もののがたり
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もののがたり

オニグンソウ

幾つもの縁が紡ぐ魂の物語

ネタバレ
2023年10月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 現代京都を舞台とする人間対付喪神のバトルアクションファンタジー。
付喪神を取り締まる「賽眼」岐家次期当主の兵馬と付喪神が集う長月家の主ぼたんが同居するところから、物語が大きく動き出します。
「婚礼調度」と呼ばれる長月家の付喪神達はその名の通り嫁入り道具一式を器とし現世に顕現しました。ぼたんを大事に育て良縁を願うとても優しくて強い神様達です。もうこの設定が見事にぶっ刺さりまして、1巻を試し読みした時点で即全巻購入しました。(現在3巻まで無料試し読みが出来ます)

バトルシーンや主要人物各々の武器や技がカッコイイのは勿論の事、作画も見やすく綺麗。特にコマ割りと回想が挿入されるタイミングが絶妙だと思いました。
12巻の「ぼたんがある行動をした事を告げられた時の婚礼調度達の反応」と15巻の「兵馬が兄姉の形見の武器で敵の攻撃を閉じ返す」場面が特にお気に入りです。

物語中盤以降はぼたんの中に眠るモノを巡り、本当につらくて厳しい戦いの話が進行していきます。様々な思惑や罠が絡み合い戦況は悪化していくばかりで正直読んでてとてもしんどいものがありました。9巻あたりからずっと泣きながら読んでましたね。最終巻の表紙が最大のネタバレをしているのでそれを目指して一気に読み進め…られた訳ではなく、感情移入し過ぎて先に進めない場面がいくつもあって辿り着くまでかなり時間がかかりました。それくらい話に引き込まれましたし没入してしまったのです。

一進一退の戦況を打破するのは強く結ばれた縁の力でした。定番と言ってしまえばそれまでですが、読んでるこちらまで闇堕ちしてしまいそうな状況にこそ王道パターンは心強く胸が熱くなる展開でした。
本当に素晴らしい心が震える作品に出会えた事に感謝します。
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