もういちど、なんどでも。
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もういちど、なんどでも。

阿仁谷ユイジ

記憶喪失だけど、焦ったくない

2023年8月13日
好きな人が記憶喪失とのあらすじ、悲壮感漂う話かと思い、ずっと気になりつつも買うのを躊躇ってました。
無料増量中で上を読んでたら、まさかの全話無料でして、存分に面白かったので迷わず残り全て購入いたしました。
まず記憶喪失中の貴博は想定内の動揺っぷり。そんな中で多郎に揺さぶられる心象がどんどんと大きくなっていく描き方はとても納得がいきました。
そして忘れられた恋人の多郎、この多郎のキャラがこの物語の骨格になっていますよね。高校の頃に勇気を出して繋がって、心から貴博を愛して一緒に住んで、ケンカすることもなくこのまま幸せが続くと思っていた矢先の記憶喪失。
多郎は健気なんだけど日常の会話や態度に健気さも悲壮感もなく、でも貴博への想いの丈は溢れ出ていて、無理に思い出させようとすることはなく、ただただ信じている強さと優しさがとてもよかったです。
高校の回想で多郎の性格や、貴博をなぜ好きになったのかがわかると、話がさらに奥深くなりました。
そして貴博も、多郎に乗せられたから好意が生まれたんじゃなく、ちゃんと多郎という人を好きになっていたし、生まれ変わった時は自分から多郎を見つけて好きになると約束した通り、記憶は戻らなかったけど多郎に恋したのが伝わってすごくよかったです。
上と番外編の何冊目かでは、だいぶ絵柄が変わってしまっていて、若干読みにくかったですが、内容がそれをカバーしてくれていました。
個性的な絵ですが良きです。そしてガッツリエロいですが、エロいだけでなく愛が溢れてます。
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