獣はかくしてまぐわう
」のレビュー

獣はかくしてまぐわう

沙野風結子/小山田あみ

巨悪・巨大組織との攻防、決着は次作へ

ネタバレ
2023年9月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1巻より犯罪にも組織にも踏み込んだ展開になっていて、興奮しました。特に、思いもかけない「内通者」の存在が浮上した時は、当事者でもないのにやたら色めきだってしまった自分に笑っちゃいました。
鹿倉がエンウの存在に対して「法治国家において正しいのか正しくないのかと問われれば、正しくはない。しかし必要か必要でないかと問われれば、必要だとしか答えようがない。警察や国のやり方では救えない者たちを救ってくれているのだ」と言っていて、悲しいし矛盾するかもしれないけど真理で、そういう不条理こそが社会の真実なのかもしれないと思いました。
世の中、善悪に始まり法律だモラルだルールだと規制や規範を作っても、必ず破る者や抜道を行こうとする者がいて犯罪がうまれる。ひとたび犯罪に巻き込まれれば、本人であれ家族であれ「目には目を〜」でしか救われない想いがあると思います。
その立場になったら、自分も「必要悪」に縋ってしまうかもしれない…エンウとは、そんな最後の砦のようなものではないかという気がしました。
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