オオカミくんは襲われたい
」のレビュー

オオカミくんは襲われたい

柊のぞむ

細かいことを気にしなければすごくいい!!

ネタバレ
2023年8月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 導入部分、完璧なのでは…!?ミステリアスで続きが気になるし「ばあちゃん」への振る舞いでメインキャラ二人に対してすぐに好感を持てたのがとてもよかった。

◇欲を言えばもっと瀧の魅力を描いてほしかったのと、彼の人格が形成された背景が深掘りされてたらよかったなと思う。

引っ込み思案やシャイでは片付かない瀧の振る舞いは (1)病院のシーンで瀧以外の親族が描かれていない (2)明らかに蔑ろにされていても離れられずに乱暴な性行為にさえ愛情や繋がりを見出そうとするメンヘラ感:この2点から短絡的に想像して、家庭環境に問題があって自己肯定感が低く、他者との対等で健全な関係を構築することができない子なのかもなぁ…と(勝手に)補完しつつ読んだ。

とはいえ作中では、愛情への飢えと自己犠牲的な振る舞い・自分の意思や気持ちをうまく外に出せないコミュ障感しか分からない。最後まで瀧は異様に人と関わるのが下手ですぐセ ックスしたがる「変な人」のまま、よく分からないうちにシンゴがとんでもない包容力を発揮してぜーんぶ包み込んで終わった。

◇瀧がそんな感じなので、二人が惹かれ合う理由もいまいち分からない。瀧→シンゴは瀧の依存しやすい性質も要因かと思えるけど、シンゴ→瀧に関しては瀧の変な人感が回収されずノンケのセクシュアリティが覆るほどの描写もないのでシンゴの瀧に向ける好意のデカさに説得力がなく、読む側の気持ちが追いつかない。

ばあちゃんを献身的に支え慈愛に満ちた笑顔を向ける瀧を知っていたとはいえゴリゴリにノンケだった男が急に男を好きになって軽いノリで付き合って乞われるままにセ ックスして公衆の面前で大告白するほど執着するかね?と思っちゃう。身近に同性愛者がいるのと自分が同性愛者になるのは全然違うし。

◇知らずに読んでたけど「どっちもどっち」の作家さんなんだ。そちらもなぜメインの二人が恋愛に発展したのかよく分からないまま話の進む作品だったからその辺を明確にしない作風の作家さんなのかも。

◇すごくいい作品な感じがするからできれば続いてもう少し深掘りしてほしいです!
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