パラスティック・ソウル
」のレビュー

パラスティック・ソウル

木原音瀬/カズアキ

心を抉る

ネタバレ
2023年9月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 愛。愛する気持ちとは、一体なんなのか。形がないから形にしたい。見えないけれども、そこにある。願いが叶うと言う小さな丸いクスリ。手に入れた4人の物語は大きなうねりで一つにつながっていく。マッドサイエンティストとビルア種の青年。タイトルに現れてます。八尋たちの近づき方が切ないけれど少しずつもう一度近づいていく温かい温度を感じるのです。願いが叶う薬は八尋とジョエルを強く結びつけました。芭亜斗とライヴァンの長い長い物語。ライヴァンが愛を感じるようになって、選び取った結果。そればハイビルアにとっては敗北に見えるのかも知れませんが、互いに支え合っていた2人なのだから、当然の帰結。2人のデレが甘くないんだけどちょっと甘さを醸し出す感じに読んでる方がニヤニヤしてしまう…。ニコラスとジョンはもう、なんと言っていいか。犬として生きていくと言う決意が泣けてきます。ミアとスタンリーはずっと幸せに生きるに違いない。ミアの知るプラチナブロンドの美しい猫が一番怖いです。ハルは愛を選んだために生き地獄を体験し、絶望します。愛とはなんなのか。愛することって…。心のありか、心とは。どの物語も心を抉るシーンがありますが、先まで読ませる流石の木原作品。一気に読む事をお勧めいたします。読了後の達成感が凄まじいです。カズアキ先生のイラストがとても素敵です。
いいねしたユーザ3人
レビューをシェアしよう!