ラブひな
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ラブひな

赤松健

非モテ向けラブコメの見本

ネタバレ
2023年8月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ まず最初に断っておくが、私はいわゆる「非モテ」である。そして非モテな男性はこういうラブコメが好きだと思われがちだが、私は「嫌い」である。なぜ嫌いか、一言で言うと非モテの心を読み透かしたようなあざとい内容で構成されているからである。
•主人公はステレオタイプな非モテ男子を具現化したような眼鏡•黒髪•良い所といえば優しい所のみ、というキャラ付けがされ、ポジティブ要素を持たない非モテ男子が安心して感情移入しやすい設定。(元々顔立ちは女の子っぽくて悪くなく、後半はスーパー化するので裏切られるのだが)
•ヒロイン候補は「お好きなタイプを見つけて楽しんでね!」と言わんばかりに様々な年齢、容姿、性格を取り揃えており、どんな男子でも好みの女の子を必ず見つけて推せるような親切設計。最終的には血が繋がっていない妹まで出し、エクストリームな性癖にも対応。
•なぜかヒロイン候補全員が主人公にメロメロになり、感情移入した読者がどの推しヒロインでもどこかで楽しめるような優しい世界。
•そんな世界観を壊さないよう、男キャラは極力出さないようにする堅牢なセキュリティ。本作の男キャラは名前付きは4人だが、実質は2人しかストーリーに絡まない徹底ぶり。
•毎話一回は登場する読者サービスで中弛みを発生させないエンタメ性

そんな非モテはこうしときゃ読むだろ?という出版側の見え見えの魂胆が嫌いなのである。しかし逆に考えるとこの方程式を確立した著者はマーケッターとしては優秀なのではないかと思う。実際今は国会議員になっている訳だし。その才能に星5つ。
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