四谷区花園町
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四谷区花園町

高浜寛

美しくて優しくて愚かな市井の人々

ネタバレ
2023年10月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 新宿大通りを一本はいったあたりの、四谷区花園町。大正の終わりから昭和にかけて、人生を駆け抜けた市井の人々の自由な熱気にあてられ、身体の火照りが消えてくれません。
花園町で友と青春を謳歌し、恋を知り、時代に翻弄されつつも愛する人と共にいる喜びを噛みしめ、大切な人を守るために決断する、至心(イシン)という魅力的な男性の半生。一度きりの人生、好きなことをして楽しく生きた方がいいと、短いながら全力で生きた人生の追体験は、美しくて優しくて愚かで、胸がいっぱいになりました。
いのちをつないで、今の自分がある。どうしようもなく、日本人であることも意識しました。
一巻通して日本の湿度感が感じられる絵。
そして、至心とあきちゃん、お互いを描いたデッサンが違和感なく二人の部屋に飾ってあって、目が釘づけになりました。高浜先生、天才だなぁ。
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