直ぐで誠実で強く正しい。青野くんと友達だった彼は優しい人間だ。役に立つとか関係なく、優里ちゃんと美桜ちゃんが友達になれたのはひとつの光のように勇気を貰えるものだし、藤本くんの恋は苦く切なくて、なんて強い人だと思う。そんな彼でも優里ちゃんの家庭問題を根本的には理解できなかったシーンはグサリと刺さったし、青野くんと優里ちゃんという必然性を更に強く印象付けた。処女性を無くそうと試みた夜、ロミジュリを演じた放課後、あえて描かれない藤本くんの表情はどんなものだったんだろう。

    正直、青野くんの過去は凄まじくシンドイ。全ての項で息苦しく、自己嫌悪で体調も悪くなる。でも全部が叫びで、全部が覚悟の上で、読んでる私は傷付くのと同時に救われる。最終巻は私も優里ちゃんになって、青野くんになって、物語とひとつになってドアを叩き、終わりを迎えたように思う。

    全てを知ってからまた読み返し、深く静かに青野くんについて考える。何だか祈りみたいだ。
  • 【電子単行本】彼とオバケと恋愛小説家

    西田ヒガシ

    オバケちゃん、また会えて嬉しいよ
    ネタバレ
    2026年1月9日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 単話で楽しませて頂いていた西田先生の作品。
    単行本化にあたり描き下ろしされたのは表紙だけ、それでもやっぱり発売が嬉しくて、新刊自動購入ボタンを押す指も自然と軽やかに。新年1冊目の購入作品が可愛いくて大好きなオバケちゃんとは、今年も楽しいシーモアライフになりそうです。

    元銀行員の小説家川上と、彼に取り憑いた闇のオバケ。
    そしてそのオバケが視える配達員前田と、墓地で出逢ったハイヒールで踊る美人。

    見つめる瞳は印象的で、まるで何かに焦がれているよう。
    抗いながらも惹かれていく過程はドラマティックで、川上を脅かす闇の気配は彼らの関わりを加速させていく。

    恐怖をもたらすオバケはひたすら可愛い。
    可愛すぎて、何度読んでもオバケの行動が思考を邪魔してくる。なんでチャーハン食べてんのん。
    違う、何の話だったっけ…そう、川上が恐怖を感じるもの。あたって酷い目にあった生牡蠣、元上司のポエム手帳、ダンゴムシの裏、それから人を好きになること…

    川上が銀行員時代に抱えた闇は重く、前田が残してきた後悔は深かった。現状に満足しきれていない彼らに、オバケちゃんが関わることで何かが変わる。
    比喩的で混沌として、実はシンプル。
    呪いのような愛と愛のような呪い。物語の始まりが視えるラストは、やっぱりロマンチックなものでした。
  • 四十九日のお終いに 田沼朝作品集

    田沼朝

    作者さまの描く人間が好き
    ネタバレ
    2026年1月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ハルタで連載中の「いやはや熱海くん」の空気感が好きでこちらも購入。作者さまの平らかな持ち味をふんだんに堪能できる短編集。青年ジャンル。

    父親を亡くしたばかりの主人公と世話焼きな友人との長きに渡る関係性を通して、人生の揺れと核について改めて気付くブロマンスな表題作が一番長く(50ページ位)、全235ページ8作品。あとご褒美みたいな描き下ろしがひとつ。
    女性の友情や家族、ほんのりBL的な話も何組か。
    少し不思議なお話もあって、靴のかかとが愛おしくなる。

    大人の、学生の、生きていたら多分そんな日もあるだろう何でもない日常と、彼ら彼女らの思考。
    生きていくため、後へと繋いでいくために毎日同じようなことを繰り返して生きているけど、意味がありそうで無いような日々に放っておくと固まってきてしまう心が、彼らの思考と空気感に触れ何となく解されていく、ような気がする。

    作者さまの描く家族友人、人間の発する言葉がとても好き。
    スーパーで買ってきたような惣菜をね、他人様の手作りって言うのですよ。こんなん、好きになるしか無いでしょ…

    描き下ろしで描かれた表題作のふたり。
    ジュースの一杯も断れないと指摘してからの提案、それまで横顔だった彼の真正面からのショットと、セリフ。
    …たまらん。面倒見のいい奈良秋くん、私はもっと君が知りたいし、君に世話される司くんが見たいよ。
  • うつくしいたましい【分冊版】

    小松

    純粋で美しいもの、汚くて醜いもの
    ネタバレ
    2026年1月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 未完を承知の上で読む。
    うつくしくてヒリヒリとした、刃物のような作品。
    暗闇と光を感じさせる描き方が、物語をより美しく神聖にしている。
    次の瞬間には消えて無くなりそうな脆さが何故だか眩しい。

    親に期待せず、生き抜こうとしている優等生赤根。
    親に期待されず、与えられない愛に囚われている一軍葉室。

    持っていて当たり前だとされるものを持たない不幸。
    でも、自分だけが不幸な訳ではないと理解もしている。
    正論で助けられる話じゃない。
    もうため息しか出てこない。

    赤根が強くいられたのは行動しないと生きていけなかったからで、実は危うい。
    けれど葉室は愛を知っている。
    奈津子さんみたいな大人もそばに居る。
    先生もどうか気付いて、力を貸して…

    連載は追い詰められた赤根の分岐点で止まっている。
    葉室に救われて欲しいと、切に願う。
  • 友だちと、あやまち。

    七海リキ

    まさに友情越境BL
    ネタバレ
    2025年12月31日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙の彼らの表情に惹かれ、見つめること数十秒。
    前作でも登場人物の表情がとても素敵な作品を描かれていた作者さま。期待を込めて、新刊購入。
    期待以上のドキドキだった…!

    キュートで明るいタイプに見えるけど人見知りで一歩引きがちな榛名と、一途で強引な所がセクシーな一誠。
    作中での表情、眼差しも、めちゃくちゃ良くて魅力的。
    物語もほぼ彼らの関係性のみに焦点を当てて進むので、キャラクターの良さがより一層、発揮されて際立っている。

    中学時代、たまたま窓際に集まった友人4人。
    社会人になり結婚が見え始めても集まり続け、スマホに登録されたグループ名は「西中窓際族」。
    これだけでもう彼らがとても大切な仲間たちだと分かるし、そんな友情の中でのふたりが、片や長年の想いを募らせ、片や無自覚に惹かれていて…。

    あやまち、ではないけど関係を持つようになり、それでも壊れないほどに深い友情が、とても真っ直ぐに伝わってきてそこが良かった。ラストのセリフもすごくいい。
    榛名の職業は少し意外だったので、番外編とかでもう少しその向き合い方などを詳しく知りたいかも。

    信頼ある人との幸せな行為も見応えたっぷり。
    それにしても一誠がいい男過ぎてたまらん!
    色っぽくて優しくて強引で甘い。
    たまに見せる無邪気な笑顔もニヤリ笑顔も、たまらーん!

    いま読み返してて初読の時も思ってたんですけど、一誠のセリフも随所でたまんないですね。俺で、俺が、俺たちは…。はあ、かっこいい。一誠のたまんない語録作りたい。
  • 【電子単行本】アフターファイブ&ファイブ

    西田ヒガシ

    愛を見つけたら、離しちゃいけない
    ネタバレ
    2025年12月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 単話版を何度も読み返していた西田ヒガシ先生の作品。
    緩急、リズムが良くて毎回痺れる。
    ユーモア感じる表紙と扉絵も最高にカッコいい。さりげない心配りがいじらしい、野菜一年これ一本…!

    人生を愛していると言う清水。
    昼は仕事に励み、夜はジョナサンとして楽しんでいる。
    けれども地方営業からやっと戻った本社では、前ほど稼ぐ喜びが感じられない。身体を満足させてくれる男は大抵横柄、優しくしてくる男は本気じゃない。
    楽しい人生を脅かすものを仮面の下に全部押し込め、アフターファイブに踊るジョナサン。
    そこへ現れたのは、愛に逃げられた他部署の上司。
    寂しさと足りなさを抱えたふたりが、会社で店で、近付いていく。

    ジョナサン登場は毎度痺れるほどにカッコよく、法務部の堅物上司沖野の笑顔はやばいくらいにハートを射抜く。
    惹かれていくどうしようもなさは感傷的かつロマンチック。
    目線ひとつがたまらなくセクシーで、頬を染める姿は純情そのもの。押さえていた本音を叫ぶようにぶつけ合うシーンからは、なんとも言えずドラマチック!

    終わり方も余韻があって素敵なので、描き下ろしが無いのは寂しいけれども納得感はある。あとがきは欲しかった…!
    オバケちゃんの方はどうかな。どちらにしても買っちゃうよ、だって大好きだから!!
  • パブリックスクール

    樋口美沙緒

    2巻まで読了。8巻追記心はもうリーストン
    ネタバレ
    2025年12月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 見えない血の鎖に縛られた貴族のエド。
    まだ見ぬ父を頼り日本から渡英した天涯孤独な礼。
    義兄弟となる彼らが通うパブリックスクールを舞台に、身分違いの愛が水面下で渦を巻く。

    長いシリーズなのでちょっぴり躊躇したけれど、挿絵が美しく文章も読みやすい。
    広大な庭に佇むマナハウス。古く格式の高い寄宿学校。
    英国の伝統ある建造物と美少年たちに、それはもう胸が高鳴って…

    貴族のエドは愛を自由に選べない。
    自尊心は高く、まるで王。
    弱さは見せず愛への渇望を力ずくで押し込め、権力を持つ高貴な者としての責務を果たしている。
    そんな孤独な王様が、小鳥のような礼と出会い、チュンチュンと懐かれ…さぞ可愛いかろう。愛せないのは辛かろう。

    冷たく扱われる礼が可哀想で1巻目はひたすら辛い。
    けれど一読目では傲慢で横暴なだけにしか見えなかったエドの仕打ちが、彼の弱さと独占欲を知ってからは、そんなことまでかとたまらなく…

    自ら当て馬になっていくスタイルの二番手ギルもいい仕事をしていて、その成長と感傷には当てられた。意地悪くニヤニヤと皮肉を言いながら抜かりなく立ち回る。彼の心のうちはどうだったのだろう。

    作中のパブリックスクール感がとにかく魅力的。
    閉鎖的な二人だけの休暇、仲間、劇、Xmas…
    この期間が丁寧に書かれているからこそ、大人になってからの物語も魅力が増す訳で。
    特にXmasは特別。散歩してヤドリギ見た後、暖炉の前でホットワイン飲みたい!

    ※追記
    3巻Xmasエド視点良い!ジョナス視点色々補えて助かる。大人に恋人になり、改めて直面する、国が違う血が違う障壁。書ききった作者様に感じる覚悟

    4巻監督生を務める双子のアルとスタン、圭人の過去が辛い。愛のための犠牲、自分で決める居場所、全てを見通す寮代表。恨むより許しを選ぶ圭人が最後は皆に愛され嬉しい

    5巻英アート界で礼が受ける厳しい現実。デミアン辛かったね。展示観たい!ギル、いい奴…好き…

    6巻スタン救済回。不器用で弱いスタンの音楽と愛。渦巻く感情が一読では消化しきれない。圭人はバッハ…わかる

    7巻ご褒美巻。他キャラ視点楽しい、なんとゴドウィンまで!ギル…尊い…。プロフ他メンから一言良い!

    8巻面白かった!描き下ろし2編は主人公達の幸せな未来と愛深まる美しい話。ギルは最早別格、ありがたい…

    まだ何か書いているそうで楽しみ!
  • 泣きそうだから、今はしない【分冊版】

    カサイウカ

    うわー、
    ネタバレ
    2025年12月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ うまいなこれは。レビュータイトル被っちゃうのも頷ける。言っちゃうよこれは、うわーって。
    これだから短編読むのはやめられない。

    一緒に暮らして5年目にして決まる、転勤による遠恋。
    若くもなく落ち着ききってもいない、おそらく三十代カップルの、転勤前3日間。淡々とした日常に紛れて見え隠れする不安と寂しさが、それはもうリアルで。

    どんな気持ちでダンボールに封をして、どんな気持ちで料理して、どんな気持ちで伸びた髪を見つめたの?
    描かれていない部分から、ふたりの愛が音もなく流れてくる日常からの、翌日。

    大人の遠恋の切なさに、胸がキュッと鳴りました。
  • マイ・バッド・ペインキラー【特典ペーパー/電子限定描き下ろし付き】

    紫比呂

    それは救いか、劇薬か
    ネタバレ
    2025年12月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 悪魔に救いを求め廃墟で召喚を試みる玲央と、雷と共に魔法円に現れた悪魔…のような男、天音のお話。

    読み返す度に、おかしみがジワジワ勝ってくる。
    ダーク過ぎずコメディにも寄り過ぎない、独特な塩梅が面白い。
    善か悪か。嘘か真実か。振り切らない着地がクセになる。

    信じていれば救われると説かれ育った玲央と、悪魔のようだと言われながら育った天音。
    汚い現実や母親の死から、負の感情を肯定してくれる存在に救いを求めるようになった玲央は、悪魔のようなやり方をする天音を拒絶しない。
    天音は玲央の、玲央は天音の、痛みを救う共依存。
    過去の罪や生い立ちに詳しい説明はないけれど、所々に書かれた描写から読み取るのがまた面白い。

    天音の、荒々しそうなのに優しい抱き方と、甘党なとこが意外で良かった。玲央のそばかすもポイント高い。
    過去の天音を使い魔のように扱っていたオールバックの彼のひとの、鋭い目付きと孤独もそそる。
    描き下ろしと、コメディ寄りの特典もツッコミどころが多くて面白い。

    ねえこの作品、絶対いろんな設定あるでしょ。知りたい…。
  • 太郎 DON’T ESCAPE!

    mememe

    た、楽しかったッッッ!!!
    ネタバレ
    2025年12月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 逃げてるたろくんかわいいよ〜〜〜

    一軍イケメンズのオシャレなカッコ良さに既視感が…と思ったら、フェイバリッツの作者様だったのですね。新刊ノーマークでした。レビューありがたいです。

    かわいくて楽しくて、胸踊る新刊。買えて読めてとても嬉しい。おかげで今日一日が、いい一日で終われます。
    (というか一日どころか数日たっても興奮冷めやらずでレビューを読み漁ってはうんうん言いながら沼にハマった同志を求めてジタバタしてます…)

    構成は同じ作品の前後編がふたつと描き下ろし。
    最初の方の前後編は、視点が変わると読み返しも楽しくて、もう何度最初のページまで戻ったことか。
    するとどうでしょう、最初から可愛いたろくんが、ますます可愛く見えてくるのです。

    甘やかしたいの激しく同意!着ぐるみ男くん行け!!!からの、後編の最後!あーーーもう、ほんとこういう瞬間のために私は読んでる!って声高らかに叫びたい!!

    ふたつ目の前後編も、友達関係クラスメイト関係がすごく楽しくて、からの、好きになっちゃったドキドキや切なさが伝わってくるシーンに胸がギュンギュン。
    コインを入れた後の背中のシーンとかすごくいい。笑って欲しいから、してあげたいことがいっぱいなんだねえ。なのにたろくんの笑顔は別の場所にあって…切ない!!!

    たろくんが笑うとほんと嬉しい。たろくんが泣くとほんとかわいそう。見開いたお目目がほんとかわいい…。

    というわけでグッズが欲しいです今すぐに。
    あらゆるたろくんを捕らえたい。好きすぎて物欲全開。
    すっごくすっごく楽しかった。私も続き読みたいな〜〜
  • 【全1-7セット】愛する人にはいつだって捨てられる運命だから【イラスト付】

    SKYTRICK/yoco

    読むならぜひ、一気読みできる環境を。
    ネタバレ
    2025年11月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 公爵家の三男でありながら商売を手掛け成功しているライハルトと、黒猫の獣人ミカのお話。

    冒頭から仕えていた男爵令息に捨てられるミカの境遇がとても不憫で、それはタイトルからも想像がつくのだけれど、作者様の書かれる不憫は、私の可哀想メーターを毎回きっちり振り切ってくる。幼い頃に読んだおとぎ話や名作童話の、可哀想な主人公たちくらい可哀想な目にあうじゃん…。
    こんな不幸ある!?ってくらい辛い思いをしながら、健気に耐えるミカは弱いのに強い。

    貴族なのに口の悪いライハルトの出自もなかなかに辛いものがあって、そこから力を付けていった彼の剛胆さは読んでいて気持ちがいい。いつでも強くて運命ですらも、いとも容易く変えてしまう。
    人間嫌いなところがあるのに使用人たちには慕われ、猫には優しい顔を見せつつ、ミカを揶揄うライハルト。どこか少年のようなところもあるし、優しくて強くて愛情たっぷりな愛し方も素敵だった。

    規格外なほど豪快に与えるライハルトと自然に受けとめるミカの図が、いいカップルだなあと思えてとても好き。
    なので番外編は、読んでいて息が止まってしまいそうな種類の幸せと、その結末でした。

    勧善懲悪。けれど、悪者の懲らしめられ方が激し過ぎないのにも、ちょっとホッとしてしまった(他の作品が強烈だったから・汗)。フォルカーも、自業自得とはいえ哀れな男。過去を思うミカが切なかった…。
  • もののふっ!

    琥狗ハヤテ

    愛と忠義と責
    ネタバレ
    2025年11月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 戦国時代。合戦後の亡骸から生まれた物の怪(猫ちゃん…)と、武士(もののふ)のお話。全3巻。

    4コマ漫画で進む「もののふっ」、ストーリー漫画「武士」、「もののふサイレンス」からなる構成。
    4コマ漫画ではもののふの心得と癒しの日常が、ストーリー漫画では合戦後から次の戦までが、「〜サイレンス」では各人が武士として抱く決意が、それぞれ描かれています。
    BL的には何組か。武士の崇高さと色気がたまりません。

    慈悲深いお館様の十條寺が、もう本当に漢!って感じで。痺れてしまいます。豪胆かつ才を持ち、人望もあって。
    家臣になった物の怪菊三(絶対魅了を持つ猫ちゃん…)、筆頭家臣の隻眼九鬼、流浪の武士八木などなど、もうみんな大好き。ああカッコいい。ああ色っぽい。
    巻末の設定資料集、カードにして集めたい。戦国ゲームとかにして、十武将を箱推ししたい。

    落ちた山椿を哀しむ菊三に、見事な最期が立派な武士のようだと慰めたお館様。3巻途中からは、愛と忠義と武将の責に号泣。なすべき務めはあれど、生きてこそだと、菊三に教えられた気がします。
  • ほしとんで

    本田

    知ると楽しい俳句の世界
    ネタバレ
    2025年11月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 短編作品が素晴らしかった本田先生の女性ジャンル作品。
    八島大学藝術学部。通称やし芸。戦後長らく有名人および、ちょい変人を輩出し続けている迷学部。
    文芸学科に入学した主人公流星が必修ゼミで割り当てられたのは、行きたかった小説ゼミ…ではなく俳句ゼミだった。

    KADOKAWAセールで全巻購入したこの作品。
    初っ端から面白い!クッソ面白い!(失礼。登場人物のレンカさん風に言ってみました)
    まだ読み途中なのですが、面白すぎてワクワクしちゃって、たまらずレビュー書き始めちゃいました。

    他ゼミへの変更申請をせず俳句ゼミに残ったのは、個性豊かな生徒5人。迫力あるハーフのレンカさん、小説の好きな薺さん、活きのいいオタク春信くん、常に冷静で底の見えない流星くん、赤ちゃん連れで通うママみどりさん。
    彼らのキャラが特別に濃い訳ではなく、やし芸は、お互いこそが変人だと、変人の素養を持った生徒たちが思い思いに芸術への愛を持ち学んでいる。
    ゼミ以外の生徒や先生たちも一癖二癖あり、学校内での出来事や会話、それ自体がもう面白すぎるのです。

    そしてなんといっても、俳句が楽しい!
    未経験な生徒(と読者)に対して、じっくり丁寧に教えながら、俳句の奥深い世界と出合わせてくれます。
    難しいかな…と思っても、それ以上に生徒たちが楽しい反応をみせつつ、チャレンジしていってくれるので大丈夫。

    個々の作品、選句や講評も面白いです。五・七・五のその中に、世界が宇宙が広がります。

    私は春信くんの人柄と、十三先生の頼もしいカッコ良さにも夢中です。3巻で登場するぽろり先生も素敵だし、流星くんとイケメン幼馴染航太郎くんの関係性もとても素敵。
    すっごく楽しいですよ。おすすめ!
  • 作業着男子

    そうゆず

    ストーリーがとても良かった!
    2025年11月18日
    レビューを読んで試し読みする前は少し勘違いしていたというか、作業着を愛するための作業着本かと思っていて。
    もちろん作業着男子の逞しさとか働く男のカッコ良さとか、それはもう大好きなんですけれども。
    それだけではなくて、お仕事もしっかり、ストーリーもしっかりな、読み応えのある作品でした。

    匂いから惹かれるっていうのもすごくよく分かる。
    相性が良いというか、遺伝子から求めてしまうというか。きっと落ち着く、いい匂いなんだろうなあ。

    雪斗の失恋の切なさからの、悠臣の優しさと安心感。
    一緒に仕事をしていく中で尊敬し、何かが始まっていく感じにときめきました。悠臣の照れ顔もキュンとくる!

    全208ページ。そのうち、雪斗の初恋を描いた「トゥースプラウト」が98ページ。これがまたすごくいい話で…。

    本編もすごくいいところで終わっているので、ここからふたりがどうなっていくのか、めちゃくちゃ楽しみです!
  • 温泉で秘密のお泊り、241回目

    未散ソノオ

    効能は、キュンと癒しと尊みです。
    ネタバレ
    2025年11月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 月に一度の秘密のお泊まり。
    行き先は毎回決まって温泉。その時々で違う場所。
    学生時代のツーリングから始まったふたりの逢瀬は、重ねに重ねて20年。その数なんと、241回目。

    もうね、ふたりの歴史がたまらないのです。
    お互いを尊重した上で決めた秘密の旅行を、こんなにも長く続けている。学生が社会人になり、転職だの昇進だのと目まぐるしく生活が変わっていく中で、双方ともに約束を守って関係を守っている。
    その結果が、241回、242回、243回…と重なっていく訳ですが、並大抵の決意と努力じゃ出来ません。そしてそれこそが、ふたりの恋と愛の姿なのです。
    秘密がもたらす切なさも、積み重ねた愛と信頼があれば揺るがない。身軽なツーリングと安宿から始まり、大人の嗜みを楽しむ豪華な旅まで。その歴史と覚悟と、ふたりの、ふたりにしかわからない領域に、浪漫を感じてしまうのです。

    シゴデキなかっこいいオジサンふたりが、キャイキャイキャッキャと楽しそうにしているところも、この作品の魅力です。キュンとして癒され、ふたりの愛に、胸がいっぱい。明日からもまた頑張れそう…。

    個人的なツボは木村さんのバイクとライダースーツ。めっちゃイメージ通り!ヤ◯ハのセローとか乗ってそう。

    描き下ろしも素敵だった。木村さんはずっと可愛い。そして石田さんの愛は深い。

    単話では、月に一回、今月のご報告みたいで、追うのがすごく楽しかったです。なので、続きはそちらもお勧めします!
  • 影の国から

    高岡あまね

    読みはじめたら止まらない
    ネタバレ
    2025年11月15日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 皆さん仰ってますが、設定が面白くて引き込まれます。
    あっちの世界とこっちの世界。同じことが起こるけれど、片方はもう一つの方の影の国。
    ネタバレで作品の面白さ(衝撃)が薄れるかというと、私はそうでもないというか、作品の方が超えてきた。

    影の国の住民には、表の世界とは別人格の自我を持ってしまう者が稀にいる。
    彼らが影を使い表の世界に干渉すれば、表の世界は影響を受け、そうした混乱を取り締まるための番人も存在する。
    それなら何故、自我は芽生えるのか。

    世界のあり方が意味するものは謎のまま、淡々と進むストーリーが面白すぎてワクワクしてしまった。切なさも悲しさも寂しさも一緒に。こんな時、物語を読む観る知るのがやっぱり大好きだって思う。
    表の世界の当真と和樹。影の国のトウマとカズキ。そして影の国の番人として生まれたトワと、例外オサム。
    独特な絵柄と世界観がマッチしている。私はとても好き。
    フォローさせていただいている方のレビューを読んで購入する機会を伺っていた作品。いつも有難いですほんとに。
  • ラブ キス(2)

    一穂ミチ/yoco

    ゼロからの再スタート
    ネタバレ
    2025年11月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 自由になっても、何もない苑。
    手に職をつけ料理を覚え、自立だってしているのに、自分の愛し方を知らず、何にも愛着を持たない、空っぽな苑。
    ただ明渡だけが、昔と変わらずそばに居る。
    前作で、全てを諦め別れを選んだ苑と、諦めなかった明渡。
    新たな道を模索するふたりの、結末までをじっくり辿る。

    事故の影響でブーストがかかっていた明渡だけれど、元来の強引さが無ければ、事故前後、手術前後関係なく、ふたりが一緒にいることはなかった訳で。
    けれどもその強引さに苑が身を委ねているだけでは、結局は何処へも行き着かないし、いずれ関係は破綻する。
    愛し、愛されても良い存在なのだと自分を認め、その上で明渡を選ぶ。とっくに腹を決めている明渡からではなく、苑からじゃなきゃ、本当の意味では前に進まないのだから。

    本作は、ここから苑の内面を抉っていく。
    かつての自分を思い出させる放置子・実留(みのる)と苑を出会わせ、拒絶させ、向き合わせることで、綺麗ごとだけでは済まされない救いを、一穂先生は用意する。

    前作の明渡も救いとして完璧な存在ではなく、喪失は物語が残す爪痕を深くした。そして今回、当時の心情が語られることで、その混乱と覚悟を読者は目の当たりにする。
    出した結論のブレなさは、子供の頃から一貫した明渡の強み。どんな苑でも受け止めてみせる度量の大きさに加え、常に本質を見極め、いつでも明るい方へと苑を導いてきた。
    それが明渡という男の、強さと魅力。

    紆余曲折とするけれど、決していたずらに不幸が訪れていた訳でも、振り回されていた訳でもない。動いた感情は、苑と共に救われました。新たな道の風景と願いが、不確かだからこそ、美しかった。
    呑まなかったお酒を楽しみ、ほろ酔いで明渡に絡む苑が無防備で嬉しい。どんどん世界を広げて、明渡を焦らすといい…などと、そんな未来を想像しました。
  • キス

    一穂ミチ/yoco

    自由
    ネタバレ
    2025年11月8日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 家庭環境に恵まれなかった苑(その)と、苑を気に入り、気にかけてきた幼馴染の明渡(あきと)。
    恋すら生まれていない小五の彼らが、男女のキスを目撃したことから、後の人生を変えていく。

    心理描写が巧みで、苑の人生を思うととても辛い。淡々と受け止めるしか方法を持たない、どこにも行く場所がない苑の残酷な人生。親に虐げられる残酷、周囲から違う目で見られる残酷、失ったことに気が付いてしまう残酷。
    特に両親の存在は最初から最後まで残酷で、どうしてくれんだと苑の代わりに胸ぐら掴んで罵りたい。散々放置していたくせに、最後のバイト代だとか手に職だとか、だから何だと思いたいのに、どうしたって切っても切れない存在の感触が生々しくて。親との関係を書くのが本当に上手だなと思う。

    前を向くことが出来た苑は、決して弱い人間ではない。けれども、明渡の度を過ぎた執着がなければ、苑の人生は今ほど強くは歩めていない。いつか消えてしまいそうだった苑にとって、明渡の熱に浮かされたようなあの期間も、意味があったということか。
    明渡をそうさせた、最初のキスから動き出した歯車が例え回っていなかったとしても、明渡と苑はお互いを求め合っていたのではないか。もしそうなっていたら、果菜子ちゃんを含めた3人の人生は、どんなものだったんだろう。

    明渡の親戚で、明渡とはまた違った意味で救いである果菜子ちゃんは、苑にとって正しさであり、憧れであり、故に負目を抱いてもいる。早朝の駅でのシーンは、絡まった糸が解けたような、昇華されたような、清々しい許しがあった。女の子もまた、強い。

    何かを読み終えた時に、どうしてこの物語が作られたのかなってよく考えるのですが、苑の残酷な人生に真っ向から向き合い、痛みを持って救う。不自由な彼が自由を選んで、自分の意思で歩き始めるようになるまで。そんな作品だと、私は感じました。
    とりあえず明渡の言い分も聞きたいので続編読んできます!
  • 当園は閉園致しました【分冊版】

    むだ

    前後編。めちゃくちゃ良かった!
    ネタバレ
    2025年11月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 廃園予定の動物園園長・むちかわ朗らかハルさんと、動物学科の大学生・北川くんのお話。とても良い前後編。
    以前レビューを読んでからずっとカートに入れてて、今回前編が半額なのでやっとこさ購入。読んだらたまらず、後編も即ポチ。これは買ってよかった!

    園長のハルさんは、むちっとしている力持ち。よく食べよく働く朗らか天然。笑顔がすてきでかわいらしい。
    動物たちを心配してバイトに応募する北川くんも、真面目でよく働くとても良い子。ガタイの良さと顎ひげと、困った風な三白眼が色っぽくて雄味を感じる!

    フェチえちとある通り、ハルさんの肉感がたまらない。柔らかそうで、心地良さそうで、ちゃんと筋肉もあって。
    先生のXで他作家様による立体化されたハルさんを拝見できるのですが、これがほんと素晴らしくて。続き…続きでハルさんの全てを見せて欲しい…けれど、服越しの肉感とチラ見せの色っぽさもいいんだよなあ。

    なによりストーリーが良いのです。
    その後の彼らの働きぶりを是非とも読ませていただきたい!教授も気になる〜
  • アイズオンリー 【イラスト付】

    一穂ミチ/小椋ムク

    機微に触れる
    ネタバレ
    2025年11月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 一穂ミチ先生の小説を、BL・一般と読み漁り中。
    人気シリーズもそれぞれが納得の面白さだけれど、それ以外の作品もテーマが興味深くて、何かしら胸に響いてくる。
    毎回毎回心の中の違う場所を、冷んやりとした濁りのないもので打ちつけられている。痛くてその分、心が動く。

    小さい頃は目が見えなかった編集者の数真と、ある事情を抱えたCGオペレーター縁(ユカリ)のお話。
    タイトルに込められた意味に思考をめぐらせ、当たり前が当たり前じゃないふたりの縁(えん)に、運命を見る。
    叔父の訓(さとし)さんが素敵な人だった。

    野球観戦の時に見た広大な青空の解放感と、人魚姫の絵本が後からじわじわと効いてくる。序盤の女性関係に一瞬違和感を感じたけれど、縁を知る上で必要なエピソードだったかもと思ったり。
    当たり前だと思っていること自体について、考えさせられるお話でした。
    BLとしてよりも、ふたりが置かれた人生に惹かれた作品。
  • サヨナラに編むは、

    梅松町江

    とても素敵な本でした
    ネタバレ
    2025年10月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ どうしてこんなに心を打たれるんだろう。
    どこからこんなにも暖かさが伝わってくるんだろう。
    読ませていただいたレビューから興味がわき購入したこの作品。とっても素敵な本でした。

    趣味を持とうと柊真ホーキンスが書店で選んだのは、著者の糸瀬もステキな、男子による男子のための編み物の本。しかし始めてみると、目の作り方から分からない…。
    確かに写真と文字だけだと、編み物の説明って難しい。
    糸瀬の編物教室に通うことにした柊真は、誠実で優しくてキュートな人柄の糸瀬に惹かれていく。

    妻を5年前に亡くした糸瀬が、編みかけのまま目を背けていた、思い出の靴下。一方、妻が編んだ思い出の品を日々使いながら生きている柊真のおじいさん。
    乗り越え方や時期は人それぞれだとは思いますが、残された側の人間が、こんな風に前を向いて生きていけるようになるのなら。先に逝った側も、少しはホッとするのかな…などと思いながら、読みました。

    誰かのために何かを作る。ひと編みひと編み、あなたのことを、大事に思っている人間がここにいるよと伝えるように。

    真っ直ぐでスマートな柊真が素敵でした。
    作者様の他の本も読んでみよう。また楽しみが増えました。
  • 俺様は栗である

    つづき春

    水井恭一が、良いスパイスに。
    ネタバレ
    2025年10月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 父松五郎をはじめ、会社員の長男梅太郎、専門学生で次男の柊、男子校に通う三男竹生、受験生の四男桂。味のある犬・栗之介が住む杉家は、母を亡くしたばかりの男所帯。

    誰が家事をするのかと会議をするも、どこか達観した四男が手を挙げ、そのフォローは次男の柊が。そしてこの柊、実は男性の恋人がいる。

    本作は「水井恭一のTEENAGE LUST」のスピン元。
    ルチルでアンソロジーからの連載をしていたのは1998年〜2000年とのことで。水井妹がまあまあ酷い発言をサラッとしたりするのも、時代なのかと感慨深く。

    高三の三男竹生が水井と同級生なのだけれど、桂や柊カップルを巻き込んでのドタバタが面白い。
    いろんな人間がいていいんだなあとホロッとしたり、子供の方が大人よりおとなでハッとしたり。

    全187ページ。BLというより家族がテーマの群像劇。
    つづき先生の描く、飾らず気負わず正直に生きるキャラクターが好きなので、私は大いに楽しめました。
    結局カップルは柊だけで、濡れ場はナシ。梅太郎には、会社の後輩くんに想像もしなかったような世界へ連れていってもらいたかった。残念!
  • 恋だってできる

    切江真琴/木下けい子

    眼鏡に始まり眼鏡に終わる
    ネタバレ
    2025年10月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 眼鏡美人と眼鏡イケメンの、眼鏡を介した恋のお話。
    優しい文体で、すらすら読めて楽しいBL小説だった!

    眼鏡フェチで眼鏡店勤務の一咲(イサキ)は、いつも眼鏡好きが高じて振られてしまう、残念な眼鏡美人(伊達)。
    天然気味でかわいくて、なんだかとっても癒されちゃう。
    とにかく眼鏡が好きで、眼鏡を愛している。
    眼鏡に対するこだわりからは眼鏡への敬意を感じ、眼鏡に対する慈愛のこもった真摯な姿勢は全くブレることがない。

    一咲と二度も偶然に出会う京(ケイ)は、会社員の傍ら料理動画「適当セルフ飯」を、黒縁眼鏡に大きな赤い鼻とカイゼル髭で配信している、眼鏡イケメン。しかもイケボ。
    気さくでお喋りの楽しい彼はリスナーからも愛されている。
    ちょっとヘタレで優しくて、勘違いしながら一咲に恋していく姿にはキュンキュンしちゃうし応援しちゃう。

    ゲイとノンケの恋なので、乗り越えなくちゃいけない問題が出てくるのだけれど、そこでくるタイトルがすごく良かった。これは言われて嬉しいと思う。
    眼鏡美人、しかし中身はふわふわな一咲だけど、要所要所で男気があって、読者も惚れる。

    肌に触れていく一連のシーンもすごく良くて、一咲のかわいらしさと京の優しい口調と昂りに、とってもドキドキ。
    京を逃げ腰ヘタレにした過去の原因も、最終的に霞んでいくほどに幸せなふたりが微笑ましい。額がぶつかって笑い合うシーンがとても素敵だった。

    最後の最後まで眼鏡を介する、とても面白くて楽しくて、幸せになれる作品でした。眼鏡欲しい!
  • おかえり水平線

    渡部大羊

    等身大の高校生たち
    ネタバレ
    2025年10月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 少年ジャンプ+で連載中の少年漫画。じわじわ売れている作品なので気になっていたところ、読ませていただいたレビューが後押しとなり、購入。とても良かった!
    CREA夜ふかし漫画大賞6位。(この漫画大賞、気になる受賞作品ばかりで、2位の「壇蜜」も読んでみたい…壇蜜日記大好き!)。

    港近くの古い銭湯、柿の湯。その銭湯の窓からは、まるで額縁に収められたかのような海が見える。
    高校生の遼馬が祖父と営む銭湯に、父の隠し子を名乗る少年玲臣が訪れてきたことから始まる高校生群像劇。

    無理に人と馴染まない遼馬も、親の勝手で割を食いながら淡々と過ごす玲臣も、割を食いながら自分を強く持って居場所を決めた秋野さんも、とてもいい。

    ジャンプラは、等身大の少年少女を新しい感性で描いた良作を多く輩出しているイメージがある。人の心の、繊細でデリケートな部分を当たり前なこととして受け止めてくれる「普通」の輝き。とっくに成人し最早ゴニョゴニョ…な年代の自分も、おおいに救われたりしています。

    2巻は11月4日発売。ジャンプラで読んだ感じでは、おじいちゃんがまた良くて…。
    年を重ね、いつか自分もこんな風になれるだろうか。
    課外授業や文化祭など、クラスメイトの出番も増えてきて面白そう。2巻も楽しみです。
  • ぼくのブルーキャット

    井波エン

    その音を、思い浮かべながら
    ネタバレ
    2025年10月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 美しい表紙に惹かれ、新刊購入。主人公のふたりも物語の世界も、とても哀しく美しかった。

    若き天才ピアニスト依鈴と、幼馴染で調律師をしている当真のお話。訳あり風な冒頭からうっすらと見える、心は繋がりながらも、何かが邪魔をするふたりの距離感。
    暗い自室のグランドピアノの下で、楽譜にまみれ猫のようにうずくまる依鈴の身体は、壊れてしまいそうな繊細さと孤独な心を滲ませている。

    学校からのコンクール推薦は辞退し、海外へも行こうとしない依鈴。日本を離れたがらない理由を問われれば、脳裏に浮かぶ当真の微笑みと、じっと見る自身の右手。
    二人の過去に何があり、今の関係に落ち着いているのか。
    添い寝からの右手にキス。雨の日のショパンと、連弾。そして説明のいらない、魅せる画力。
    次々と絵で語られていく美しいシーンが、たまらない。

    静かに哀しい音が張り詰めているような場面もあれば、綺麗な音の粒がふわふわと漂うような場面もあり、美しい。
    ツンツン美人な依鈴と優しい包容力美男子当真の顔面にいたっては、美しすぎてしばし見惚れてしまうほど。
    にゃんこのほこりも、重そうなフォルムがとてもかわいい。

    指揮者として名を馳せている父からの敢えて厳しい助言。同じくピアノの道に進む、兄思いの弟。音楽家ならではの葛藤と、恋と罪悪感が絡み合い、物語に引き込まれていく。
    決断と覚悟からの、同じ楽譜を思う絆と、音から感じとる姿も良かった。そして足を踏み入れる、過去の出来事…。

    途中、未成年への性的加害を示唆する表現があるとの注意喚起ページが設けられ、読み手への配慮がされています。
    とても心が苦しいです。

    全240ページ。とても読み応えがありました。
    最終話で体のあちこちが痛くなった理由は、bonus trackで。練習の成果、どこかで見せてください。

    ふたりとも色っぽいし美しいし、ほんと眼福。お互いがお互いしかない感じもすごく良かった。
    世話焼き当真が住み続ける一軒家に彼の重い一途さを感じるのもいいし、ご飯作るのも爪切るのも、すごくいい。
    調律師当真のエプロン姿も癖でした…
  • ゆうづつは藍にとける

    青井秋

    しっとりと、美しい
    ネタバレ
    2025年10月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 静かで物悲しくて、繊細な作品。
    美しい絵と美しい言葉が創る美しい世界を、宝石の内包物をじっと覗きこむ時のような感覚で読む。
    少し肌寒い静かな雨の日の読書に、なんてジャストな作品かしらと、味わう贅沢。

    恩師の家で下宿する駆け出し作家と書生のお話。
    大事な友人への憧れが崩されることを恐れた過去の慎太郎。多くを語らない慎太郎は、どこか人を惹きつけ狂わせる。
    人懐こさと繊細さを持ち合わせた章吾は、そんな彼にぴったりなわんこ。
    言葉で紡がれ、形にならない言葉が溢れる。

    とても美しかった。
    あとがきから見返す表紙も素晴らしい。

    生身の身体から漏れ出た感情、想い、魂。そんなようなものに触れられる青井先生の作品は素晴らしく好み。
    まだまだ知らない良作が沢山あるかと思うと、とても嬉しい。
  • 恋するとオバケが飛んじゃう俺に親友が付き合おうと言ってきます

    ぽっち

    番外編!
    ネタバレ
    2025年10月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 本編は小冊子付きの特装版を購入したので、こちらでは同人版の番外編レビューを。

    はわしか言わない生霊ちゃんとケンカしてしまった愛斗と、愛斗のために頑張る生霊ちゃんのお話。
    あとがきで触れていますが、先生の性癖のひとつに自分×自分があるそうで。そうして生まれたのが、生霊ちゃん。
    番外編ではその色が少し濃く出ているようです。

    もろもろ含んだ全52ページ。電子特典の描き下ろし漫画は、弟子入りしてる時の生霊ちゃん。

    仲良しな愛斗と生霊ちゃんに、可愛くて癒されちゃってる拓弥ですが、「個」を形成されつつある生霊ちゃんに、もうちょっと警戒してもいいかもよ?!などと、横から言いたくなる番外編でした。
    まあまあえっちな生霊ちゃんだけど、愛斗もしっかりしてるし元々ひとつだし、心配無用かな。
    はわはわあははしてるふたり?が可愛かったです。
  • 恋するとオバケが飛んじゃう俺に親友が付き合おうと言ってきます【電子書籍特装版】

    ぽっち

    とってもかわいい!
    ネタバレ
    2025年10月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 生霊体質なばかりに大学生になっても恋が上手くいかない愛斗と、幼馴染でホラー好きなイケメン拓弥のお話。

    俺なら生霊飛ばされても怖くないよ?と生霊が見たい拓弥の提案から始まるお付き合いですが、もともと初恋が拓弥だった愛斗は狼狽えつつもとってもドキドキ。可愛い生霊ちゃんは、ふよふよはわはわ。今にも拓弥の所に飛んでいきそう。

    キスにデートに楽しく過ごし、今まで知らなかった愛斗を見ていく拓弥も、次第に愛斗に引かれるように。
    けれど、そうとは知らない愛斗の心は複雑で…

    ぽっち先生は、先生の雰囲気も作品も大変可愛らしくて、読んでいると楽しくてとても癒されるのです。
    読み放題作品が沢山なのも、嬉しいところ。そしてどの作品も、イケメンが!麗しい!

    全211ページ中、本編140ページ
    描き下ろし①32ページ、拓弥の嫉妬。おっきくしながらはにかんでても絵になるイケメン、見守る生霊ちゃん笑
    描き下ろし②オバケちゃんのひみつ・トリセツ
    あとがき2ページ、カバー下、電子特典1ページ
    電子特装小冊子26ページのうち、描き下ろし12ページ、みせっこ。特典ペーパー、バラエティ豊かな柄の愛斗のパンツ

    めっちゃ盛り沢山!そしていつでも生霊ちゃんが一緒!!
    そんな生霊ちゃんが誰かの元に飛んでいくのも、ちゃんと理由がある訳です。かわいいなあ。
    通常版の方にある同人版「生霊が消えちゃった!?」も気になるので、買ってきます!
  • 水井恭一のTEENAGE LUST

    つづき春

    経験豊富な水井恭一が、初めて手に入れる恋
    ネタバレ
    2025年10月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 時代的・倫理的・地雷的に引っかかるとこはあるけれど、そんなもので拒絶してしまうには勿体無い、つづき春先生のBL作品。紙発売は2003年の作品です。
    小声で言いたいのですが、昭和に発売した先生のちゃお付録漫画まだ持ってる。原島工業高校、サイケくん好き!BL描かれているの知らなかったので、見つけた時は嬉しかった。

    とても「十代の恋」と一括りにはできない、モテ男・水井恭一の男性遍歴。この作品で振り返るのは、彼の13才から16才まで。どのお話も、別作品として読めそうな内容の濃さ。

    特に13才の彼に色々と教え込んだ、ハタチの大学生本城。
    この出会いと関係がなければ、水井の初めてもその後の生活も、もっと苦しいものだった可能性がある。
    水井と関係を持った14の時の彼も、15の時の彼らも、16の時の仲間達も、そのひとつひとつの経験が、大学生となった今の水井恭一を作り上げていく。
    そして、原点とも言える恋に出会い、立ち向かう。

    自分じゃ言語化できない事まで、他レビュアー様たちが全部書いてくださっています。
    愛があれば他人の人生を変えてもいいのか。いいも何も、それが恋愛。恋って怖いものですね。とても深い作品です。
  • あやし道連れ

    はなぶさ数字

    続きものだけれども、ぜひ読んで!
    ネタバレ
    2025年10月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 凪の洞門、海辺の因習ロマンス。漁業と温泉しかない町に伝わる怪魚の化け物を題材にした、本格的なミステリー。
    絵と見せ方が上手いので、どんどん話に引き込まれていく。

    排他的な田舎の陰鬱さと、作品を取り巻く仄暗い雰囲気。
    幸也が少年時代に洞門で出会った不思議なナギは、バケモノと呼ぶにはあまりにも無垢で、幸也に優しい。

    和やかな現在パートと不穏な過去パート(少年時代)が挟まった展開で、読めない状況の繋がりと因習の謎、出会い求め合うふたりの結びつきが、転がるように、ギュウギュウと深まっていく様が面白い。
    何か取り返しのつかないことに足を突っ込んでいくような過去パートの怖さは、回を重ねるごとに強くなる。

    少年時代の彼らは純情で愛らしく、ナギは幸也の感情に敏感に寄り添い行動をする。盲目的な程に懐くナギのいじらしさには、恐ろしい化け物なはずなのに庇護欲が湧く。
    そして、大人になった彼らの体格差と絡みは、非常に良い!(ここ大事なので太字太線で)
    同級生のイカ推し依田くんも面倒見のいい良い子で、2巻以降どう関わって行くのかとても楽しみ。

    漫画部分は157ページまでで、おまけや広告など諸々含んだ全174ページ。濃いのでもっと長く感じた!
    おまけは描き下ろし3ページ「高遠先生とその彼氏」。
    ナギの長い髪の美しさは幸也のおかげ。ナギの独占欲も垣間見れます。
    カバー下は最初のキャララフと2案が1ページずつ。
    2巻は2026年3月発売予定。

    分冊版5から読める1巻の続きでは、町の大人たちも動き出し、更に面白くなっていく。
    どうして彼だったのか。その謎を追う楽しみを、ぜひぜひ、味わってみてください!
  • としのさ夫夫

    たつもとみお

    年の差、だけではない彼らの問題※2巻追記
    ネタバレ
    2025年10月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ もともとゲイではなく甘いマスクで女性にモテるタイプの在宅ライター潤也(26)と、彼を養う、生真面目で面白味のないゲイの会社員啓司(40)。

    基本二人のやりとりで切り取る1日単位のお話なので、付き合う前の生育歴や詳しい過去は分からない。
    年下彼氏への不安から拗れる感情と、不器用に生きる年上彼氏への愛と支配欲を、ただただ静かに見ていく。

    家でも会社でも言葉足らずで、口にする言葉には思いやりが足りない啓司。自分に自信が持てなくて、養うことだけが潤也を繋ぎ止める術だと信じている。
    常に潤也を失う未来に怯え、その不安は啓司を不機嫌にする。なぜこれ程までに自信がないのか。啓司の過去は、どれだけ彼を傷つけてきたのだろう。

    潤也は愛を伝えるけれども、自信のない啓司には伝わらない。ただ、そんな啓司を可愛くも思っている。
    捨てられた子猫のような年上男性を自分だけが可愛がり、自分だけが愛し、自分だけが言葉ひとつで全てを管理する。
    Sっ気のある静かな行為と、常に逸らさない視線。
    あー、めっちゃ閉じてる。

    啓司を愛し、愛で管理したいタイプの潤也。けれどまだ若いから、上手くいかない時もある。年の差に加え、啓司自身の問題点と潤也の愛し方の方向性が、絡んで爆発して、啓司が潤也と向き合うきっかけとなる。

    言ってはいけないセリフを度々潤也に投げかけていた啓司だけれど、会社での啓司は、そこまで周囲から嫌われてはいないんじゃないかな。ちゃんと部下は早退させてるし、仕事は一人で抱え気味だけど、長く休んでいた社員からの申し出には、助かるって相手に伝えてる。
    潤也へのモラハラ発言も、経済で支えることが唯一の方法と思ってしまっている故で、1・2話での印象は悪いものの、反省すべき点は反省し、後に改善しようと心を改める。

    5年間何してきたのよとは思いつつ、潤也以外には分かりにくくて独りよがりで、可哀想なところが可愛い啓司。そんな風に思えたのは、潤也の目を通して彼を見ているから。
    潤也も面倒臭くて可哀想なところが可愛いな。そしてあの、指まわしプレイ…。分かってないの、啓司の才能では。

    拗れた愛と年の差夫夫それぞれの問題がリアルで、妙に読み返したくなる作品でした。

    ※2巻追記
    愛されて可愛くなった啓司が見れます。潤也の本気も聞けます。少しずつ、夫夫になっていく。
    啓司の「ひんっ」、やはり才能では…
  • しましまのシネマ

    のきようこ

    ふらっと行きたくなる、円シネマ
    ネタバレ
    2025年9月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ずっと昔から街の片隅にある円シネマ。
    いつもちょっといい感じのラインナップを上映してて、若い眼鏡の支配人が出迎えてくれる。
    そんな小さな名画座が繋げる、少し運命みたいな恋の縁。

    短編形式で5話+最終話+アンコール。
    5話目と最終話は支配人たちのお話で、アンコールは描き下ろしの10ページ。これは4話目のふたり。
    各話、何気にタイトルが良い。
    どのお話も心と感情の描写がリアルで痛くて、状況に飲み込まれていく様は、さりげなくドラマティック。

    第1話目は、怖くて恋愛から逃げた先輩と、先輩の言葉に傷付き、必死にマイノリティの可能性から目を逸らしてきた後輩が再会するお話。高まって終わるラストの、七年越しで…の言葉が、熱い余韻を残す。後輩のわんこ味も好み…。

    第2話目は、高校生のお話。これすごい好き。クラスでは無反応でコミュ能力が低そうな山下の、ガードを下ろした後のギャップたるや。達尚と一緒に終始どっきんどっきん。ださいマークなにあれかわいい。

    第3話目は、別れた二人と運命のお話。先生の大人の余裕と、それを剥がした素の顔と涙ぼくろが色っぽかった。最初の電話の時は、どんな顔してたのよ先生…。
    第4話目は、ちょっと無神経な男と、どこか謎めいた男のお話。ハマっていく様と攻防が面白かった。
    第5話目と最終話は、支配人と社員くんたちのお話。意外性もあって、片想いが切ない。こういう噛み合ってない恋人関係で、ちょっとした言葉とかに想いが透けて見えるの、すごくいい。

    そして最後の最後、カバー下。とても粋で、素敵でした。
    ところで、タイトルのしましまってなんだろう?
    しましま…横断歩道…人々が交差する…人間交差点的な??

    フォローさせていただいている方のレビューで気になって、いつか買おうと思ってた作品。とても良い作品でした。
    それぞれのお話にあるという書けなかったエピソード、ぜひ何処かで披露してください!
  • ともだちが欲しい春生くん 【電子限定特典付き】

    碗島子

    純愛とエロと救いとキュン
    ネタバレ
    2025年9月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 友達が欲しくて31年努力中の春生と、気になる人(春生)との距離を縮めたい童貞秋充の、純愛すれ違いコメディ。
    独特な小ネタと空気感で負を包んで俯瞰して、人と違ってても変態でも許される、碗島子ワールドの懐の深さが好き。

    周囲から浮いてしまう春生の不安と孤独にヒリヒリしつつ、秋充のドキドキとエロに恋の始まりを見る。
    受け入れられた春生の期待は、ジャレからイチャへ。
    ちゃんと好きになる過程があって、ちゃんと純愛。
    変態度は比較的マイルドに、エロと救いを同時に味わう。

    ゆったりとした大人で優しい秋充。
    落ち着いていて控えめで、それでいてエロに忠実。
    経験が無い故に、抑えられない欲望は暴走する。
    長めの黒髪に黒いシャツ、童貞故に恥じらう仕草と想いのこもった表情が、とてもえろ…魅力的。

    番外編など、諸々含めて全254ページ。
    うち、番外編は16+2ページ。めっちゃ気になってた登場人物のお話で、大サービス感あって嬉しい。
    描き下ろしは13ページ。これもたっぷりで嬉しい。
    電子おまけは描き下ろしの続きで、4ページ。
    カバー下に、あとがきとワイド四コマ。

    すっごく面白かったし、楽しかったです。
    もしキュンとツッコミの付箋本を作ったら、おびただしい数の付箋がつきそうなくらい、盛りだくさんでした。
  • イエスかノーか半分か 番外篇

    一穂ミチ/竹美家らら

    よりシリーズが好きになる、スピンオフ
    ネタバレ
    2025年9月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 番外篇1〜4は本編のスピンオフとのことで、取り敢えず読まないと先(総集篇)に進めないしな…くらいの軽い気持ちで手に取りましたが。これがもう、びっくりするくらい面白かった。
    番外篇1と2、3と4。それぞれ主役を変え、違ったテイストなので全く飽きない。むしろ深まる。

    仕事への情熱、悩み、努力、成長。若手アナウンサーとFDが、同じ番組で関わるうちに信頼して認め合う。
    番外篇1の中で進む若いふたり(竜起と深)の恋は、なんとも勢いがあって微笑ましい。

    明るくて人好きのする竜起のアプローチは、あっけらかんと真っ直ぐで、その攻め方は優しく落ち着いているのに押しが強い。普段とのギャップも、普段と変わらないそれも、嘘のない竜起らしいもので好ましい。
    番外篇1から2へ加速されていくお互いへの熱量も良く、経験の少ない深から漏れる関西弁は破壊力抜群。
    番外篇2で登場する竜起の旧友、コタも憎めない子で、仕事も恋も、展開にわくわくしたし、最後まで面白かった。

    強烈だったのが、お笑い番組ではADをする深の上司、栄。出来る男の拗れ具合が、主役じゃないのに最高にそそる。
    そんな栄の物語は番外篇3と4。
    疲れきった彼の目を手で覆うシーンは、番外篇1の中でも特に印象に残っていたので、俄然、彼の物語が気になった。

    渦巻く世の中の澱のようなものに疲弊していく栄に、どうかこれ以上傷つかないでと祈りながら読み進んだけれど、語られる社会問題も含め、全員が痛みを受ける内容は、とても辛いものだった。
    番外篇3の後半からは采配の小気味良さに夢中で読んで、大人の愛に痺れる。すごくすごく、面白かった。

    信念や情熱を持って働く全員が個性的かつ魅力的なので、最後はシリーズのみんなが大好き!ってなるし、絶妙な塩梅で顔を出してくるシリーズの面々にも心浮き立つ。しかも、自然で邪魔にならない、必要のある登場なのがすごい。

    コミカライズの方の竜起も好きなので、ユキムラ先生の絵で描く栄や深も見てみたい。
    とても読み応えのある番外篇でした。
  • ねこまた。

    琥狗ハヤテ

    5巻から涙止まらず。あとがきも毎回沁みる
    ネタバレ
    2025年9月2日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 江戸時代。おうちに憑くタイプのあやかし、ねこまた。
    家を守り、生活を見守るだけで悪さはしない。むしろ役に立とうとしてくれる。触れないし見えないし、努力の甲斐なく役に立つことはないけれど、本当に居たらきっと嬉しい。

    そんなねこまたが見える岡っ引きの仁兵衛と、仁兵衛に憑いた黒ねこまたのお話。基本四コマ。女性ジャンル。
    読み進めると四季折々の美しさ、京の人々の生活も見えてくる。岡っ引きが同心の私的な手先だとか、副業するとか知らなかった。
    ちなみに仁兵衛は手仕事としてつまみ細工をしていて、彼の作るかんざしは見事なもので女子(おなご)に人気。

    作者さまの『アタリ』を先に読んでいたので、黒ねこまたと仁兵衛の日常にはほっこり(そしてアタリを読み返し、絆に号泣)。他レビュアー様の仰る通り、健気なねこまた達は最上級の癒し。色々なねこまた達がいて、本当に可愛らしい。

    全6巻という巻数に怯みつつ、読み始めてみると、まるで長さを感じない。なのに長年、彼らと共に時を過ごしたような充足感が残る。
    印象的な言葉が多く、「人の怒りの底には、いつも悲しみがある」今の私にはこれがピリリ。
    きっとその時々で、響く言葉が違うんだろう。

    そして、巻が進むと登場する朱鞘の浪人と白ねこまた。
    その忠義と、ままならなさに涙する。
    心優しく穏やかな仁兵衛と、同心寺島や弟子の弥七、その他の登場人物も最後まで良かった。6巻最後はほんともう…。

    ほっこりするだけではなく、日常の愛おしさと寂しさ、それら全てを包む、愛のお話でした。
    その愛は、作者さまから読者へのプレゼントでもあるように感じます。
    疲れた心に安らぎを。矛盾と可能性からは勇気を。
    ねこまた達に癒されながら、のんびり読むのがおすすめです。
  • トーチ【コミックス版】

    ニャオスキー

    完成度の高い連作短編集
    ネタバレ
    2025年8月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ レビューを拝見して1話目を読み、ミニシアター作品のようなカッコ良さに短話買いしたのはつい先月のこと。
    早くも単行本でまとめて読めて嬉しい、ニャオスキー先生の連作短編。描き下ろしまで含めて完成度が非常に高い。
    朝食アンソロジー掲載の『COFFEE AND DONUTS』も収録。未読だったのでこれも嬉しい。

    タクシーにまつわる短編4話。
    それぞれにお題があって、誕生・怪物・結婚・失恋。
    踏まえて読み返すと味わい深い。

    移ろいゆく天気と時間の描写が秀逸な1話目。
    まるでそこにいるかのように物語を肌で感じ、タクシー内での会話劇と人生を絡め、強く印象づけられる。
    2話目は徐々にドタバタとする展開と着地に痺れた。
    繰り返しによる狂気はビ◯・マーレイの映画『恋はデ◯ャ・ブ』を彷彿させて面白い。

    感動と、後悔と、感情を揺さぶられてからの描き下ろしの衝撃。驚きつつも、そうきたかとニヤリとしてしまう。
    失うときは失うし、けれどもやり直すのに遅いことはなく、また1日と生きるのみ。でも、明日はあるのか?
    抱える灯火、受け取ったからには手渡したい。他の方のレビューも楽しみ。おすすめです。ぜひ。
  • ラブリーハイブリッド【コミックス版】

    灰崎めじろ

    とってもラブリー!
    ネタバレ
    2025年8月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ レビューに書かれた背中バッテン胸の謎紐に興味を惹かれて試し読み。確かにこれは何用だ…?と突っ込みたい衝動に駆られるも、読み進めるうちに、似合うからまあいいか、となる不思議な衣装。
    子供たちみんなのお父さん(お母さんでもいられるようにシスター服)の、ダディ神父の影響だろうか。

    ワームハンターのケモハーフ咲太郎と、町医者ナチュラル(人間)真七柄先生のお話。
    荒野に囲まれた王国でワームが主食。王様のいるセントラルと下町街があり、人間と半獣人が共に住む。
    ケモハーフが発情期を一緒に過ごすパートナーを番と呼び過去にはケモハーフをペットにする人間もいたような世界。

    なんだこれ、面白い…!
    貧しい者にも優しい真七柄先生。ゆったりとした口調がクセになる。
    下町街に住む人々や咲太郎の周りの年寄りたちなど、みんなが生き生きと生活しているのがわかる。
    そして咲太郎は素直でエロかわいい。愛する人の息子ちん(子供じゃないよ)に対する姿は何とも言えず愛あふれ、いい子だなあと撫でたくなる。
    耳に尻尾に胸圧に、新しい扉が開いてしまいそう。

    可愛らしい愛情がたっぷりの、とても楽しい作品でした。
    ふたりの蜜月は幸せいっぱいでいつまででも見ていたいし、読んでて強火ケモハーフ愛もわいちゃってるし、元傭兵のダディ神父ももっと見たい。
    スッキリまとまってて満足度も高く次巻も更に楽しみです!
    作者さまの他作品も読んでみようかな。レビューありがとうございました!!
  • ロマンティック

    西田ヒガシ

    一読では到底、咀嚼しきれない
    ネタバレ
    2025年8月15日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 何度読んでも読み終えたという気持ちになれず、言葉と眼差しの意味を探りながら、幾度となく読み返す。
    生と死と性と、ほんの少しのファンタジー。
    舞台は戦場。愚劣で醜悪で愛を持つ人間が戦う場所。

    動け、生きろの呼びかけに導かれて戦ったジョンは、洞窟でマエダに「歩け、生きろ」と言い、最後はマエダの「生きろ、動け」の叫びと救いに、愛と奇跡を見る。
    先生の描く男たちは、情けないところも、どうしようもないところも、それでも立ち向かうところも、全部まとめたかっこよさがある。そしてどの作品も、どこかロマンティック。

    全力で描かれたものは全力で読みたい。が、何となくで生きてきたツケがこんなところにも回ってくるようで、自分の思考力の無さがとても歯痒い。
    何を信じて生きるのかと問われているようでもある。

    マエダがどんどん魅力的になっていき、掴んだ武器を撃たずに放るシーンにグッときた。「命を守る美しい武器はやがて怒りと憎しみの武器になる」ジョンの言葉が刺さる。
  • センチネルバース 水底の虹【イラストあり】

    安西リカ/松基羊

    警察庁特殊部、シリーズ化して欲しい!
    ネタバレ
    2025年8月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 警察庁特殊部鑑識課に所属する視覚特化型センチネルの蓮と、そのガイドに選ばれた警察官吉積のお話。
    高校時代に一度だけ会話をした先輩後輩である二人が再会し、共に行動していくことで絆を築く。

    警察組織と、五感が異常発達したセンチネルの特殊能力。これがもうかなり相性の良い設定で、特殊能力を使った捜査過程がそれだけで既に面白い。欲を言えばもっとじっくり読みたいくらい。
    難治性神経疾患として知られ研究が進み、ケアや訓練を受けるセンチネルと、逆に、自覚のないガイドの説明も過不足なく、センチネルバースの予備知識が無くても無問題。
    過敏すぎる五感を持つが故の生い立ちは厳しく、国から保護されている立場からの自己犠牲感は根が深い。そして、そんな彼らを繋ぎ止め助けることができる唯一無二な存在であるガイド。
    タイトルの「水底」が表す怖さ、恐ろしさが、相性の良いガイドを持つことの大切さをより強く感じさせる。

    情緒面の発達が遅いセンチネルの、吉積に対する蓮の変化もいじらしく良かった。結末を辿る寂しく優しい眼差しと、虹の向こうに夢をみる姿と絆には感涙。

    魅力的な設定と人物描写、ストーリー。是非シリーズ化して追わせて欲しい作品です。
  • 葬思相愛

    日尾ねり

    分つまで、互いを愛して生きていく
    ネタバレ
    2025年8月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 小さな葬儀社の跡取り史人と、あることから一緒に働くようになる恋人太陽のお話。史人はしっかり者で思慮深く、太陽はその名の通り明るい太陽みたいな人。
    故人を送る彼らのお仕事がメインのお話で、穏やかな葬儀もあれば、そうではない葬儀もある。仕事としてそれらの葬儀に関わる中で、彼らの愛と思いやりを感じていきます。

    1巻では残された家族と故人の絆、大事な人を送るそれぞれの気持ちに寄り添います。ふたりの出会いもいい話…。

    2巻は未来への思いと、生きている者にできるのは何かということを、確執を通して考えさせられます。
    後半の亮平さんと雪弥さんの話は本当に心が痛く、本当にショッキングで。ただ、そこから太陽が前を向き、安心できる人として隣にいようとする姿に救われました。

    避けては通れない、でも普段は忘れていることを、彼らの話を読むことで考える。
  • ルームメイト

    佐藤アキヒト

    鳥籠の中の小鳥みたいに。
    ネタバレ
    2025年7月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 脅かさないよう丁寧に、そっと扱わないと逃してしまいそうな、少年たちの繊細な恋。
    パブリックスクールの4年生でルームメイトのノアとカイ。格式と伝統のある寄宿学校に通う、裕福な子弟。
    品があり優秀で、両者ともビジュアルがめちゃくちゃに良い。その上、問題児と優等生の同室設定。
    これはもう、絶対に好きなヤツ…

    次巻へ続くからと自分に待てをしていましたが、もっと早く読んでいても良かったかもしれない。
    時間を掛けて1巻を味わい、雑誌購入の誘惑と戦い、いっそ負けて買い始めてしまうのも良かったかもしれない。

    大人になったら絶対に色気美人確定なノア。俯き加減な、美しい者にしか許されない仕草と髪型(個人の見解)が、どことなく儚さとミステリアスさを醸し出す。
    対するカイは、無口で口数が少ない分、視線で語る。

    知りたい、頼られたい、自分だけという優越感。
    そしてふたりに共通する、特別な存在への期待。
    腹を割って、からのシーンは、真っ直ぐさと危うさのバランス加減にやられた。

    監督生アレックスが頼りになる上級生として描かれているので、ノアへの接し方など、カイの少年っぽさがより際立っているように感じます。
    しかし、カイ・エヴァンス。
    彼はきっと一年ごとに目覚ましい成長をみせてくるタイプ。
    パンのあれや、浴室でのあれ、触れるほど近い指先も、全部分かっててやってるよね!?
    さすが、フォークが転がってもエロいお年頃。

    大きなコマでの魅せ方も素敵で、馬まで美しい。
    クレー射撃にフェンシングなど、美しい絵で描かれた細かいパブリックスクールぶりがたまりません。
    次巻も楽しみにしています!
  • 【単話売】おまえの吐息を奪っていった

    早寝電灯

    インビジブル・ラブ、とな
    ネタバレ
    2025年7月25日
    このレビューはネタバレを含みます▼ お待ちしておりました新連載。なんと1話無料配信ということで。手に取りやすいですね。ありがたい…。

    私事にはなりますが、怖いとトイレに行けなくなるタイプです。家で独りで寝る時は、もちろん電気をつけたまま。いい大人がとは思いますが、怖いものは怖いのです。

    本作は幽霊が見える依良(いら)と、見えていた玲志のお話。当然それらの描写が多々あります。
    全然ホラーではないと先生もおっしゃっているように、1話では怖い幽霊、というより動くとちょっと怖い黒い影。見える依良は、“あの人たち”と呼び、通り過ぎていくだけだと語ります。

    早寝電灯先生は、幽霊というものへの眼差しも、どこか慈しみのようなものがあり、ひと味違う。
    ふたりのことも気になりますが(当たり前)、幽霊が見える人の世界をどう見せ、どう捉えさせてくれるのか。
    そこにも、すっごく興味がわいています。

    同じものが見えていたことに特別な繋がりを感じていた玲志。要領は良さそうだけど、時おり眼差しが暗く、その笑みもどことなくニヒル。
    対する依良は人当たりが良く、そもそも幽霊に負の感情を抱いていなそう。1話の最後も、なるほどねという展開でしたが、2話以降どうなっていくのでしょう。楽しみです。

    ※最終話追記
    一言一言に込められてるものが本当に優しくてきれいで、私にとっては宝物だし神様なんです。先生大好き。
    最終話の二人はとてもすてきです。ちゃんとここにいるって依良が思えて良かった。特別だけど同じなんだと思わせてくれた先生は、やっぱり愛が綺麗だと思う。
    単行本は夏。新連載のアオハルも楽しみ。楽しみ!!
  • 彼女と彼女の猫

    新海誠/山口つばさ

    詩的な描写が美しい
    ネタバレ
    2025年7月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 山口つばさ先生作画の青年漫画。諸々含めて166ページ。原作は新海誠氏の短編アニメーション。
    猫の目を通して彼女を見つめ、その孤独に少し触れる。

    空気の詰まりと雨の湿度を感じながら、彼女と彼女の猫との一年を眺める。一生懸命に生きる彼女の姿は、きっとどこかで読み手と重なる。

    アニメーションと違うのは、友人や同僚、母親とのことがもう少し詳しく加わること。より痛みの描写が強く、救いの場面も用意されている。どちらもそれぞれ、素晴らしい。
  • 君は春までぼくのいぬ 【電子限定特典付き】

    劣情

    青く匂い立つ紅色の熱情
    ネタバレ
    2025年7月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 激しい情熱の青さが眩しい、高校生のオメガバース。
    パワーバランスが絶妙で、なんとも可愛らしくて推せるふたりです。

    生まれ持ったものに振り回されながら、自分を受け入れ成長していく思春期。そこにαやΩが条件として加われば、問題は更にデリケートなものとなり、周囲の対応はより慎重さが必要となる。
    御園家のそれも、藤波家のそれも、故意ではなくとも少年の心に影を落とし、大きく影響を与えてしまった。

    変わらずにいたかったという言葉に込められた藤波の複雑な心情は、たとえ賢く強い彼だとしても少年が抱えるには少々重い。バースからは逃げられない事実と、兄妹の手を引いて逃げた母のことを思えば、きっと尚更。
    消えかけた藤波の身体も心も救ったのが、運命であり犬となってもなぜか品を損なわない御園の人間性。上に立つ者ゆえの傲慢さはあるが常識を持ち、強引だけど待てもできる。育ちが良く素直で忠実、そして実行力を持つ男。

    感情の狭間を惑う不安定さと、それに足掻く青さが、会話と仕草からひしひしと伝わってきます。彼らの放つ真っ直ぐな言葉と、本能と欲望と恋の入り混じった熱情の魅せ方がとにかく印象的。

    お互いがお互いを変え、後半は二人の魅力が倍増。ツンなところもダサいところも全部が可愛くて、かっこいいと可愛いが交互に顔を出してきます。
    情熱的な絡みやお決まり事のアレコレも、どこか可愛らしいのは彼らならでは。重い部分も重くなり過ぎず、その辺りのバランスもお見事。

    ラストもとても綺麗で、紅雄の涙が可愛すぎる。青の姿も美しい。その数年、どうか何処かで見せていただけないでしょうか…。
  • ゴンドワナの眠り

    青井秋

    とても美しくて、とてもきれい
    ネタバレ
    2025年7月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 博物館で出会った、宙を泳ぐ一匹の魚。
    不思議な、運命のような出会いに導かれ進むふたりの物語。

    透明感があって落ち着いていて、絵もお話もとてもきれい。
    優しい直樹の魂は宝石のように美しく、基の想いは一途な強さが美しい。少年たちの恋は淡く、泳ぐ魚の願いを探すことで、その距離を縮めていく。

    化石の話がとても素敵。強く求める気持ちが肉体を失っても残るとしたら、そしていつまでも隣り合い眠れるのだとしたら、とてもロマンがあるし、憧れる。
    基を不可思議なモノから守る眼鏡を通しても見えるそれらは、きっと強い記憶だからこそ、ふたりを結びつけ、基の心も救われた(眼鏡越しのホクロに、涙を拭う指が触れるのたまらない)。

    泳ぐ魚の描かれ方が、本当にきれいなんです。直樹のそばを泳ぐそれも、存在に全く違和感がなくて、時に印象的で。読み終えてからまた表紙を見ると、その美しさの意味に感動します。とても素敵なお話でした。
  • 「彗星少年」番外編集【電子限定版】

    ツブキ

    ああ、これこれ!
    ネタバレ
    2025年7月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ お久しぶりの司郎さんと耀(アカル)くん。めちゃくちゃ面白くって勢いがすごい!一気に作品世界に戻りました。

    過去の全員サービス小冊子(8ページ)
    過去の特典ペーパー(ア◯メイト1枚、共通店舗1枚)
    過去のコ◯コミスタジオのリーフレット(2ページ)
    今回の新作描き下ろし(9ページ)

    宇宙人っぷりも年齢差も笑わせていただきました。描き下ろしは「第二のライバル」。嫉妬に笑い、強いワードに二人の絶対的な結びつきを感じました。第二のってことは、第一のは本編描き下ろしで妬いてたあの人のことかな?
    いやあ楽しかった。ツブキ先生と編集部さま、配信ありがとうございます!!司郎さんの小説が読みたい欲までまた湧いてきちゃいました!
  • 「主人公にはなれないけど」番外編【電子限定版】

    桃子すいか

    諸々含めた35ページ。大満足!
    ネタバレ
    2025年7月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 番外編ということで、ネタバレ増し増しレビューです!本編結末を知らない方はご注意を…。

    描き下ろしの冒頭にでてきたお揃いマグの、購入エピソードから始まる恋人編。こんなに早く続きのアレコレが読めるとか、本当に嬉しい。文哉の◯攻め、幼馴染っぽい!笑

    一花ちゃんのアドバイスから海斗が実行したあること。文哉の本音を聞きたくて…。海斗の気持ちが大きくて、経験豊富な彼の方が必死感と初めて感を出すの、すごく良い。
    とても可愛い番外編です。有島さんがまた、いいタイミングでいいことを言う。有島さん好きだなぁ。その落ち着きに癒される。いつかとびきり、幸せになって!
  • くちべたとさえずり【電子限定描き下ろし付き】

    髙木綿

    なんて優しくて、可愛いお話
    ネタバレ
    2025年7月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 頭の上にインコを乗せて、背中を丸める大柄男子の後ろ姿と、そちらに耳を傾けるキュートな男性。
    そのとても可愛らしい第1話目の表紙と、年下インコ攻めという何とも気になる言葉に興味を持ちつつ購入。買ってよかった。インコも二人も、すっごくかわいい。

    バイトの後輩有川くんに、近ごろ避けられているようだと気にしている槙野さん。ふんわりとした、キュートで優しい男性です。困っている人がいたら、至極自然に手を差し伸べる人。そんな槙野さんが好き過ぎて不自然な態度をとってしまう有川くん。不器用で純朴で、そんなところがすっごく可愛い。無口で大柄で温厚で、優しい眼差しを持った人。

    有川くんの飼っているインコを槙野さんが預かることになるのですが、このリップちゃん、全編通してなかなかのご活躍ぶり。無口な主人に代わり「マキノサンスキダ」とか言っちゃうし、二人の仲を深めていく様はまるで幸せの青い鳥。

    距離が縮まってはまた離れていく有川くんは、何だか本当に小鳥みたい。槙野さんの優しい手に触れられ、包まれていく幸せな姿には、こちらまで心が温かくなります。槙野さんに比べて大きな有川くんの手も、ぎこちなさが色っぽい。悲しい場面も幸せな場面も、様々なシーンで二人の手が感情を語っています。
    キュンも甘々もたっぷりで、とくに後半は身体の大きな有川くんの良さがめちゃめちゃ発揮されます。
    腹筋はもちろん、逞しい腕の筋肉と上半身。肩の厚みと肩甲骨と、背中の色気が素晴らしい。そしてご立派(槙野さんの両手で受ける重量感よい…)。
    絵が本当にお上手だあ。

    リップちゃんのいる各話の表紙が素敵なんです。描き下ろしは6ページ。そして電子限定特典3ページ、リップちゃんが二人を見ている笑。他の言葉を覚える日も近いのでは…笑笑
    作者さまの醸し出す、人柄の良い、優しい雰囲気がとても好き。今後も楽しみな作者さまです。
  • マナビノクニ

    四宮しの

    すくすく学んでいく男の子たち
    ネタバレ
    2025年7月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 四宮先生の繊細な絵と作風が大好きです。
    読み始めは分かり辛く感じる部分もありますが、これは誰で、それはどういうことかな?と読んでいくと、弱い糸がいつの間にかしっかりと織り込まれていくかのように、やがてそれぞれの物語が見えてくる。分かりやすさと説明を求めると壊れてしまうものもあると思うので、行きつ戻りつ読んでいます。

    少しのんびりした男の子・シゲルが人違いで連れて行かれた場所は、自分とそっくりな男の子がいる一軒家。そこは個性豊かな男の子たちと、優しい先生のいる塾で…。
    私塾に通う男の子たちのオムニバス。
    小宮山先生の人柄もあり、学ぶのは勉強だけではなく、他者との向き合い方や自分との向き合い方だったり。先生が直接教えるというわけではなく、彼らの成長を守るための大切な場所を提供している、という印象。

    シゲルとミオの小さな恋は可愛らしく、幼馴染たちの変わりゆく関係性と変わらない関係はとても優しい。
    日常の中の、ちょっとした成長の兆しや、何かに気が付くその瞬間に魅力を感じます。二見くんと小宮山先生の過去のエピソードや、大人の都合に振り回される子供の姿にはハッとする部分も。

    描き下ろしは少し大人になった彼らの、とある1日。みんな元気なようで嬉しい。
  • 春のデジャヴに踊れ

    おどる

    パートナーがいることの幸せと奇跡
    ネタバレ
    2025年7月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 手を取り合い、相手と向き合い、未知の方へと一歩を踏み出し、進んでいく。ダンスも恋愛も。

    話を聞いてもらい教えを乞うても、どう生きていくのかを決めるのは大人である自分自身な訳で。けれど導いてくれる人がいるからこそ、1人では行けないところまで行くこともできる。同性との恋愛がもたらす問題と、相手の未来を誠実に考え、覚悟と責任を持とうとする二人がとてもかっこよかったです。

    大人がちゃんと大人だと本当に安心する。
    謝る晃介に向けた父親の咄嗟の一言は、親として目指す姿の最高峰。晃介は両親の愛情を身体いっぱい浴びて育ったんでしょうね。先立たれていても、当たり前のように「母さんも」と口にする。この二人も、とても素敵なパートナー。
  • 主人公にはなれないけど

    桃子すいか

    絡みあった恋愛群像劇
    ネタバレ
    2025年7月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 諸々含めて300ページ超えの、登場人物5人を巡る片想い。
    桃子すいか先生のやわらかいタッチで、しんどい恋が優しく誠実に語られていきます。
    誰と誰がどうなるかのネタバレは、知らない方が断然、結末の温かさに感動すると思います。

    祖父の喫茶店を手伝う大学生の文哉くんには、人生の宝物のような幼馴染が二人いる。可愛くて聡明でパキパキとした女の子の一花ちゃんと、身体だけの相手が絶えなかったイケメンモテ男、海斗。文哉くんは人のことをよく見て、よく気が付くタイプの優しい男の子。三人とも、相手との関係を大切にしてきたことがよく分かる、とても素敵な幼馴染。
    そこへ加わるのは、海斗が大学で知り合った明るくて気のいい先輩の諒くんと、喫茶店常連で建築士の有島さん。有島さんは学生たちと比べて少し大人な分、言葉掛けが優しく、分別と良識のある頼れる男性。いつでも文哉くんのことを気にかけてくれる、心の大きなひと。

    胸がぐちゃぐちゃになるような恋愛は、物語として読むのにもエネルギーがいる。でも読み始めたらあっという間。一花ちゃんの視点回では各々の人物像がその解像度をぐんとあげ、また、有島さんの立ち位置的な切なさと想いを感じる場面では、グッと物語に深みが帯びた。それぞれの片想いが絡み合うさまに、ぐんぐんと引き込まれていってしまった。ひとりひとりの感情がとても丁寧に描かれているので、それはもう、表紙の三人の、誰が主人公でもおかしくないと思えるほどに。

    育ってきた環境が与える影響は誰にとっても大きく、愛にまつわるそれらは時に呪いのように纏わりついてくる。優しいだけではない恋愛の側面と、しんどい内容にたまらず涙する場面もありましたが、後味が優しく爽やかなのは、この作者さまならでは。
    読み応えのある、温かい、愛のあふれる作品です。そしてあのカットから始まる、描き下ろしが秀逸。おすすめ!

    ※番外編読切が7/18に配信。こんなに早くその後が見られて、とても嬉しい!
  • トーチ

    ニャオスキー

    連作短編 ※追記
    ネタバレ
    2025年7月8日
    このレビューはネタバレを含みます▼ レビュアーさま方のオススメを受け、連作短編の第一弾を拝読。オススメありがとうございます!

    同級生と再会したタクシーの中で進む会話劇。
    変わっていく天気が小さな音を立て、現在と過去の時間の流れを肌で感じさせる。
    読み終え、タクシーのテールランプを呆然と見つめる。
    様々な感情が静かに渦巻き、心地良く感傷に浸る。

    これはまとまるのを待っていられない。
    今すぐ他の話も読まなくては。

    夜のタクシーとバックミラー。視線に痺れる。
    表紙かっこよすぎるでしょ!

    ※ってことで単話を購入。舞台は様々。四話が連作の最終回だそうて。めちゃくちゃカッコいい、後味に痺れる良作短編ばかりでした。[追記終]
  • 死神

    ヤマシタトモコ

    煙が漂う先にある死
    ネタバレ
    2025年7月8日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ヤマシタトモコ先生の女性ジャンル。読み切り前後編。
    幾つかの死のまわりを彷徨いながら読み進む、自分の目線も死神のようだと思ったり。断片的で暗いうえに答えもなく、暴力的描写もあるので読む側によって好みは分かれそう。

    いなくなった夫を探し続け、死神と呼ばれる女。
    眠りと死の境目があやふやな疲れきった男。
    怒り?衝動?を秘める女。
    見ぬフリをしている自業自得な男。

    皆すぐに忘れる。疲れてるし、隠し持ってるし、見ないフリもする。でも忘れないこともある。
    不安定さが読んでいて辛い。

    祈る人と、翻訳できないと言った彼の言葉にどんな意味があるのだろう。むずかしいっす。でも好き。暗いし辛いけど。
    長編の前ふりだったらすごくカッコいいなとも思う。

    表紙など抜くと前編32ページ、後編44ページ。
  • Qの婚姻

    小石川あお

    愛蔵版を出して欲しくなる
    ネタバレ
    2025年6月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ きっと豪華な装丁と装飾が映え、愛おしい一冊になると思うから。でも電子でも充分愛おしく、泣いちゃってなかなか読み返せない。

    描き込みが細やかで美しく、世界観が確立されている。
    なによりキャラクターが魅力的。一途な勇者とキュートな魔王の、恋は乙女のように清らかでいじらしい。賑やかす魔王軍たちも見ていて飽きない。

    若くて優しい勇者には、フルールドリスの紋章があしらわれた小粋な衣装が良く似合う。宝探しの旅には心が躍り、待つ身の魔王のあれこれには自然と頬が緩む。

    やがてある出来事に焦点があたり、ひとつの結末へと物語は加速していく。少しずつ近付くそれを前に、ただただ息をひそめ、ページをめくる。

    物語に身をおき没頭する時間の、なんと幸せなこと。
    皆様のレビューを読んで、またじわり。
    登場人物のあの人もこの人も。物語のあの時のそれもこの時のそれも。全てが愛おしい、そんな作品です。
  • スイートハプニング【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】

    kanipan

    あららら。これはなんと…かわいい…
    ネタバレ
    2025年6月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙が可愛くて目に留まり、kanipan先生だしどんな感じだろう、と試し読み。え、高校生めっちゃ可愛い…。想像以上に軽やかで、気負ってなさげなところがいい感じ。飼い犬のノリノリドッグ(いちたろう2才)も春日くんも可愛いすぎて、そのまま購入させていただきました。

    落ち着いていて優等生っぽいけど、何ごとにも柔軟に対応できる柊木くん。程よい軽さも持ち合わせつつ、間違えないよう慎重に考えながら、一目惚れ相手の春日くんとの距離を詰めていきます。中高一貫から外部受験して進学高校に入る辺り、周囲の子たちより自立が早そう。
    派手な見た目の春日くんは、意外とのんびりとしたマイペースくん。積極的に勉強するし、そこまでの落ちこぼれ感はありません。人見知りだけど仲良くなると距離感近くて、ノリノリドッグのこと言えないじゃんってくらいに人懐こい。不器用で無防備で、なんとかしてあげたくなるような可愛らしさがある。先生のXに載っている設定資料の、お昼寝用ひつじの持ち運び方も、ぽくて可愛い。

    高校生らしいイベントが続く中、柊木くんの気持ちを知っている春日くんは自分の立ち位置に迷いを感じ始めます。友達なのか、違うのか。それは下心のある柊木くんも同じで。友達としての距離感と下心が、それはもう悩ましく、ふたりの前に立ちはだかる。

    学校のこと、家のこと、お互いのこと。上手くいかない時もあるけど、ちょっと踏み出せば違う景色が見えてくる。印象的だったのは家庭教師の先生に相談した時の会話。この時の先生の言葉は、すごくストーリーに効いてくる。相談する相手を選び、相談した上で考え行動するのも、ひとつの才能のようなもの。高校生の柊木くんは、きっと大人になっても頼もしい。

    感情の揺れが初々しいのは、ほんの少し前まで中学生だったから。けれど、大人になりつつある高校生らしさも、きちんとある。この微妙な加減が大変上手だなあと思いました。描き下ろしもそんな目でみると、付き合い始めの距離感が非常に微笑ましい。番外編とか出ないかな(願)。

    少しずつ近付いていく二人の、とても素直で眩しい恋でした。
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