恋の弦は離れられない
」のレビュー

恋の弦は離れられない

すけやま

こんなに美しい真っ直ぐな青春なかなかない

ネタバレ
2023年8月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 弓道ですってぇ~~~!?!!???!?こーれーは買うっきゃねえ!!!!!!!とニワカならではの熱いパッションを持って読んだのですが、すごい…。作者様は経験者なのでしょうか、想像より断然弓道の描写が細かく、ひと夏の大会を通してふたりの心が結ばれるキラキラ胸キュン青春物語でした……。
結は弓道の才があり健気な努力家。弓引きとして培われたのか内省が強く、やや自己完結型で己の意思より周囲の調和を大切にしているような優しい子。大好きなおじいちゃんの背中を追って己の弓を模索する中で、ひとりでいることの強さと弱さの両方を知り、男子高校生としては精神が達観しているというか、少し大人びているせいで創への気持ちを自覚しながらも成就するはずがないと恋心を抑圧している様子が切なく、それに対して創は、過去にサッカーの才を遺憾なく発揮していて周囲の期待もあったさなかにケガで苦渋を味わい、挫折。そんな折、まっすぐ弓に向き合う結の姿に感銘を受け、己も弓に向き合うほどに少しずつ好きになっていき情熱を傾けるようになり、その切っ掛けをくれた結に恋心を自覚して好き避けしてしまったりすれ違ったりしつつも、向き合う覚悟を決め、共にあるために研鑽を積み、対話を諦めない姿勢を貫く姿のなんと美しく、そして眩しいことか…。ただの恋物語だけではない、青春そのものを切り取ったかのような丁寧なストーリーに脱帽です。
個人的に、えちシーンでのふたりそれぞれの言葉が大好きです。創の「ちゃんとわかって帰って。俺が結を好きで好きで可愛がりたくてたまんないってこと」。それの結のアンサーが「俺のこと好きってもっとわからせてよ」ときたもんだ……。もうこのセリフに二人の今までの気持ちが全部!ぎちぎちに!!詰まってる…!!!
二人の弓に向き合う気持ち、そしてお互いを想う真っ直ぐさ。どちらも最高の形で描き切ってる素晴らしい作品です。こんなに美しいアオハルをありがとうございました……。
PS.黒澤先輩と水野先輩のスピンオフ待ってます。この熟年夫夫感でデキてないなんてないよなァ!!!!!!オタクそういう邪推大好きなんだから!!!!!!!!!!!!
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