ネットの『推し』とリアルの『推し』が隣に引っ越してきた
遥透子/秋乃える
べい
さん
(男性/30代)
総レビュー数:14件
このレビューはネタバレを含みます▼
登場キャラに声優やVtuberといった設定こそあるものの、話の流れとしては主人公の料理スキルとお人よしな性格で3人の女性から好意を持たれるというライトノベルやWeb小説では王道な流れで書かれている。
ただし、Vtuber文化について多少理解が必要。Vtuberとはどういったものかについては知っていることは勿論、コラボやゲーム配信についても多少知識が無いと読んでいながらイメージをすることは難しいだろう。
また、アイドル声優についても多少理解が求められる。声優はキャラに声あててるだけでしょうという認識だと「写真集?歌?」というようなズレが出てくる可能性がある。
構成については突っ込みどころが数点。
まず、大手Vtuber事務所に所属していながらあまりにも身バレを警戒しなさすぎな点。引っ越しをした初日にいきなり知らない人に身バレするという、活動していく中でかなりマズい状況であるにも関わらず危機感があまりにも無さすぎる。
次に、アイドル声優でありながら度数9%のアルコールを日常的に飲んでいる点。お酒を普通に嗜むくらいは喉への影響はほとんど無いが、度数の高いものとなると乾燥等により負担が大きくなる可能性がある。仕事へのリスクを考えないのか疑問。
その次に、途中から出てくる幼馴染について。可愛い女性の3人目として登場させたのかもしれないが、大学で美人で有名というだけの一般人である。しかも自分のことを棚に上げて主人公と自分以外の女性との関係にすぐ嫉妬したり問い詰めたりマウントを取ったりする。あまりにもヒールキャラすぎて可哀そうになる。
最後に、主人公について。色んなことを断らなさ過ぎて不誠実なキャラになっている。合鍵とか、付き合ってないなら最初から断れよって突っ込みたくなる。これでいざ誰かと付き合ったらどうなるんだよ。彼氏・彼女じゃない、好きだった人の家の合鍵とか呪物過ぎないか。
こういった作品は業界の有名人とたまたま仲良くなるという幸運についての話であり、「こういう展開が現実でもあればなあ」と思わせることに魅力があると思うのだが、幼馴染の存在によりそう思わせることも無くなってしまっている。題材が面白いだけに惜しい作品だといえる。
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