イヴの眠り
」のレビュー

イヴの眠り

吉田秋生

ようやく…

ネタバレ
2023年8月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ BANANAFISHのアッシュは「生きること」に食らいついていて、夜叉の静は「死に急ぐ」ところがありました。2人の生きることへの考え方は似ているようで少し違っていたけれど、どちらも何かのため誰かのために「必死に生きていた」ことには変わりがなく、それにとても切なくなってしまいます。静の最後は報われたのだと思います。あの状態で生き続ける方が辛いことだし、最後に自分の生きる上での大きな役目を全うし、大切な娘と信頼している家族同然の親友に看取ってもらえたことは、静にとって至上だったと思うのです。そしてようやく、自分の半身である凛や大好きなお母さんのいるところへ還り、自分の幸せを目指すことができたのですね。
そして最後はアリサに託されました。両親から目一杯愛をもらって育ち、みんなから愛されたアリサは希望の光。静や凛の苦悩と人から受ける愛のどちらも知るアリサという女神がこの悲しいストーリーに終止符を打ち、みんなで幸せに生きていくことでようやくこの物語は終われたのですね。本当に良かった。最後、アリサがケンの前で見せた子供のような甘える笑顔がとても可愛くて、幸せな気持ちになりました。発売から何十年も経った今初めて読みましたが、自分の思う名作漫画に入ります。BANANAFISH→夜叉→イブの眠り、この作品に出会えて良かった。素晴らしい作品に出会うことができ幸せです!ありがとうございました!
いいねしたユーザ2人
レビューをシェアしよう!