王子と護衛~俺は貴方に縛られたい~【特別版】
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王子と護衛~俺は貴方に縛られたい~【特別版】

海野幸/Ciel

DomこそSubに奉仕する側

ネタバレ
2023年8月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 健気な猟犬が良きご主人様に出会い、幸せになるまでの物語として読みました。強くて気高く美しい護衛官の國行が、自分を理解し、完璧な支配を与えてくれるラシードにとろっとろになって行く様が可愛すぎました!
Dom/Subユニバースの作品が読みたくて、且つCiel先生の美しいイラストに惹かれて読み始めたのですが、痛みより我慢とご褒美が中心の2人のプレイが好みだったし、イラストは表紙カラーより中の白黒イラストの方が更に好きだったので買って良かった…。
過去の経験もあってM気質のある國行は、要人警護を生業とする会社員。優秀な護衛であると同時に、プレイで発散することができない欲を持ち、身を挺して依頼人を守ることでなんとか自分を保っているような危うさも持っています。そんな國行が護衛することになったのは中東の国の王子様。すこぶる美丈夫で、威圧的な國行の態度にも臆する事なく、生まれながらに人を支配する甘い魅力を持ったラシードに、國行は初めから惹かれていきます。ラシードは、王子と言っても17人兄弟の末弟。気楽な金持ちの豪遊旅行かと思いきや、実は高潔な夢を持ち、その夢のために精力的に活動する実業家でもあるその姿に、更に惹かれない人がいるだろうか(いや、いない)。
ひょんなことから國行の性癖(と言っていいものか迷いますが…)を知ったラシードは、國行からのプレイの誘いに興味本位から乗りますが、そのプレイがお互いにとって青天の霹靂となるような経験となり…という話。
途中小物たちが騒がしいところもありますが、終始忠犬でストーカー気質な國行がご主人様の言動に一喜一憂する様を愛でる作品でした。
ラシードが、DomこそSubの顔色を窺ってご奉仕をする立場だと話していますが、Subが求めている支配を、Subの顔色や表情、反応を見ながら的確に判断して与えようとするラシードの姿勢にも好感が持てました。
作者様が、「あえて作中でこの作品はDom/Subユニバースものであると断言していないがDom/Subユニバースものだ」と後書きでおっしゃっていましたが、それならばラシードがDomである描写をSSでもよいのでもう一歩踏み込んで欲しかったなというのが正直な感想です。なんとなく、國行の方には単なる性癖以上のものがあるような描写がありますが、ラシードの方には体調やストレスへの影響があるようには見受けられなかったので。そこだけが残念で★を一つ減らしました。
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