ひだまりが聴こえる-春夏秋冬-
」のレビュー

ひだまりが聴こえる-春夏秋冬-

文乃ゆき

伝える。伝わる。

2023年7月31日
主題は『障がい者』ではなく『コミュニケーション』なのかな、と。
健常者と聴覚障がい者の恋愛を描いた作品は過去にもマンガやドラマにありますが、本作が画期的なのは、障がいを『恋愛の障害』にしてないところだと思います。航平と太一が迷ったり悩んだりケンカしたりする原因は、航平の難聴そのものではなく、(難聴もひとつの理由だけどそれだけではない)コミュニケーション不全にあるという描き方というか。結局は『伝わってない』ということで、手段は言葉でも筆談でも手話でも『伝える』こと『伝わる』ことが大事だと教えてくれます。
それから、『聴覚障害者』と一口に言っても、生まれた時からなのか中途なのか、補聴器をつければ聴こえる音もある人もいるし、手話も使う人もいれば使わない人もいて、当たり前だけど人それぞれ。そのあたりも描いてくれているし、障がい者同士なら全部分かり合えるなんて幻想も吹き飛ばしてくれます。
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