このレビューはネタバレを含みます▼
烏天狗って、山伏装束の嘴があって…的な容姿が思い浮かぶのですが、こちらの烏天狗さん超美形で、線が細くて綺麗。もちろん容姿もさることながら、あの黒くて美しい翼に私は心奪われました。画が美しい!烏の翼って漆黒で本来はとても綺麗なんでしょうね(どうしても厄介者?鳥?のイメージがありますが)。そんな綺麗な翼の持ち主に相応しく、翠蓮自体も中も外も美しい。暁人じゃないけど、読み進めていく度に可愛くて愛しさが募ります。かすみ楼という籠の中に飼われている翠蓮には自由がなく、そして訳あって男娼をしている。誰かを想っても、自由にその人のところへ飛び立つことができない。架せられた年季を終えるまでは。そこに悲壮感はなく、あるのは翠蓮の心の強さと罪悪感と使命感。でもやはり、心の拠り所が欲しい。そして同じく、心の拠り所が欲しいと思っていた人間の暁人。助けた亀…じゃなくて豆腐小僧にもらった割符で、心の拠り所となる翠蓮と出会う。でも、全てが逆柱さんの舵取りだったのかなぁ…なんて思う私。逆柱さんいい柱(ん?鬼倒すの?違う。いい妖怪?)ですよね。なんだかんだで、翠蓮の幸せを願ってたんだと思う。ストーリーは読んでもらうのが1番ですが、少し触れるなら、切なさもあるけどそれよりは、夢物語を現実にしようと、互いが互いを命をかけて強く想いやる、優しくて温かい純愛ストーリーです。是非読んでください。そして、翠蓮の美しい強さと弱さの愛しさと、暁人の無鉄砲でいてまっすぐで男らしい愛を堪能してください。まあとにかく、画がとても綺麗なので、読んでて引き込まれます。暁人も男前でいいですが、翠蓮のあの細い線の中にある色っぽさと翼。ほんとに美しい。暁を知らせる烏は、現し世の希望を知らせる美しい烏になったとさ。おしまい!…じゃなくて、是非続きも読みたいなぁ。