三千六百五十日の抱擁【イラストあり・電子限定ショートストーリーつき】
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三千六百五十日の抱擁【イラストあり・電子限定ショートストーリーつき】

高遠琉加/一夜人見

高校1年から始まる10年間の両片想い

ネタバレ
2023年8月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 長良川沿いの町に暮らす樫本博臣は代々続く酒屋に育ち、剣道部に所属する硬派な高校1年生です。同じクラスでモデルをしている逢沢春翔と話をするようになった樫本は放課後を逢沢と一緒に過ごすようになります。綺麗な容姿でキラキラにこにこしている逢沢は実は人付き合いが苦手で、寡黙でしっかりした樫本に信頼を寄せ、臨海学校で過呼吸を起こした逢沢を逢沢が落ち着かせたことから逢沢は幼い頃に男に連れ去られたトラウマを語ります。そんな逢沢に樫本は夏休みを利用して剣道を教えます。呼吸のコントロールや自信をつける為に始めた剣道が様になり、夏休みもあと1週間で終わる日に逢沢は東京に引っ越すことを告げるのでした。高校生の二人が夕焼けの中、長良川の土手を自転車で走るシーンがエモいです。たった3ヶ月一緒にいただけの二人は1日1回の電話で繋がり続けるのでした。大学に進学すると樫本が上京し、モデルだけでなく俳優としても活動し始めた逢沢と行き来するようになります。お互いに恋心を自覚しながら口にしたら終わってしまうと、シングルベッドに一緒に寝る嬉しさと苦しさが切ないです。樫本の彼女、就職、逢沢のストーカーと様々な出来事があり最後に大きな事件がきっかけとなり、10年という時を経て二人は甘い抱擁の時を迎えます。中弛み無しで一気に読めました。
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