このレビューはネタバレを含みます▼
まず、ありがちな高権力令嬢キャラと一線を画す主人公の魅力は圧巻。必要とあらば財力にも物言わせますが、締め括りはまったき正論。賢明で権謀術数に優れ絶対権力の使い方を弁えた主人公に惚れ惚れします。 ただ己の財や賢さ、権威を振りかざすだけの令嬢ではなく、異論を唱えるものに対し時に優しく諭しその矛先を華麗に下ろさせることもできる女性。ですが、彼女が懐に入れると決めたものに対して牙剥く者には徹底的に容赦はしません。 そんな主人公に完全同意できる物語です。 そして、こちらはネタバレになりますが、7巻の謁見の間での国王と伯爵とのやり取りは壮絶です。薄っぺらい感傷や上辺の覚悟など吹っ飛ばす国王の威厳。王たるものの威厳を実に素晴らしい表現方法で描き出しています。圧巻の尋問シーンは感動すら覚え、この物語の主人公を差し置いて国王様に一目惚れしました(笑) 昨今のイジメや犯罪などのニュースに見られるように、奪われ虐げられる側の深い悲しみや苦しみの重さに対し、奪い虐げる側の理由や思考などが、如何に自覚なく軽薄なものであるかを明確に描き出しているのも深く心に残りました。 勧善懲悪とは言いきれませんが加害者、被害者、どちら側の行く末も興味を引きます。とても続きが気になる作品です。
追記です。
19巻まで読了。
豪奢な外見と皇女という地位に胡座をかかず、毅然と振る舞う姿は変わらず惚れ惚れします。その生い立ちも生易しいものではなく彼女の強さとそこに巧妙に隠された弱さも垣間見えました。それを裏打ちし支えるのが“彼”なのだろうなと。
物語の冒頭で前座とばかり思っていた砂糖菓子ちゃんも、物語の伏線だったのだなぁと驚かされる作品です!
また、人物の魅力もさることながらドレスや装飾の美しさも見所でしょう。