毒王は棘姫を寵愛する
」のレビュー

毒王は棘姫を寵愛する

ARUKU

恋の代弁者のような作品

ネタバレ
2023年10月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ その人のことを一日中考えてしまうとか、傷つくのが怖いからあまり好きになり過ぎないようにしようとか……分かる〜っと思いながら読んでました。

作家買い。
他人に触れられると激痛が走る奇病を持つ会社員(受け)が、何故か毒物研究をしている准教授(攻め)にだけは、触れられても痛みを感じないことから始まるラブストーリー。

受けが可愛い女の子に見えたりでろでろに甘えたりしてるのが気になるけど、それ以上に実は攻めは人を愛したことが無くて、受けが火災に巻き込まれて失ってたかもしれないと気付いた時にようやく好きなことに気付く……やっと終盤で月をバックにして受けがずっと待ち望んでた「好き」と言ってくれたこの場面が切なくてグッと来た。ここまで溜めてたんだから簡単に言う「好き」とは重みが違いますよ。

ラスト准教授の席を投げ打って、寂れた病院に受けに会いに来た攻め。今まで人と触れ合うことで痛みを感じ孤独だった受けと、人を愛したことが無かった攻めの2人の恋が、愛に昇華して対等な関係になったように見えて凄く良かった。受けの想いが報われた気がした。

また、ARUKU作品定番の童話みたいなラストの文章も良いんだよなあ。あと、ナイスアシストの助手くんも!
安定の買って良かったです。
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