月魚
」のレビュー

月魚

三浦しをん

古書に魅せられ囚われた男性達の話◎

ネタバレ
2023年10月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ しをんさん買いの数年ぶり再読です。

主人公は兄弟同然で育った本田家・瀬名垣家の息子二人。
老舗古書店三代目店主真志喜(24)と、
古書界で嫌われる'せどり'を父に持つ瀬名垣太一(25)

十二歳の時のある出来事が二人の絆にも壁にもなり、
負い目と罪悪感の奥に隠すものが静かに語られる話◎

人物描写や表現がとても好き。蔵書を通して依頼人の故人への深い愛情を感じる表現や、真志喜達の関係も同様で直接的で無くても互いへの想いが透けて見える表現の数々の甘さにドキリとしたり。
タイトルの由来が判明するシーンも美しかったです。

あと古書業界がとても興味深い◎
販売形態や買い付けのルール、書物へのリスペクトなど。
身近な本の知らない世界を教えてくれるのも小説。

◇2話目もイイ◎先生視点の夏の夜の幼馴染四人の話。
先生の故郷の描写が神秘的◎
◇書き下ろしは二人の関係性がちょっと明確に笑
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