捨てられおっさんと邪神様の異世界開拓生活 ~スローライフと村造り、時々ぎっくり腰~ コミック版(分冊版)
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捨てられおっさんと邪神様の異世界開拓生活 ~スローライフと村造り、時々ぎっくり腰~ コミック版(分冊版)

森貴夕貴/天野ハザマ

人間関係が一切ない。

ネタバレ
2023年9月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ キラキライキリ主人公じゃない点は好感持てる。
三十路のぎっくり腰なんかのバッドステータスがあるのもなかなか面白い。
おっさんが奮闘して村作りをするところも、どこかゲーム的な進行を見ているようで面白さはある。

だが、全体を通して神々としかやりとりしてない。
神を相手に人間関係物語が成立してないし、人間関係を描写したいなら、人智を超えた存在を相手にするのは無理がある。

読者に「神=人間的な情緒を持つ人間的な存在」と認識させて主人公との関係性を描くなら分かる。
だが、この作品では神々には権能があって超越視点から主人公を達観している。

だから「神=人智を超えた存在」なのに、「主人公が関わるのは神しかいない=人間的情緒のやりとりが一切存在しない」という欠陥構造。

他作品出して悪いが、例えば『ダンまち』や『このすば』の神々は、神という肩書きがあってもほぼ人間と変わらないから、人間と同じ苦悩や情緒が生まれ、共感が生まれる。
だから、主人公との関係に“(神と人でも)人との関係性”というものが生まれ描写される。

だか、この作品には“人との関係性”が一切ない。

言い方悪いが、人類を超越したAIと永遠に会話しているのと変わらん。
そこには「人との関係性」がない。

詰まるところ、この作品は、会話相手は人間感情を持たないAIしかいないという環境下で、AIの指示で村を作るおっさんの物語と変わらない。
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