このレビューはネタバレを含みます▼
幼い頃に両親の離婚で離れ離れになった兄弟は一度も会うことなく、兄の遠坂和泉は高校3年生になります。和泉が寮長となった学生寮に新1年生が入寮し、和泉の部屋にも矢野馨がやって来ます。背が高く整った顔をした馨に、ゲイの和泉はドキドキします。が、和泉は1年生の時に同室の先輩と付き合ったものの、どうしても最後までできなくて別れてしまい自分に自信が持てないのでした。色々と距離感の近い矢野は、やがて弟の馨だとわかります。久しぶりに会えた懐かしさと愛しさ、兄弟という安心感もありつつ、幼い頃とはまるで違う大人の香りを纏い始めた馨に、和泉の心は揺れます。兄弟であり、先輩後輩である二人が罪悪感に苛まれながらも、どうしようもなく惹かれあってゆく過程が描かれます。後日談の『ぼくらのしゅうまつ』の「しゅうまつ」が週末であり終末であるところにも、ハッピーエンドながらこの二人に付き纏う一抹の後ろめたさがうかがえます。そこを流さずにきちんと拾い上げるところがこの作者さまらしいです。もちろん作者さまならではの攻めたエロシーンもガッツリでした。