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今月(4月1日~4月30日)

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シーモア島
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  • 伝染(うつ)るんです。

    吉田戦車

    とにかく面白い
    2024年10月30日
    よく不条理系ギャグの先駆者とか言われているが、そういう能書き抜きにとにかく面白い。特に2巻3巻辺りのかわうそとかっぱのハワイや若者の話は、今まで読んだギャグ漫画の中で一番面白かったかもしれないほど。40年近く経った今でも普通に面白いので、この作品がどれほど凄かったのかは今だからこそ見直されるべきなのかも。ただ正直作者の作品は幾つか読んだが、面白さはここがピークなのが残念である。
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  • 機動戦士ガンダム MS IGLOO 603

    MEIMU/矢立肇・富野由悠季

    内容は面白いけど表現がちょっと
    2024年10月23日
    華々しく取り上げられることが多いMSという存在、しかし現実で工業製品を作るには技術開発→試作→評価→設計→量産という工程を踏む必要があり、リアルに物語を表現しようとするほどこれが無視できなくなる。しかし凡百の作品ではそんな過程に割くリソースなど無いのであるが、そこを取り上げこの一つの作品にしてしまうのがガンダム作品の凄いところであろう。元はフル3DCGアニメでありそのコミカライズ化となる本作、内容は文句無く面白いのだが、作者の画力と時系列になっていない話の構成が残念である。でも文句をつけたいのはそれくらいかな。
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  • 彼方のアストラ

    篠原健太

    題材は使い古されているが、新たな視点が
    ネタバレ
    2024年10月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 少年少女が漂流してサバイバルする、という物語は小説漫画アニメ問わず古今東西たくさんあり、正直使い古された感が強いテーマなのであるが、この作品はそこに加え「漂流自体が仕組まれたものだった」というサスペンス的な要素を盛り込んでいて、後半はそれが主軸になっていくという点が斬新である。その理由はSF的な話題ではあるが論理的によく組み立てられており、最初の人情的な話からのギャップも加えて上手く描かれていると思う。そんな要素がたった5巻でよくまとまっていて、少ない巻数の名作として必ず名前が挙げられるのも納得のクオリティだった。100巻を超えても完結させられない作家は見習って欲しい。
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  • PAPUWA

    柴田亜美

    パプワの秘密が全て明らかに
    2024年10月18日
    南国少年パプワくんの続編。前作から10年近く経っているせいか作風に多少の変化があり、新しく登場する生物が可愛気がなく不快感があったり女子がたくさん登場したり、ギャグがクドくなるなどマイナス要素が多少あるのは残念。ただパプワやチャッピー、パプワ島や秘石の秘密が全て描かれて明らかになったり、相変わらずイケメン同士の濃い友情/愛情ストーリーはパワーアップしてたりとプラス要素も盛りだくさん。壮大なストーリーに決着が着くので満足できると思う。しかしこれを前作で描かず放っておいたのはなぜなのか。
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  • 南国少年パプワくん

    柴田亜美

    単純なように見えて複雑
    ネタバレ
    2024年9月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ パプワ島の喋る生物といった愉快な仲間達とのほのぼの日常マンガ…と思いきや、実は赤青の秘石に運命を惑わされる一族のストーリーだったという展開。終盤は人物関係が複雑になりすぎて子供にはわかんないだろうなとは思うが、それぞれの人生やら禁断の関係やらはある程度一貫して描かれており、作者の強い拘りは感じることができる。シリアスになり過ぎずギャグをバランス良く差し込むテクニックは読み疲れ防止に役立っており、30年前の作品だけど違和感なく笑えるギャグセンスも今読むとさらに光って見えるのは流石の実力。個人的には「最後誰も悪者は居ませんでした」的な展開はあまり好きではないが、この作品においては各キャラの個性が立ち過ぎていて、作者的に誰も悪くしたくなかったのは共感できる。私もこれで良いかと思う。(石が悪いんだけどね)
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  • 21世紀少年 完全版 デジタル Ver.

    浦沢直樹

    これを読んで無事完結
    2024年8月16日
    20世紀少年の最後を楽しみにしてた人を驚愕させたあのラスト、そこから約1年後に出されたこっちを見て無事完結となる手法はあまり好きではない。作中で万丈目がともだちに対し「面倒くさくなっただけだろう?」と言うシーンがあるが、あれは作者の自虐か?と思ったくらいで、この手法は作者が最後まとめる時間が欲しかったのかな?と勝手に邪推している。その甲斐あってかこの2巻の中で20世紀少年を読んで残ったモヤモヤはほぼ解消するし、ラストは読後感があり内容としては良い。それなりにとっ散らかっていた話を完璧ではないが上手く完結させたのはさすがの手腕だと思う。
  • 20世紀少年 完全版 デジタル Ver.

    浦沢直樹

    現実舞台ゆえに拘って欲しかった
    2024年8月16日
    「子供の頃に遊びで書いた予言の通りに世界が滅亡していく」という、言葉だけで読みたくなる話を思いつくところは流石であり、最初は伏線だらけだった話を後で無理せず回収していくストーリーは作るのが難しかっただろうが、その辺りは上手くは描けていると思う。それ故に気になってくるのが、現実世界を舞台にしてる故に違和感を覚える非現実的な要素。カンナの超能力もそうだし、ともだちランドのヴァーチャルアトラクションもそう。「漫画とか作り話にそんなケチ付けんなよ」はその通りで、これが適当な作品だったら別に文句も付けなかったが、巨匠の大作だからこそこのバランスは拘って欲しかった。ちょっと残念。
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  • 天使な小生意気

    西森博之

    星5を付けない人の感性がわからん
    2024年7月22日
    笑えるし泣けるしカッコ良いし萌える。端的に言うと全てが完璧。褒める所があり過ぎてレビューを書くのを諦めるほど。こういう人生で出会えて良かったとまで思える作品は数年に一度出てくるが、まさにそんな一作。
  • ぷりぷり県

    吉田戦車

    都道府県ディスりここに極まり
    2024年7月22日
    架空の県「ぷりぷり県」出身の主人公が、実在する都道府県出身の同僚らと名物等で面白おかしくディスりディスられするギャグ漫画。出来不出来の波はあるが、山形新幹線など爆笑できる回もあり総じると満足感がある。しかしこれが書かれたのは1990年代。Wikipediaどころかネットさえ満足に使えなかった時代に、各都道府県の名物や特徴を調べてよく書き上げている点は非常に関心する。不条理系ギャグの作者であるが、知識レベルの高さが滲み出ているのは素直に凄い。
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  • MONSTER 完全版 デジタルVer.

    浦沢直樹

    面白いけど腹に落ちない
    2024年7月22日
    浦沢直樹作ということで、魅力的なキャラ、場面毎の感情がしっかり伝わってくる作画、時代背景も考慮された練り込まれたストーリーと、彼の魅力が存分に発揮された良作である。しかし私は腹に落ちない読後感になる。その理由は分かっていて、話の中心であるヨハンの動機というか思考が理解できないからであろう。なぜ彼がアンナに自分を撃たせたのか、なぜテンマにだけ終わりの風景を見せようとしたのか、そもそも彼は最初から最後まで何をしようとしていたのか、劇中に記載されている/いないにも関わらず、理解できないのである。それは私が凡人だからかもしれなく、ヨハンと同じ天才にしかこの物語の真の良さは分からないのかもしれない。
  • 機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還

    Ark Performance/大河原邦男/富野由悠季/矢立肇

    ガンダム漫画最高傑作
    ネタバレ
    2024年2月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 私はガンダム作品が好きなのであるが、その魅力はガンダムという一つのキャンバスに色んな才能が物語を描いていくところにあると思う。多数の作家が同じ歴史線上に異なる物語を作るため、各作品間で歴史/社会背景/人物/技術/MSに齟齬があってはならず、まるで現実の歴史書並の非常に繊細な創作を要求されるのである。しかしその歯車が噛み合った時の爽快感は他の作品群では得られない物があり、0083やユニコーンのようにガンダム史的に無視できず他作品と完璧に連携させた作品は「正史」としてガンダム史に名を残すのである。
    さてこの作品であるが、端的に言えば独自性/整合性ともに完璧、しかも作中で連携している作品が非常にマニアックで、まさかコロ落ちやターンAまで絡ませるとは驚きの一言。作者のガンダムに対する偏執ぶりが窺える。個人的にはもう少し深掘りして欲しい設定もあったが、別作品にできそうな内容なので、そちらに期待したい。ともかく最高傑作である。
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  • BEASTARS

    板垣巴留

    最初は名作の匂いがあった
    2023年12月19日
    肉食動物と草食動物が喰う喰われるという関係性を残したまま現代社会のような世界で共存生活する物語。シンプルに聞こえるけど大変難しい設定ながら、特に最初の5巻くらいまではこの世界観を見事に描き切っており、マンガ大賞等の幾つかの賞に輝くのも納得の仕上がりであった。ただそれ以降は作者が若く経験値の無さ故か、ヒット作に恵まれてないチャンピオン編集部の手腕の無さ故か、週刊誌特有の構想期間の短さ故かは分からないが、突拍子もない話の展開や「これ必要?」という設定が目についてきて、最初の頃の名作感は薄れていってしまう。ただ最後まで読むとそういう伏線が見事!ではなく緩〜く回収されていくので、一見無駄に思えた内容もちゃんとマスタープランに沿っていたのかな?と思え、物語としての纏まりは感じることができた。そんな話の骨子は「肉食と草食の理想の関係」とその先に待ち受ける「異種族恋愛の是非」であり、私自身は人間界でもたまにあるような「お前になら殺されても良い」的な「あなたになら食べられても良い」が理想の関係かと勝手に想像していた。実際の結末は答えの無いテーマであるため結末はボンヤリはぐらかされた印象もあるが、レゴシの祖母が私の考えに近い行動をしていたのもあり、私はこのEDで良かったと思う。
  • 機動戦士ガンダム0083 REBELLION

    夏元雅人/矢立肇/富野由悠季/今西隆志/サンライズ

    この作品にて0083を正史に加えるべき
    2023年12月19日
    やれ「ガンダム試作機が歴史から見て高性能過ぎる」とか「ニナが悪女過ぎて胸糞悪い」とかいう理由でガンダム好きからは嫌われがちな0083という作品。それ故か未だに正史扱いされず、確かに時間等の制約が多かったであろうOVAではそんな感想を持ってしまうかもしれないが、この作品にて完全にリファインされたと思う。星の屑成就のために死をも恐れぬ気合いで挑んでくるデラーズフリートに対し、それさえも自らの野心達成に利用しようとする連邦とシーマとアナハイム、そしてそれらに振り回される現場のアルビオンクルーの苦労を、魅力的な登場人物とその背景および心情の変遷を一話一話丁寧に描くことにより、完璧に描き切っている。それによりOVAでは癖が強かったニナやモンシア辺りも、魅力的とは言わないが自分の信じる物に対し正直に向き合った結果だったのだと理解でき、人間臭さというか親近感を感じるようになるであろう。今まで多数のガンダムエース作品を読んだが、時代背景、登場人物、緊迫した戦況、登場MS、作品内で描いているその全てにおいて一番完璧な作品だと思う。そもそも空き過ぎた初代とZの間を埋め前後を繋ぐ作品として設定がよく出来ており、単に表現方法の問題だけだったということがこの作品を読むとよく理解できる。これをもって0083を正史に加えていただきたい。
  • 機動戦士ガンダムC.D.A 若き彗星の肖像

    北爪宏幸

    初代からZまでの隙間を埋める歴史書
    2023年12月19日
    初代からZまでの間にシャア/ハマーン/アクシズに何があったかを描いた物語。これを有象無象の輩が描いたというのなら期待はできないが、作者はあの北爪先生ということでこれだけで作品に納得感が生まれてしまう。シャアが敗走からエゥーゴに参加するまでの世界の状況の変化と心情の変遷、アクシズが一年戦争終戦からZで参戦するまでの政治の変遷、ハマーンが可愛い少女から強烈ツンデレ(笑)に至るまでの変遷が丁寧に描かれていて、あの頃のガンダムの中心にいた人物でしか解けないパズルの組み合わせ方は流石という感想である。またZZのキャラデザをしていた関係か後のZZの登場人物をかなり出していたり、ガトーを出すなど0083とも絡めていたりするのもファンには嬉しいところ。難点は年齢故か絵がやや古くさいくらい。先生にはこのままZZまで描き切って欲しい。
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  • ダービージョッキー

    一色登希彦/武豊/工藤晋

    競馬漫画の皮を被った格言書
    2023年9月25日
    武豊が原案のようで、どこまで関わっているかは不明だが作中の競馬関連の描写がなかなかリアルなのはそのせいかもしれない。競走馬は経済動物である過酷な現実を描いているのも、真摯に競馬に向き合っていると感じる。ただ私が評したいのはその辺りの競馬の話ではなく、物語後半に展開される怒涛の格言集だ。実際のプロ騎手がこうなのかは置いておいて、騎手に限らずその道のプロとしての仕事との向き合い方、家族で穏やかかつ幸せに過ごす日々を「これは余生か?」と切り捨てるほどの夢への情熱、そして人は何のために生きるかという人生に対する考え方、過酷な競馬界のストーリーを通してこれらを火の玉ストレートで読者に投げかけてくる。耳が痛すぎてこの言葉が刺さらない人などいないだろう。すぐ他人や社会や政治のせいにし、成功者を妬み攻撃することで快感を得、不満を言うだけで何か達成した気になってその場に止まり続ける多くの現代人、一度読んでみてはいかがだろうか?
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  • 密・リターンズ!【合本版】

    八神健

    可哀想なジャンプの被害者
    2023年9月6日
    90年代半ばのジャンプで連載されていた作品。プロポーズ直後に溺れていた高校生を助け死んだ教師がその高校生に転生してしまうという時代が早過ぎた設定に、転生がバレたら死んでしまうという要素も含め面白くなる素養はあったのだが、ジャンプの悪い面に全てぶち壊されてしまったようである。本来ならじっくり描かれるべきストーリーも人気ではない作品に時間を割けないジャンプの事情なのか、物分かりが良すぎて違和感のあるキャラの性格という歪みが出てしまっているし、特に後半のバトル物への転換は可哀想で見てられないほど打ち切りに向かって突っ走らされており、完全にジャンプ編集部の被害者となっている。他の雑誌であれば輝けたかもしれず、非常に勿体ない。応募する漫画賞はちゃんと選んだ方が良いね。
  • 遊撃宇宙戦艦ナデシコ【合本版】

    麻宮騎亜

    独特の世界観に付いてこれるか
    2023年8月29日
    一部でコアな人気を誇る機動戦艦ナデシコのコミカライズ。とはいえアニメ版とは内容が異なっており、こちらは一応の完結となっているので読後感はあると思う。世界観や設定、絵柄が非常に独特で好き嫌いが分かれそうではあるが、味のある登場人物や戦闘シーンの迫力は十分な物があるため、大体の人は楽しめると思う。一つケチを付けるとすれば最後に続編を仄めかしているが、原作含めて現在まで一切作られていないこと。ハマるとこの辺に苦しむかと。
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  • へそで茶をわかす

    茶畑るり

    下手だが登場人物がオシャレ
    2023年8月23日
    りぼんで8年間連載していた少女ギャグ漫画。姉が定期購読してたころ借りて読んで何となく覚えていたので、今さら拝読。作者はデビュー当時女子中学生だったそうで、中学生なりの画力とリアルな学校/女子流行ネタが良い味を出している。ギャグは言葉遊び系が多く、この辺りが国語の授業的で学生感が漂っていて意外と高度なのに驚く。そんな色々特徴的な中で最も印象に残るのは、下手な絵ながらも登場人物の服装は毎回違っていてオシャレで、この辺りはさすが年頃の女の子だなと妙に感心してしまう。最近の若い娘はこういう感覚を無くしてしまった気がする。
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  • ラブひな

    赤松健

    非モテ向けラブコメの見本
    ネタバレ
    2023年8月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ まず最初に断っておくが、私はいわゆる「非モテ」である。そして非モテな男性はこういうラブコメが好きだと思われがちだが、私は「嫌い」である。なぜ嫌いか、一言で言うと非モテの心を読み透かしたようなあざとい内容で構成されているからである。
    •主人公はステレオタイプな非モテ男子を具現化したような眼鏡•黒髪•良い所といえば優しい所のみ、というキャラ付けがされ、ポジティブ要素を持たない非モテ男子が安心して感情移入しやすい設定。(元々顔立ちは女の子っぽくて悪くなく、後半はスーパー化するので裏切られるのだが)
    •ヒロイン候補は「お好きなタイプを見つけて楽しんでね!」と言わんばかりに様々な年齢、容姿、性格を取り揃えており、どんな男子でも好みの女の子を必ず見つけて推せるような親切設計。最終的には血が繋がっていない妹まで出し、エクストリームな性癖にも対応。
    •なぜかヒロイン候補全員が主人公にメロメロになり、感情移入した読者がどの推しヒロインでもどこかで楽しめるような優しい世界。
    •そんな世界観を壊さないよう、男キャラは極力出さないようにする堅牢なセキュリティ。本作の男キャラは名前付きは4人だが、実質は2人しかストーリーに絡まない徹底ぶり。
    •毎話一回は登場する読者サービスで中弛みを発生させないエンタメ性

    そんな非モテはこうしときゃ読むだろ?という出版側の見え見えの魂胆が嫌いなのである。しかし逆に考えるとこの方程式を確立した著者はマーケッターとしては優秀なのではないかと思う。実際今は国会議員になっている訳だし。その才能に星5つ。
  • 異世界AV撮影隊

    がちょん次郎

    想像以上の面白さ
    2023年8月14日
    読み放題対象になっていてタイトルと絵柄に釣られフと読んでみたが、これが想像以上に面白かった。エロを題材にしているが直接的な卑猥表現は無く、内容的にはギャグ漫画の域かなと思う。いわゆる流行りの異世界物や薄い本を揶揄しながら、それらの世界観やエロネタを上手に取り込みギャグ化するセンス、それに違和感が全く無いストーリー展開や絵も上手で、作者には非凡な才能を感じずにはいられない。それなのにメジャーでは成功しなかったのが信じられない。よっぽど担当が悪かったのか。
  • 脳みそプルン!【合本版】

    川口憲吾

    マガジン黄金期に連載していた実力派?
    2023年8月9日
    2000年前後のマガジン黄金期含め、週刊少年マガジンで7年も連載していたギャグ漫画。この頃のマガジンは450万部もの発行部数であったため、これを読んだことがある人は世間にかなり多いと思われる。私も当然その一人で、見かける前は存在さえ忘れていたが読み始めると覚えていた話もあり、青春時代に見た物の自身への影響力は凄いと感じた。
    そんな中身はいわゆるヘタウマ系のギャグ漫画で、作者は当時大学生でいきなりデビューしたということもあり最初は明らかに勢いだけ感が満載で、読むのを止めてしまう人もいるかも知れない。しかしそこを乗り越えれば5巻くらいまでは「さすがマガジンで長期連載していただけある」と楽しむことができるはず。ただ6巻以降は盛者必衰で終焉に向かい劣化していくので、買わないという選択肢もあるだろう。その点を考慮して星は4つ。
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  • 藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス

    藤子・F・不二雄

    人の本質を鋭く描いた慧眼
    2023年7月24日
    藤子F先生がまだドラえもんヒット前の売れなかった時代に描いた大人向けの短編集の第一弾。絵柄はあの子供向けの優しくて温かみのあるタッチであるが、その話はおおよそイメージとは結びつかないほどブラックかつシニカルな内容となっており、まさに大人向け。当時からもこう評価されてはいたようだが、この相反する要素が同居してるからこそ、圧倒的な読後感があるのであろう。素晴らしい作品群である。その中身も50年も前に書かれたとは思えないほど、今現在も人の利己的な部分は変わらないんだなと複雑な気持ちになるようなストーリーが多く、人の本質を見抜いたような慧眼に恐れ入る。人は進化しないという事実に気付かされるような、今こそ読まれるべき作品である。
  • 超級!機動武闘伝Gガンダム 最終決戦編

    島本和彦/矢立肇/富野由悠季/今川泰宏

    3人の奇才による集大成
    2023年7月19日
    Gガンコミック化の完結編。東方不敗との決着、ウルベの決起、そしてレインとの…など、完結までの一話一話目が離せなくなる熱い展開が目白押しである。しかしこの無駄に大きく無駄に熱い話を上手くまとめて完結させた3人の奇才、今川泰宏、逢坂浩司、そして島本和彦という才能は素晴らしい。細かいことなどどうでもよくなってしまうほどの器の大きなストーリーとキャラクター、今の漫画に足りない物がここにあるんじゃないかね。
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  • 超級!機動武闘伝Gガンダム 爆熱・ネオホンコン!

    島本和彦/矢立肇/富野由悠季/今川泰宏

    デジタル描写になっている点が少し残念
    2023年7月19日
    本作はガンダムファイト本戦の場面を描いた作品。前作でほぼ無くなったギャグ路線が復活しており、展開としてはそれほどシリアスではないが一々熱いセリフと絵はそのままで、バランスが良く仕上がっていると思う。ちょっと残念なのがこの作品からデジタル描画が増えてきており、見にくい手描き劇画描写や読み辛い手書き筆文字が減っていて、迫力が半減してしまっているところ。この作品の魅力は読みにくいからこそ伝わってくる熱さだったので、最後まで読みにくい描き方で貫き通して欲しかった。
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  • 超級!機動武闘伝Gガンダム 新宿・東方不敗!

    島本和彦/矢立肇/富野由悠季/今川泰宏

    Gガンを描くために生まれてきた島本和彦
    2023年7月19日
    本作はデビルガンダムとの邂逅からそれと対峙するための修行を描いており、前作までのギャグ路線がほぼ無くなって圧倒的なシリアス路線となっている。そんなシリアス展開になっても読ませる力は相変わらずで、一々無駄に熱い絵やセリフはこの作品の良さが最も発揮されている真骨頂であろう。漢なら読み終えた後には無駄に叫びたくなるはずである。
    えっ?生身の人間がモビルアーマーを倒すなんておかしい?えっ?展開がご都合主義?えっ?科学的見地から設定がおかしい?そういうことを気にする器の小さい人向けの作品じゃないんですよ。
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  • 超級!機動武闘伝Gガンダム

    島本和彦/矢立肇/富野由悠季/今川泰宏

    ガンダムの歴史を変えた一作
    2023年7月18日
    ガンダム作品の中でも異端中の異端なGガンダムのコミック化。展開や場面によって作品としては4つに分割されているが、全て繋がっている話となっており、導入部にあたる今作はガンダムファイト予選を通じ主要キャラクターの登場、世界観や取り巻くルールの説明が丁寧に描かれていて、一話読む毎に十分理解できて親切であると感じる。少し古めな感はあるけど十分笑えるギャグも多く、結果としてスンナリと没入できる描き方はさすがベテラン島本和彦というところか。作者の実力が垣間見える逸作である。
  • 機動戦士ガンダム THE ORIGIN MSD ククルス・ドアンの島

    おおのじゅんじ/カトキハジメ/ことぶきつかさ/矢立肇・富野由悠季/安彦良和

    ガンダムは悪魔
    2023年7月5日
    まず最初に、レビューを書いている時点で映画の方は未聴である点を記しておく。
    ファーストガンダムのエピソードの中でも色んな意味で知名度が高い、ククルスドアンという人物の名を冠した作品。とはいえ彼の視点で話が進むのではなく、彼と一緒の部隊であったメンバーが話の中心になっており、一年戦争の状況の変化や周りから見た外側の視点から徐々にククルスドアンという人物が明らかになっていくという手法が取られている。オリジンの安彦先生の原作だけあり、時代背景や軍の細かい設定、魅力的な登場人物とそれらの心理描写の変遷含めて文句の付けようが無く、前述の手法もあり読んでいくうちに深くハマってしまう。さすがの手腕である。
    特に恐れ入ったのが度々出てくる謎のガンダムの描写。ザクの攻撃を軽々と避け、まれに当たってもダメージがほとんどなく、圧倒的火力で何機ものザクをまとめて焼き払うという描写はまさに「悪魔」である。さらに本作品の表現として連邦軍側の人物は「一切」登場せず、このガンダムのパイロット(アムロではない)も最後まで一切明かされない。ジオン軍のパイロットにしてみればそれが当たり前であるが、作品でこれをやられると悪魔感が圧倒的に増す。この手法も非常に評価したい。久々に圧倒的なレベルのガンダム作品に出会えて大変満足した。
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  • 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン

    さびしうろあき/柳瀬敬之/出渕裕/矢立肇・富野由悠季

    ニュータイプオカルトここに極まれり
    ネタバレ
    2023年6月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 逆シャアは2通りに分かれてしまってるのが残念で、大まかにはアムロとくっつくのがベルトーチカかチェーンかの違いで、こちらはベルトーチカの方。背景、展開、戦闘、登場人物それぞれは大変熱く面白いのであるが、要所に出てくるオカルト要素が許容できるかどうかで好き嫌いが分かれるだろう。アクシズショックはUCにも大きな影響を与えており正史となっているが、ベルトーチカに宿ったアムロの子供がビームを無効化したり敵主要パイロットを倒すほどの影響を持っているのは個人的にどうかと思う。オカルト要素ここに極まれりである。
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  • 機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画

    Ark Performance/富野由悠季/矢立肇

    ガンダムを舞台にしたサスペンス物語
    2023年6月14日
    いわゆるガンダム作品というとニュータイプな主人公がガンダムに乗って敵ライバルとバトルする、というのがステレオタイプであるが、この作品の主人公はパイロットですらなく、終戦末期に起こったとされるクーデターの謎を徐々に解き明かすサスペンス物である。それでガンダム好きが満足するのか?と思うところではあるが、これが大変満足できる。この作者は人物や背景設定にかなり凝るタイプで、最初はその設定の細かさが鼻につく感覚も持つが、ストーリーが進むにつれ設定が活き出し状況や心理描写の違和感の無さと共に説得力を増し、作品に深みを与えていく。その独自設定と原典である富野作品との融合も高次元でマッチさせており、その辺りがガンダム好きであれば間違いなく満足する素養となっている。個人的に特に感嘆したのは、作品内の時期と同時期に起こった設定の「ポケットの中の戦争」まで取り込み作品中で影響を与えている点である。これには脱帽した。この作者の構成力には驚くばかりであり、間違いなくガンダムエースでトップレベルの漫画家の一人であろう。
  • 機動戦士ガンダム THE MSV ザ・モビルスーツバリエーション

    近藤和久/矢立肇/富野由悠季

    作画はイマイチだが、内容は良い
    2023年6月6日
    1stガンダムの正史には出てこないが、裏で存在したとされるMS等をまとめたMSVのコミック化。戦争全体を俯瞰した中で必要と思われる戦術をこなす兵器を単発ストーリーで描いており、リアルが好きな人にはたまらない内容となっている。特に偵察機やレーダー妨害機など、戦術的には必須なんだけどあまりにも地味すぎて商業作品では描かれることが無い兵器を取り上げていることは評価したい。未来ではニュータイプが敵機の存在を感じてしまって索敵など要らないのかもしれないが、そんなオカルトよりこの方面を充実させて欲しい。
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  • 機動戦士ガンダム戦記 U.C.0081―水天の涙―

    夏元雅人/矢立肇/富野由悠季/松元弘毅

    サイドストーリーはこういうのでいいんだよ
    2023年6月5日
    主人公はニュータイプでもなく、乗ってるMSはジム系がメイン。ガンダム史に影響を与えることなく、オーバーテクノロジーも出てこない。軍規を逸脱せず、軍命の範囲の中で魅力的な登場人物が感動的なドラマを繰り広げる。ガンダムにおけるサイドストーリーの理想系ですね。こういうのでいいんですよ。
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  • 機動戦士ガンダムUC episode EX2 獅子の帰還

    福井晴敏/玉越博幸/安彦良和/カトキハジメ/矢立肇・富野由悠季

    UC読了後に読むべき
    2023年5月31日
    UCの後日譚を描いた作品。ラプラス宣言後に世界はどう動いたか、バナージは無事だったのか、ミネバは…等々、原作だと明確に書かれなかった部分について言及があるため、気になっていた方含めUC読者は是非読むべき。原作者の福井先生監修なので、これが正史ですし。
  • 機動戦士ガンダム U.C.0094 アクロス・ザ・スカイ

    葛木ヒヨン/関西リョウジ/カトキハジメ/蒼依ふたば(STUDIO G-1 NEO)/矢立肇・富野由悠季

    続編前提になってる部分が多い
    2023年5月17日
    ガンダムUCの時代の少し前の事件を描いた作品。小さい事件という設定のためか時代背景等は良いのであるが、話数のボリュームが不足しており細かい人物像や固有名詞が描ききれておらず、続編前提になっている点が多い。続編も合わせて読むことになる点は事前に知っておいたほうが良い。とは言いながら人物に関しては続編でも解決しないのであるが…。
    この作者の悪癖かもしれないが、表面的な人物設定は多くするくせに、作ったら深掘りをせず放置してキャラが宙に浮くという点が見られる。この作品はまだマシではあるが。
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  • 機動戦士ガンダム U.C.0096 ラスト・サン

    葛木ヒヨン/関西リョウジ/石渡マコト(ニトロプラス)/矢立肇・富野由悠季

    登場人物が多すぎる
    2023年5月17日
    モビルスーツに関する描写/設定に関しては、ガンダムエース掲載作品だけあり詳細まで考え抜かれていると感じ、満足できる内容である。
    他作品のクロスオーバーについては、過去の0083やZZ、そして同時期という設定のUCの人物が登場し、ほどほどの役回りで活躍している。ただもう少しキーキャラになっても良かったと思う。
    一番稚拙だと感じるのが登場人物の多さである。本来モブキャラでも良いような人物さえご丁寧に名前と年齢を紹介しているが、全6巻30話というボリュームの割に多すぎで、ほとんどの人物の深い部分を描ききれないまま作品が終結してしまうため、読後感が非常に薄い。最も酷いのはレイブン隊がなぜ反逆したのか、隊長のピコとロックの関係やピコが何故あんなにナイトロを憎んでいるのかがこの事件の発端であるに関わらず、ほぼ何も描写が無い点である。物語の根幹な部分なので数話割いてでも書くべきであった。適切な登場人物数とそれぞれのキャラクターの深いところまでしっかり描き切っているバンデシネの爪の垢を煎じて飲んで欲しい。
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  • 機動戦士ガンダム Twilight AXIS

    蒔島梓/矢立肇・富野由悠季/Ark Performance/サンライズ

    逆シャア後のアクシズを描いた作品
    2023年4月18日
    時代設定としてはUC後からF91までの間をちょっと繋ぐ物語。特に逆シャア後のアクシズに触れ、サザビーがどうなっているかに言及してる点は重要な内容に触れた作品であると思う。とはいえガンダム史に影響を及ぼすほどの出来事を描いている訳では無いので、読まずとも他の作品は楽しめるが、先に述べたサザビー等がどうなってるか気になる人は読んでおいて損は無いだろう。設定その他はArk Performanceが監修しているだけあり、文句の付けようが無い。ガンダム好きなら安心して楽しめる。
  • 機動戦士ガンダム バンディエラ

    加納梨衣/矢立肇/富野由悠季

    最初は違和感、読後は満足感
    2023年4月18日
    ガンダム作品としては珍しいビッグコミックスピリッツで連載されていた作品。そのせいかガンダムエースで連載されているガチ系と異なり、著者の画力もちょっと劣るせいか作中の描画はかなり物足りず、ガチ系に慣れている方にはツッコミ所が多いであろう。私も最初読んだときは「ハズレだったかな…」とも思ったが、読み終えるとストーリーも相まって概ね満足できた。
    そんな本作は一年戦争時のサッカーのスター選手を軸にするという今までに無かった観点で描かれており、MS戦にも端々にサッカー要素が取り込まれていて、その点は新鮮である。そもそも弾が飛び交う戦場でサッカー如きが役に立つのか?という疑問もあるだろうが、格闘戦や陽動、陣形崩しなど確かにテクニックや戦術に通ずる点もあるなと感じ、よく絡められていると思う。
    そしてガンダム作品で重要な原作や他作品との設定の融合であるが、本作ではテム•レイとマ・クベがキーマンとして登場している。彼らの設定は原作準拠となっており、個人的にはオリジンに合わせて欲しかったが、特にマ•クベは文化に造詣が深く優秀という人物像はオリジン準拠っぽくもあるため、良い設定だったかなと。
    最後にストーリーはあまりネタバレは書かないようにするが、各登場人物の想いが交錯してしまった結果…、という結末はよく練られていると感じた。悲しいけどこれ戦争なのよね、とは如何に名ゼリフなんだなと思う。
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  • School Rumble

    小林尽

    面白い、しかしモヤモヤ
    ネタバレ
    2023年1月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 当初はショートギャグ漫画だったのだが、登場人物のキャラが確立していった中盤から青春群像劇×複数の恋愛が交錯する展開になり、無類の面白さを発揮するように。キャラ付けや人物配置、展開などのレベルが高く、次の話が待ちきれなくドンドン買ってしまう魔力がある。ただ惜しむらくは、広げ過ぎた周辺人物の話などが放っておかれてしまい、最終回まで読んでも回収されずにモヤモヤが残ってしまう点。まぁあの流れの中で描ききるのは難しかったかもしれないが、魅力の一つであっただけにハマった人ほどモヤモヤが残ってしまうであろう。物語の核心の一つの八雲⇄播磨⇄沢近も中途半端な描写になってしまっているが、こちらは結論づけるとファンの論争が起こりそうなので、これで良かったのかもしれない(笑)

    (追記)
    スクールランブルZで作者的な結論が描かれていたことを確認。個人的には満足した。しかしあれは本篇で書くべきでは…。編集部とあまり上手くいってなかったのか。
  • 連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏(デジタル版)

    巻来功士

    苦労がよく伝わってくる
    2022年12月26日
    漫画の内容は他に無い絶大なインパクトがあるのだが、陽の目を浴びなかった作者の若い頃の回顧録的な作品。最初から青年誌でやってれば成功していたのかもしれないけど、発展期の少年ジャンプで戦っていたからこそ今があるという、人生の全ては無駄ではないという教訓的な内容が印象的だった。しかし出てくる周囲の編集者や漫画家が大物過ぎて、その中で連載していただけでも凄いと思うけどね。
  • キーチVS

    新井英樹

    訴えたいことは分かるが
    2022年11月30日
    キーチという人物を通して、日本社会の問題点を投げかける作品。ストーリーを通じ訴えたいことは分かるのだが、スタートが経済のみに偏っているのが残念。批判したいのであれば安全保障も含めた多角的な視点で論ずるべきで、そこが抜けているためイマイチ共感できない。こういう作品を書くのであれば、多面から分析して描いてもらいたい。
    しかし体制批判にご熱心なマスコミ界隈が好きそうな漫画なのに持ち上げないのは、電波利権とか触れられたくない内容が描かれているからであろう。そこを躊躇せず書いた点は評価したいし、そこから誰が一番卑怯な奴らかは自ずと分かるはず。
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  • キーチ!!

    新井英樹

    流されて生きる大多数に蹴りを入れる一作
    ネタバレ
    2022年10月25日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 最初はADHDな子供「輝一」を育てる両親のアットホームな話かと思ったら、まるで違う。両親が通り魔に眼の前で殺され、放浪の果てにホームレスに育てられ、殺人事件を目撃し、逃亡生活の果てに知り合ってつれ戻そうとした女性は事故で昏睡状態になり…といった具合で、まさに数奇な運命だ。しかしその出会いと出来事の全てが彼の人格を形成する材料となっており、その人格が物語の中心になっていく。ちょっと甲斐が小学生とは思えないほど大人顔負けだったり現実離れしてる描写も見られるが、腐敗した政治家や警察といった巨大な権力と使えるだけの武器で対峙する姿は、この同調圧力全盛と言われる令和時代に無くなった人間として大事なメッセージを伝えてくれるかのようだ。これを読んで周りに流されるのではなく自分を持って生きよう。
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  • 機動警察パトレイバー

    ゆうきまさみ

    星5個じゃ足りない、控えめに言って完璧
    2022年10月17日
    80年代から90年代中頃まで連載していた作品。レイバーというロボットが登場する内容であるが、SFなんて何処へやら、徹底して現代日本社会に根差した背景で、親近感まで感じてしまうほど現実的。漫画とアニメは新しい物ほど洗練されていて良いと思っているが、この作品は80年代に描かれながら、物語設定、展開、登場人物、心理描写諸々、その全てが洗練されていてグイグイ引き込まれてしまう。同年代の漫画と比べても傑出しており、作者は真の天才ではないかと思うくらいである。まさに完璧、今後も語り継がれるべき歴史的な一作であると思う。
    しかしこれが少年誌で連載されていたことが驚きだ。警察や会社内部の話とか登場人物の考え/行動の緻密さ等は、大人になって社会に出ないとその描写の凄さは分からないだろうに。
  • 【極!合本シリーズ】 Dr.コトー診療所

    山田貴敏

    内容は面白いけど最終巻が含まれていない
    2022年10月7日
    内容は文句が出ないほど面白い。しかし7巻完結と記載がありながら単行本25巻相当が含まれておらず、最終話に至る何話かを読むことができない。よって商品としては最悪である。
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  • THE MOMOTAROH 超合本版

    にわのまこと

    ギャグはつまらないが面白い
    2022年9月12日
    80年代末の週刊少年ジャンプに掲載されていた作品。まず読むと目につくのが、80年代独特のノリに溢れたギャグ。幾ら子供向けとは言え、この令和の時代に見ると面白くなくて結構キツく、人によっては読むのを止めてしまうかもしれない。ただその熱量がもの凄く、平均すると1ページに1ギャグがあるではないかというくらいの量が次から次へと繰り出され、その点においては作者の魂を感じることができる。
    肝心のストーリーの方であるが、
    •登場人物が全員昔話の主人公などが元ネタになっており、最後までブレずにその軸を守っている。
    •多少例外もあるがバトルの基本はプロレスであり、これも大きく逸脱することはない。必殺技もプロレスに則った物が多く、その描写には作者のプロレス愛が感じられる。
    •ストーリーや登場人物の心理展開はお約束展開ながらも自然かつ納得感のある展開で、読んでいて感情移入しやすい。
    •そして何よりジャンプの「友情努力勝利」が存分に詰め込まれ、バトル中の熱さとバトル後の爽快感が何とも言えず心地いい。
    と、ジャンプの良さを体現したようなクオリティである。
    ギャグはつまらないが、じゃあ無くしたとしてもそれはそれでつまらなくなってしまうという、稀有な作品だと思った。
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  • きらきらひかる 最終章

    郷田マモラ

    残酷な描写の裏にある現実と尊敬
    2022年8月23日
    20年以上も前にドラマ化もされた監察医という仕事を扱った作品。テーマがテーマだけに殺人や不慮の事故に遭った死体やその解剖の描写があり、独特の絵柄ながらもリアルに描かれていて耐性の低い人にはキツイかもしれない。しかしここに描かれていることは現実、さらには身近で行われていることであり、あえてその表現を誤魔化さないところに、作者の監察医へのリスペクトを感じることができる。解剖を通じ真実を明らかにし、残された人の人生を変えるこの仕事には、私も尊敬の念を禁じ得ない。昨今は人手不足もあり行政解剖も満足に行われていない状況のようであるが、こういう作品を見て監察医を目指す人が増えることを願わずにはいられなくなる。
  • うしおととら

    藤田和日郎

    細かい点が気になる
    2022年8月22日
    作品全体として名作である点は異論が無いのであるが、御大藤田氏とはいえ初の連載作であることから、細かい設定の甘さが気になってしまう。気になる点は色々あるが、一番は妖怪の死にまつわる設定。作中で「妖怪はバラバラにしてすり潰すぐらいしないと死なない」と言及されてるにも関わらず、妖怪によっては首と胴体が切り離されただけで死んでしまう物もいるし、逆に獣の槍で斬りつけられても生きている妖怪もいて、その設定にはかなりバラツキを感じる。妖怪退治はこの作品の肝の一つであるから、もう少し丁寧に設定して欲しかった。
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  • 【極!合本シリーズ】 交通事故鑑定人 環倫一郎シリーズ

    樹崎聖/梶研吾

    もう二度と出ないであろう名作
    2022年8月22日
    スーパージャンプ連載時にリアルタイムで読んでいたが、期間限定で読み放題となっていたため久しぶりに拝読。やはり定期連載ではなく一気読みすると、当時気づけなかった点などが出てきて面白い。
    そんなこの作品は交通事故鑑定人という仕事を中心としており、このテーマを書くには当然「交通事故」に関する知識が求められると思うだろう。しかし読めば分かるがそれだけの知識では足りるはずもなく、「車やバイクの構造」「多種多様な車種やその特徴」「物理法則」だけではなく、アメリカを舞台にしてるところから「アメリカの交通法規」「アメリカ文化」といった周辺まで理解していないとこの作品は描けないのである。当然このような知識を持った上で絵も描けなければならず、さらに漫画として面白く仕立てなければならない。故にこのテーマでここまで面白い漫画はもう二度と出てこないと思っている。誰しもが交通事故の加害者/被害者になりえるこの時代、この作品を見ておくことをオススメしたい。
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  • 夢幻街

    水沢勇介

    一話完結物がたくさん
    2022年5月17日
    妖怪とか神通力のような不思議な力を扱った作品であるが、何か巨悪との長い闘いのようなありがちなストーリーではなく、基本は一話完結で身近な悪と闘うといった内容である。前者は孔雀王のようにグダグダになりがちであるため、個人的にはこの作品のような展開の方が安心して読むことができた。それ故に読後感は無いので没頭する作品では無いが、暇潰しにはよいのではないか。
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  • THE UNLIMITED 兵部京介

    椎名高志/大柿ロクロウ

    本家と比べてしまうとどうしても
    2022年2月8日
    「絶対可憐チルドレン」のスピンオフ作品。本家ではあまり陽の目を見ないPANDORAの大人メンバーを中心に描いており、その観点では本家ファンにも楽しめる面白さがある。ただ本家と比べてしまうと、どうしても気になる点が目についてしまう。

    ・絵はキレイに見せてはいるが、アクションシーン時の人物動作の躍動感やちょっとした手足の長さの描写等に、稚拙な実力が見え隠れする。まぁデビュー作のようなので、今後の改善を期待したい。
    ・例えば港でPANDORAの面子をBABELが待ち構えていた際にヘリで囲む描写があるが、歴戦のメンバーがヘリの音を頭上に来るまで気づかなかったというのは無理があり、興醒めしてしまう。このように設定に詰めが甘いシーンが幾つかあり残念。
    ・人物の心理描写が直情的で、何の捻りも無いのが惜しい。本家はそれぞれの人物が背景(=人生)から来る想いに沿って行動しており、重要シーンでそれらの思惑が重なって盛り上がったり伏線が回収されるのが本当に上手。それらの心理描写が緻密なほど計算されており、言い換えれば全ての人物に感情移入できるほどである。この作品の人物は何かが起きればそれに沿った行動をしてるだけであり、「まぁそうするよね」で終わってしまう。つまり登場人物の心理を深く考察することもなく、ページをパラパラ飛ばすだけになってしまう。

    まぁ色々書いたが、本家および椎名氏が天才であるため、この作品が絶対的に悪いということではない。ただ本家より値段が高いのだけは納得できないが。

    しかしこの作品にも本家より優れた点が一つある。それはユウギリの可愛さであろう。むしろユウギリを描くためにこの作品を作ったのでは感じるほど、気合いが入っている。
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  • サトラレ 超合本

    佐藤マコト

    あなたの人生が変わるかもしれない傑作
    2022年2月7日
    天才的な能力と引き換えに周りの人に思考が全て漏れてしまう脳の病気「サトラレ」、このファンタジーともリアルともつかない斬新な設定を軸にした傑作。作中に出てくるサトラレに対する解説は素人目には納得できる点が多いし、サトラレに関する法律、サトラレに出合ったときの周りの一般人の反応、そして性や生理反応といった人間なら誰しも持ち得る事に対する話をキチンと書くなど、作者がこの設定を綺麗事にせず、良い面悪い面を両方から描写する姿勢には情熱を感じる。そのようなストーリー的な面も面白いのであるが、やはり核と言えるのが、心の裏表なく全ての想いを人に伝えるサトラレと、本音と建前そして嘘を駆使しながら人と接する非サトラレの我々、どちらが人間らしく、そして真のコミュニケーションと言えるかというテーマである。これに対する自分なりの答えを見つけたなら、タイトルのようにあなたの人生が変わるかもね。
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  • 麻雀放浪記

    嶺岸信明/阿佐田哲也

    博打打ちなりの清々しさ
    2022年2月3日
    昔少年マガジンでも同じ原作の漫画化をやっていたが、個人的にはこちらの方が面白さを感じた。麻雀で勝ちたければ最終的には積み込み等のイカサマをするしかないという内容はあまり好きではないが、イカサマを見抜けなかった方が敗けとか、騙すような奴をコントロールできなかった俺が悪いとか、常識人なら怒るところを自分の甘さのせいで許す描写はある意味で非常に新鮮であった。こういうメンタルが無いと、大物に成長できないであろう。
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  • ミスター味っ子 超合本

    寺沢大介

    今では普通になった工夫ばかり
    2022年2月1日
    伝説的な食の描写でカルト的な人気を誇っているアニメの原作漫画。確かに向こうは別のベクトルで大変面白いが、こちらはシンプルに料理の創意工夫が描きこまれていて、スッと入ってくる面白さがある。私はこちらの方が好きかもしれない。
    そしてレビュータイトルについて。これは批判では無く称賛である。この令和において種々の料理で普通の工夫になっていることが、30年ほど前のこの漫画には当たり前に登場しているのである。例えばお好み焼き。牛すじ、明太子、モチという今ではどのお好み焼き屋でも用意している具材を、創意工夫として利用している。これらの工夫が当時から一般的にあったのかは古すぎて私には分からないが、内容としては今でも通ずる物であることは間違いない。作者は当時に料理屋を開けば大成功したのではないだろうか。その先見の明には恐れ入る。
  • 聖戦記エルナサーガII

    堤抄子

    現代と魔法の融合を上手く描ききっている
    2022年1月12日
    まず本作には前日譚となるエルナサーガがあり、読んでいなくても楽しめる内容とはなっているが、最大限の魅力を引き出すためには是非とも読んでいただきたい。
    内容はその前作から続く未来となっており、テクノロジー全盛な現代。そこに過去の魔法が復活するという設定は色々な作品で観ることができるかもしれないが、この作品はそれらの要素の融合と相反を上手く配置し描ききっている点が素晴らしい。また宗教や神に対する考え方、何が正義かという点も説教くさくなくシンプルかつストーリーに深く絡むように説かれていて、巻数以上の読後感を味わえる。この作者はもっと評価されていいだろう。
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  • 少年アシベ

    森下裕美

    変だけど愛せるキャラ達
    2022年1月11日
    世間ではゴマちゃんがこの作品のメインと思われてそうであるが、実際はホンの一部であり、物語を形作っているのはどこか変だが憎めない多様なキャラ達。そのキャラ達の変だけどギリギリどこかにいそうな性格付けや作品内での配置、絡みのバランスが絶妙であり、それが作者の才能とこの作品が愛される理由であろう。それ故に全方位に変である山田さんが出てきた頃は、もうネタ切れかなというのが読者に伝わってしまう点が惜しい。後継作も含めて、山田さんより前の黄金比のキャラ達で何とか続けていって欲しかった。
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  • にっぽん競馬伝

    篠原とおる/あべ善太

    競馬全体への愛を感じる
    2021年10月8日
    競馬の話ではあるが中心は架空の人物や馬となっており、史実は昔の話題で触れられる程度である。また馬よりも競馬に携わる人間の話が中心であり、名馬の話を期待すると肩透かしを食らう。ただ馬場造園課の話など他の競馬漫画では触れないであろう裏方の人の話もあり、競馬に関係するあらゆる人達にスポットライトを当てようとする姿勢は、競馬への深い愛を感じ、読む側も温かい気持ちになる。競馬好きの人は読んで欲しい。
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  • マーダーライセンス牙【大合本版】

    平松伸二

    引き際があまりよくなかった
    2021年10月6日
    当時リアルタイムで読んでいたが、途中から読まなくなり最終回が気になったので拝読。物語の背景にある政治的な情勢はリアルかつ問題を的確に捉えており、この令和においても同じような問題を30年近く経っても引きずっていることに驚く。肝心のバトル面の方はある程度リアルさがあり、急に敵がインフレになったりするいわゆるバトル漫画にありがちな悪循環に陥ることも少なく、読んで興醒めすることはない。ただ終盤はダラダラ連載している雰囲気があり、九鬼家との闘いで終結としておけば綺麗な幕引きとなっていたであろう点が勿体無い。また途中から説明なくリエが一切登場しなくなったりと、人物面は迷走が見え隠れする。漫画は引き際も大事である。
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  • 聖戦記エルナサーガ

    堤抄子

    初期の設定を最後まで上手く活かしている
    2021年9月9日
    初めはコテコテの中二病的な設定の嵐に不安になったが、物語がその設定を最後まで活かし、上手に回収している点には感心した。また人々が惨殺されるシーンや国自体が滅んでしまうなど、主人公達が上手く立ち回れずピンチに陥る表現や展開も多く、単に強大な力で世界を救うようなステレオタイプなファンタジーとは一線を画していて、読み応えがあった。作者はこの後は恵まれていないようだが、こういう作りは他の作品も参考になる点があるだろう。
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  • 子連れ狼

    小池一夫/小島剛夕

    素晴らしき名作
    2021年8月26日
    作品名は知っておれど、内容は全く知らなかったため読んでみたが、素晴らしき名作であった。いわゆる時代劇物は、その時代背景故か主人公の目的が当時の社会制約ゆえ壮大ではなかったり、一流の剣士になる等ボンヤリしていることが多いが、当作は柳生一族を倒すという明確かつ時代背景に合致する目的がストーリーの主軸になっており、読む者を迷わせず引き込む魅力となっている。また仕合においては刀だけではなく仕込み槍や銃・爆薬を駆使するなど、正直分かりづらい剣術での決着よりエキサイティングさが増している。そしてこれが一番であるが、ストーリーの核となっている「武士の矜持」ともいうべき作法と心得と魂の描写。今の日本人はどうしてこれを忘れてしまったのか。非常に考えさせられる作品であった。
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  • 風よ雲よ剣よ

    さいとう・たかを

    中身は安定しているが…
    ネタバレ
    2021年8月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 幕末間近な時代に、天下一の剣士を目指す風吹波之進という武士の人生を描く作品。まず中身はさいとうプロの作品ということで、安定感があり読みやすい。ただこれは時代劇全般に言えることだが、時代背景もあり明確なゴールが設定しにくいためか、ストーリーがあちこちに飛ぶような感覚があったり、あれだけ強敵扱いされていた敵が一話でアッサリ倒されたりと、現代漫画に慣れきっていると違和感を感じる部分がある。また主人公も結局苦悩して迷走する人生となり、起承転結をハッキリ望む展開を望むと肩透かしを食ってしまう。とはいえさいとうプロでさえこの内容なので、時代劇はこのような物だと割り切るしかないのかもしれないが。
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  • Y氏の隣人 完全版

    吉田ひろゆき

    道徳的な話の短編集
    2021年4月27日
    欲深い人間は不幸に、善行に励む人間は幸福になるという話が徹底している、ショートストーリー集の漫画。最初の頃は物珍しかったかもしれないが、後半は過去の話の焼き直しが多く、ネタ切れ感があるのが残念。あとは作者が銀行勤務を経験しているためか、銀行員や頭取が基本的に悪に描かれているのも特徴的。よほど嫌なことがあったのだろう。
  • 天体戦士サンレッド 完全版

    くぼたまこと

    長期連載しただけあるクオリティ
    2021年4月17日
    11年の長期連載、またアニメ化もされただけあり、かなり面白い。チンピラのようなヒーローと日常に溶け込む悪という背景であり、凡才な書き手であれば寒いだけの内容になりそうであるが、どこかに居そうかつ怪人の特徴をキチンと生かしたキャラ設定が絶妙、また日常あるあるネタとファンタジーを織り混ぜたストーリーとも無理無駄なく溶け込ませており、どんどん次の話が読みたくなってくる。流石に最後の方はネタ切れ感が出てきてしまうが、あまり凝らずに日常を書き続けるだけでも良かったと思う。
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  • ガウガウわー太

    梅川和実

    ラストがあまり好きではないが、傑作
    2021年4月1日
    この絵柄を見て最初は90年代前半頃の作品かと思ったが、なんと2000年代とは!当初はやや古臭く稚拙な画力が気になったが、段々と味になり後半には逆に武器になってきたように思う。ストーリーは「動物と話せる主人公が色々と動物を救いながらヒロインと結ばれる」という単調な話を想像したが、これが全然違う。もちろん恋愛要素もあれば、獣医資格を持つ筆者の知識に裏付けされた愛玩動物の知識、また現代社会が抱えるペットを取り巻く重い問題まで、喜怒哀楽全てを卓越したバランスで描ききっており、この構成力には脱帽。登場人物の心理描写も自然かつ心に刺さるものがあり、読んでいて何回も見返すほど引き込まれてしまう。まさに傑作だ。ただラストは人によるであろうが、個人的には好きではない。他の人の批評が知りたいところ。

    蛇足だが、一番好きなのは北海道のお風呂回。
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  • 本日も休診

    石川サブロウ/見川鯛山

    深い話がたくさん
    2021年3月26日
    おおよそ現代人には信じられないような話が盛りだくさん。昔の田舎は、こんな感じであったのだろうか。今の眼から見れば貧乏で不幸な話にしか感じないのかもしれないが、どの登場人物もあまり不幸に思っている節が無く、人間の幸せって物質的な物だけではないのがよく分かる。昔の人のメンタルは強い。
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  • 特命係長 只野仁 デラックス版

    柳沢きみお

    ドラマでヒットする前の作品
    2021年3月24日
    後に4thまで作られるヒットになったドラマの原作。そのヒットのおかげか漫画の方も続編が色々と作られることにはなったが、この初作は9巻で幕を閉じている。内容は既に周知の通り、主人公の強さとお色気シーンはこの作品でも登場しており今さら説明不要であるが、ここで推したいのは話の節々に埋め込まれている「サラリーマン」「男」「日本社会」に対する哀歌とも言うべきセリフの数々。その内容は20年経った令和の時代においても、男の心に突き刺さるであろう。気になった諸君は読んでみるべし。そして君はその平凡な人生のままでよいのか、考えるであろう。
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  • ひょぼくれ文左

    土岐正造/石川サブロウ

    元禄時代の尾張の生活
    2021年3月22日
    鸚鵡籠中記という、実在する江戸時代の書物(日記)を基にした漫画。とはいえ日記をそのままコミカライズするのも限界があるようで、内容は創作が多い模様。堅苦しい時代絵巻ではなく、その時代に生きる武士等の生活を丁寧に描いており、出てくる古き当時の各種制度については、知識としてなかなか面白い。惜しむらくは、忠実なのかもしれないが主人公が頼りなくあまり感情移入できない点。まぁ「ひょぼくれ」を的確に表現できているのかもしれないが。
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  • ゆきのいろ

    石川サブロウ

    もう少し永く見たかった作品
    2021年3月17日
    当時スーパージャンプでリアルタイムに読んでいたが、生活の激変もあり読破せずに中途なままであった作品。ただ20年越しでも思い出せたように、内容や絵柄が個人的には大変好みである。3巻までは内容もテンポも抜群で、引き込められるように読んでしまう魔力を持っているが、4巻からの最終回に向けたストーリーはかなり性急で、打ち切られたせいなのか作者が構想できなかったのかの裏事情を察してしまい、大変勿体なく感じる。個人的には3巻までのテンポでもっと永く読みたかった。蛇足だが、判子絵のようなオタク向け作品が蔓延り売れる世の中、この主人公の方が、そのどれよりも圧倒的に可愛いと思う。
  • 完本 みこすり半劇場

    岩谷テンホー

    偉大なるマンネリ
    2021年3月16日
    私がよく読んでいたのは90年代であったが、それ以降も10年代半ばまで続いていたのが、まず驚き。そして内容が、その頃になってもほとんど変わっていないという点が次の驚き。それなのに時代が変わっても読めてしまうのは、エロという恒久的に不変な話題を、シンプルかつ作者のセンスを盛り込んだ独特の表現方法のおかげだろう。まさに偉大なるマンネリだ。老若男女、みんなこんな感じでエロかったら世の中もっと楽しいのに。
  • ネオ・ボーダー

    ひじかた憂峰/たなか亜希夫

    時代は変わっても作風は変わらない
    2021年3月16日
    バブル真っ只中の80年代後半に連載され、時代へのカウンターとして人気を呼んだ漫画の続編。連載の時代は平成末期、作中の時代は平安末期へとそれぞれ時代を移しているが、作品のスタンスは相変わらず世間とズレている自由人達の、目的も何もなく生きていく日常(非日常?)を描いている。そういう作風もあり時代考証や設定は大胆かつフリーダムで、平安歴史物として見るのは間違い。まぁそれを求めて手にする人はいないだろうけど。主人公の蜂須賀はダメ人間ぽく書かれてはいるが常人を越えた才覚溢れており、見てる分には面白いけど感情移入はできない。ご都合主義のように後付けで蜂須賀をスーパーマンにしてしまう点が、星マイナス1した理由。悲しいかな、我々のような凡人は結局木村のようになってしまうんだよね。
  • EVIL~光と影のタペストリー~

    塀内夏子

    ベテランの仕事の粋
    2020年9月25日
    ベテランの作者が長年書きたかったけれども、商業誌では表現上の問題で書けなかったという作品。そのためか人物・テーマ・ストーリーが本当によく練られており、文句一つ出ない傑作に仕上がっている。たった3巻ではあるが、スムーズかつ重厚な展開のおかげで、あっという間に読めながら心に深く刻まれる感覚は本当に素晴らしい。「規制」とか「よく分からない誰かへの配慮」でこういう作品を埋もれされてしまう、表現することを忘れた商業誌に、未来は無いだろう。
  • EVILⅡ ~メビウスの扉~

    塀内夏子

    前作を読んでから読むべし
    2020年9月24日
    まず始めに、この作品には前作譚となる「EVIL」が存在する。私はそれを知らずに読み、特に支障なく楽しめたが、繋がる部分が多いため、やはり前作を読んでからこちらを読むことをお勧めする。

    この作者と言えばスポーツ物が有名であるが、スポーツは単なるシチュエーションに過ぎず、その核は「男同士の友情」と「逆境からの逆転」だと思っている。スポーツから離れたこの作品の主人公達もそれを中心に話が進んでいくが、正直この作者にこんな血みどろでドロドロな話が書けることに驚いた。爽やかな青春のすぐ裏でそんなドロドロな話が繰り広げられる対比も面白く、これぞベテランの仕事という老獪さを感じる。しかし作者は女性ながら、女性が嫌いなのであろうか(笑)
  • 迷走王 ボーダー

    たなか亜希夫/狩撫麻礼

    その自由が無い人生、楽しいですか?
    2020年9月23日
    主人公達はボロアパートに住み、バイトなどでその日暮らしを楽しむ男3人。こう書くと社会の底辺と思うだろうが、彼らはワザとこの境遇に身を置いている。我々のような「社会の常識」に束縛されて自由が無い、「あちら側の人間」にならないように…。まぁ3人とも器量が良かったり人並以上の才能を持っていたりするので、あまり親近感は湧かないが、彼らの生き方は息苦しさに溢れ、何の感動も産み出さなくなったこの令和に、何か切欠を与えてくれるかもしれない。結局楽しいとか幸せなんて、人それぞれなんだ。
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  • 天より高く

    宮下あきら

    荒唐無稽
    2020年9月11日
    男塾の漢臭さ&馬鹿馬鹿しさに、エロネタを加えたとんでもない作品。まさに荒唐無稽という言葉がピッタリで、これ以上の説明は不要。この作品が作者のロングランになるのだから、人生分からないものである。ただ長すぎる&しつこすぎる故に、途中で読み疲れてくるのは確か。
  • フランケンシュタ医院へようこそ!

    松沢夏樹

    8巻まであると思ったら
    2020年9月11日
    1巻1話で、全8話。とはいえ分量およびストーリーはそれなりに満足感がある。内容はオタク受けを狙い過ぎている感があり、色々な作品で使い古された表現もあるが、高い画力がそれをカバーしていて嫌悪感が少ない。作者のもっと重厚なストーリーの作品を読んでみたい。
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  • 白い戦士ヤマト

    高橋よしひろ

    流れ星銀の作者の作品
    2020年9月11日
    表題のとおり、闘う犬の金字塔である作者の作品。発表年を見ると、銀より前に連載開始し後に完結しており、この作品にも銀の要素が存分に見受けられる。ただ違うのが相手が熊か犬かという点で、本作は昨今ではあまり聞くこともなくなった闘犬を主題にしている点が珍しく、古い作品ながら新鮮なテーマと感じる。闘魂物の宿命か、次々と現れる強敵の連続や、どんな悪役も最後には改心するいわゆるジャンプの「友情・努力・勝利」に些か食傷気味になるが、闘犬という枠には収まっているので、納得感はある。ただ刺紋が現れたときは、もう作品も終わりかと思ったが…。
  • 優駿たちの蹄跡

    やまさき拓味

    競馬ファン以外にも読んで欲しい
    2020年8月28日
    10年一世代と言われている競馬界、内容は2~4世代ほど前の古い時代ではあるが、馬にまつわるドラマは月日が経っても色褪せることは無いので、新旧競馬ファンはもちろん、競馬を知らない人にも是非読んでいただきたい。
    しかし作中にも触れられてはいるが、月10万は維持費がかかるという馬を、何でもかんでも生かしておくことはできないという過酷な現実は分かっている。天寿を全うできる馬など、1%もいないだろう。それでも、重賞を複数勝った馬や賞金2億は稼いだ馬まで余生を全うできない現実は、単なる馬主の金儲けの道具として扱われてるだけに過ぎず、間違っていると思う。JRAもそうだし、競馬ファンもこの漫画を見て、引退馬について考えて欲しいと思う。
  • オークション・ハウス

    小池一夫/叶精作

    長編とはいえ最初とズレ過ぎ
    2020年8月26日
    ゼロのような美術品に関わる話かと思いきや、どんどん巻数が進むにつれズレていき、いつの間にか最強の殺し屋のようになっていく。さすがにちょっと酷いと思った。
  • 犬のジュース屋さんZ

    おおひなたごう

    文句無しに面白い
    2020年8月24日
    ほのぼのとした画風にシュールなギャグが特徴の作者であり、この漫画でもその才能が如何なく発揮されている。元々興味はある作者であったのだが、読み放題で見ることができたので良かった。一番好きなのは30杯目の話で、久々に抱腹絶倒した。
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  • 獅子の如く

    あずみ椋

    注目されることが少ない北欧の歴史
    2020年8月24日
    作品はほぼ言い伝え通りにオーラヴ1世の生涯を漫画化されている。しかしなかなかにドラマ的な人生で、権力者さえ入れ替わり立ち替わり変わる戦国の世でも、さらに異彩を放つ人物だと思う。あと欧州の宗教に対する信念の凄まじさも描かれており、それは未来永劫日本人には理解できないであろう。そういう面も楽しめる良作であった。
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  • つぶギャグ~呟くギャグマンガ~

    ザックKT-4

    金を出して読みたいとは思わない
    2020年8月19日
    四コマギャグ集であり、肩肘張らずに読めるのはいい点であるが、Twitterに転がっている商業以下の作品以外の何物でもなく、金を払ってまで読もうとは思えなかった。読み放題であれば、かろうじて読んでも良いだろう。
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  • ピカイチ!

    木内一雅/三山のぼる

    若手社員に是非読んで欲しい
    2020年8月19日
    営業の基礎、企業活動とは、大企業と中小企業の関係性など、この令和でも通用する内容がちゃんと描かれている。今のDX時代、流石にそれだけでは駄目ではあるが、基礎的で不変な内容が多いため、特に若手社員にとっては役立つと思う。是非読んでいただきたい。
    作品的には、中小企業の主人公が大企業の御曹司と対等に張り合えるまでを描くのは流石に無理と思っていたため、ラストは想像通りこんなもんかという内容であったが、途中のストーリーは丁寧に描かれていて、無理なく飽きずに読めるところは作者の技量を感じる。作品としての長さもちょうど良かったのではないか。
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  • 特攻の島

    佐藤秀峰

    戦争を愚かと言うのは誰でもできる
    2020年8月17日
    戦争を愚かと言うのは誰でもできる。そしてそんな簡単な言葉で切り捨ててしまうのは、当時の人達を侮辱していることと同義と感じる。作中にもあるが、死ぬことに意義を見いだし、それを達成したならば、戦争で死ぬことも決して愚かとは言えないはず。そういう言葉を使いたがる輩こそ、今の自分の人生の意義も見い出せない、生きる死人ではないかと思う。この作品を見て、人生というものを見つめ直して欲しい。
  • BARレモンハート

    古谷三敏/ファミリー企画

    酒が飲めなくても楽しめる
    2020年8月14日
    酒が飲めなくても、ほのぼのする酒✕人情話で十分楽しめる。こういうテーマは庶民とはかけ離れた高尚な内容になりがちだが、登場人物も酒の味が分からないなど気どっておらず、安酒も登場したりして庶民でもついていける内容になっているのがグッド。酒が飲めないけど飲みたくなる気分にさせられます。
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  • マタギ列伝

    矢口高雄

    良い作品だけにラストが…
    ネタバレ
    2020年8月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ マタギという、現代文明からは遠く離れた文化を描いた作品。そのため内容の真偽は到底我々には分からないけど、そういう人にも楽しめる内容になっている。シーンや中心人物が色々と変遷する様はカムイ伝みたいであるが、キチンと端々でそれ以外の人物等のリンクが残されていて、混乱することはないと思う。登場する女性が可愛く、最近の判子絵のような漫画よりこちらの方が魅力的。ただラストは打ち切りにしても突拍子も無く、伏線が全く回収されないため、モヤモヤ感が凄い。とはいえ終わりの無いテーマの作品なので、どう終わらしてもそうなるのかもしれないが…。
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  • 新装版 CHOKO・ビースト!!

    浅野りん

    良くも悪くも昔のノリ
    2020年7月31日
    良くも悪くも昔のノリに溢れており、この令和に新たに読むとキャラやストーリーが古くさくて好き嫌いがあると思う。読み放題なら良いが、わざわざ個別に購入するのはオススメしない。作者はこれ以後に面白い作品を幾つか排出するので、歴史を辿りたい方は読むべき。
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  • パンゲア・エゼル

    浅野りん

    ラストがやや性急
    ネタバレ
    2020年7月31日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 他のレビューにあるとおり、ラストはやや性急な印象を受ける。特にハクロウを始めとするサブキャラ達が、ラストの地に到着するもクライマックスに絡めていないため、その辺りは少し勿体無い。
    ただ重要な伏線はあらかた回収できているし、含みを持たせたラストシーンはこれはこれで良いと思う。失うばかりだったかもしれないが。
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  • 天外レトロジカル

    浅野りん

    読み応え十分
    2020年7月29日
    絵がキレイで、登場人物のキャラも多彩で魅力、ギャグもテンポ良く、ストーリーも取っつきやすい。欠点が無く読み応え十分の作品だった。この作者の作品は悪らしい悪が出てこないのが特徴であるが、本作はそれがクロージングに十分生かされ、読後感に繋がっている。もっと見たいと思わせる良作だと思う。
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  • 鯨魂

    川本コオ/牛次郎

    40年前から本質は変わっていない
    2020年7月29日
    本作は40年以上前の作品であるが、企業経営、政局、大衆性、マスコミの無責任体質などなど、この現代でも通用する内容ばかりであり、これらの本質は不変であることに驚かされる。また劇中の作者の的確過ぎる分析・指摘について、改めてこの令和に生きる人達に読んで欲しい。