CURE BLOOD
」のレビュー

CURE BLOOD

戸ヶ谷新

こんなに泣かされるとは…

ネタバレ
2023年9月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ お初の作家さんです。
吸血鬼ものが読みたくて積読の中からこちらを読みました。
後半はずっと胸が苦しくて涙が出ていました。
やはり吸血鬼となると普通の人間とは違って寿命が長くなってしまい、一緒にいた人を見送る立場になってしまうのが辛いなぁ…
触れ合うことも、キスシーンさえもない2人ですが、間違いなくそこには愛があったんだなぁと感じます。

先輩医師の十字×なぜか吸血鬼に変貌した新人医師の忠雪。
突然体が変わってしまった忠雪、先輩の十字にもっと頼れと言われ部屋に着いて行った時に、吸血衝動に駆られて十字を襲ってしまいます。
それから十字は忠雪が心配でカルテを偽造し血液を確保してくれ、さらに直接血を分け与えてくれることに。
そこから、十字と忠雪が一緒に生活するようになるストーリーです。
どちらも医者ということで、自らの体を実験台にしたり、血液や唾液のサンプルで研究したり、体が吸血鬼に変わったことをしっかり社会貢献に役立てようとしているのは興味深かったです。悲観とかじゃないんだな、と笑ってしまいました。
ラストの十字の看取りシーンは泣けました。忠雪が亡くなる時の言葉も泣きました。
十字は先に亡くなることがわかっていて、何であんな冷たい言葉を残したのか。忠雪の為を思って言っているのはわかるけど、忘れるなんてそんなことできるわけなくて涙が止まりませんでしたね。
老いない忠雪が不審がられないために同じ人と深く長く付き合うことはできない中で、唯一ずっと側で支えてくれた十字。忠雪の人生の後半、半分以上は十字との生活です。そこには、愛が確かにあったんだなと思うとまた泣けてきます。
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