みのりの森
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みのりの森

まりぱか

残る者が1歩を踏み出すための物語なのか?

ネタバレ
2023年8月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大号泣するかどうかは個人差があるのかもしれません。いわゆるマンガ的な、煽って煽って感情を高ぶらせるような描き方はされていないように思います。逆にそこにリアルさを感じました。すごく大事な人が亡くなっても、何年も離れていたなら、そんなに号泣できないと思う。私はそうでした。実感がね、沸かないんですよ。もう、いない。もう、会えないっていうのが。周りの人に対して取り繕ったりもするし。だから昌典の淡々としてるようでいて、時折ぶわっと感情がぐちゃぐちゃに押し寄せてくるような表現、すごく分かりました。逆に実は慎太郎との関係性や接していた時期も昌典とは違う。だから葬儀では泣き崩れたんでしょうね。慎太郎の死の理由に関しても読者としては知りたい!でも慎太郎本人が誰にも明かさずに逝ってしまい、残された人達は訳の分からないモヤモヤと痛みを抱えて、それでも生きていかなきゃならない。私にとって本作は昌典を体感するような物語でした。読みごたえはあると思いますし、重いテーマですが、作中の昌典、特に実の明るく振る舞う姿に救われました。
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