おかえりアリス
」のレビュー

おかえりアリス

押見修造

尻すぼみに感じましたね。

2023年10月8日
起承転結の、「起承」までのインパクトはなかなかのものでしたが
終盤に向かうにつれ、押見先生の独白の部分が色濃く現れすぎて、エンタメとしては求心力を失っていったように思います。
テーマとして考えさせられるものであり、己の性に真正面から向き合って苦しんでこられた押見先生の苦悩は計り知れませんし、それをこうした形で表現しようとされたことは尊いことだと思います。
ですので、これはある種の自伝本のようなものかなと思います。
登場人物はそれぞれが押見先生自身であり、見えないゴールを求めて迷い、悩む姿も押見先生そのものであったのだろうと思います。

そういった視点で見れば、内容の濃いものだとも言えますが、ごく個人的な感想を言うなら、読者を置き去りにしている節があるのではないかな、という感じです。
もともとテーマが難しいので仕方ないですが、登場人物に感情移入出来るかどうかで、この作品にのめり込めるかどうかが大きく変わりそうです。
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