汚部屋住人の顛末
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汚部屋住人の顛末

禾スパナ

自己中心的な病みの雰囲気

ネタバレ
2023年8月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 179ページ。
中篇2作+読切1作+表題作の描き下ろし。
表題作は、彼氏に出て行かれた男とそのアパートに転がり込んだ男の話。
『箱の中のあおぞら』は、セレブ息子と和裁士の話。
『ほうたいのうみで、』は、脅しのように自傷する恋人を持つ男。
いずれも自己中心的で、病んだ雰囲気はあるけれど雰囲気止まり。
描き方も、作劇に都合の良い見える部分しか考えていない感じで、話運びの理屈に付いて行けませんでした。
特に表題作が不満。出て行かれたら家賃が払えないくらいなら、彼氏は「主人公に貢がせるヒモ」とまでは言い難く、そもそも主人公が勝手に「ノンケだから無理させたくない」とか思い込んで行為を拒否したのが出て行った原因でしょ。それなら彼氏が、主人公が別の男とエロい行為をしているのを見て怒るのは当然で、あそこでなりふり構わず彼氏を追いかけられずに彼氏側を悪者にしていたのにドン引き。それで「フラれた」って泣いてるのに心は氷点下。作者さんの中で「彼氏は悪役」というレッテルが貼ってあった印象です。後付けっぽいヒモエピソードとかもあるけど、荷物を「着払いで送って」って言ってるあたりはマトモそうでもあり、きちんとしたキャラ付けをしてもらえなかったという点でも彼氏かわいそう。
汚部屋で床が埋まっている分、彼氏と近くに居られる……というのは良かったです。
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