北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし
」のレビュー

北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし

白樺鹿夜/江本マシメサ/あかねこ

読み応え抜群な一作。

ネタバレ
2023年9月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ “辺境の雪男”と女性たちから敬遠される雪国の領主・リツハルドが夜会で一目惚れしたのは、“紅蓮の鷲”との異名を持つ元エリート軍人・ジークリンデ。
突然のプロポーズから始まる物語ですが、戦争も終わり平和になった世の中でどう生きればいいのかわからなくなっていたジークにとって、半年間雪に覆われている過酷な環境の「辺境の国(レヴォントレット領プル・カンガス村)」での生活は新しい自分の在り方を模索する…そして互いの良し悪しを知った上で結婚したい、その為のまずは一年間のお試し婚。

侵略の歴史を持つカンガス村の人々(主に年配層)から異国人として疎まれながらも、一人一人と向き合い打ち解けていくジークの姿を見て、みんながみんな異国人嫌いではないことを知りまた一つ、新たな夢を見つけるリツとの互いに刺激し合う静かであたたかな関係性がとても素敵で…
報告書のような内容から少しずつ変化していく交換日記にもジークの誠実さがよく表れているのですが、軍人としての経験があるからこそ、ここでの生活に順応していく姿とそんな彼女を愛しく想う3つ歳下のリツ…ゆっくりと距離を縮めていく2人の様子にほっこり優しい気持ちになれます。

仕留めた獲物の保管・解体や保存食作り、極夜に向けての備えや民芸品ひとつを作るにも時間のかかる丁寧な作業風景は大変興味深く、読んでいて満足感ある作品。
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