汝、星のごとく
」のレビュー

汝、星のごとく

凪良ゆう

共依存を美化してると感じます。

ネタバレ
2023年8月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 優しさって何だろう。
「優しいね。でもその優しさは誰のためにもならない」っていう感じのセリフとか、この優しさは弱さだ、みたいな文章がたびたび出てくるけど。

この作品は他者からのレッテル貼りや陰口的なものからの自立?を主張してると思うけど、いわゆる毒親で問題になるのは、他者からというより、毒親からの自分への批判や蔑みから、自立できるかどうかでは?と思います。

自己肯定感って言葉が一度出てきたけど、ん?そういうのは自己肯定感とは言わないよ?って感じた。
自己肯定感って、弱い自分、ダメな自分、上手くやれない自分、汚くずるく、意地悪な自分、何一つ価値あるものを持たない自分。そういうのぜーんぶひっくるめて、「大丈夫。私は私でいいんだ」って、心の底から思えることで、誰かに自分をひけらかしたりしたくなるのは、自己肯定感が低いからでしょ。逆だと思う。

お金を出すことが優しさか?って聞かれたら、それはNOだと、私はハッキリ言えます。
お金せびられるたびにお金出してたら、相手はいつまでも自立できないし、そういうのを共依存って言います。私の義母もそういう人だから、状況は痛いくらい分かるし、私の実母はまた違う毒親だから、

親に苦しめられる気持ちは理解できる。

何だろうなぁ。この作品に出てくる優しさは、優しさなのかなぁ。一見優しいように見えるけど、違うと思う。相手への優しさのようでいて、自分への優しさだと思う。

親になじられても、親から見て例え自分が悪者になっても、本当の意味で相手のためになることをするのが優しさでしょ?

お金出すことで親の愛を得られるかもって、思いたい気持ちは理解できるけど、どこかで腹にグッと力入れて、「それは愛じゃない。自分は愛を渇望したけれど、この人からの愛は得られない。私は私を精一杯大切にしよう」

って、自分で自分を大切にできて初めて、他者を大切にできる。お金出すことは優しさじゃないし、相手を大切にするってこととも違う。

共依存を美化しているようにも見える作品でした。

文章は上手いです。もちろん、ストーリーは面白いです。
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