君が死にたかった日に、僕は君を買うことにした
」のレビュー

君が死にたかった日に、僕は君を買うことにした

成東志樹

愛って何?

ネタバレ
2023年10月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ タイトルに引かれて読みました。「透過色彩のサイカ」が元のタイトルで、第29回電撃小説大賞 選考委員奨励賞受賞作品です。前章は「透過色彩の災禍」で後章は「透過色彩の歳華」、歳華とは年月のこと。君の時間を月20万円で買わせてくれない?ー病気の母親を亡くし、借金を背負って働く坂田史宏は高校2年生ですが学校に通えておらず、そんな史宏に良家の子息 西川香月は同じ大学に進学して友人として振る舞うことを条件に資金提供を申し出ます。家庭的に恵まれない子供の不安定な境遇が多く書かれていて胸が詰まるような気持ちがして泣けました。この契約の裏にあるものに意外性がなく、湿っぽくならずに淡々としていてよかったような、物足りなかったような、何か香月に向けての言葉でもあればよかったように思いますが、その必要はなかったのかもしれません。年を経ると香月の思いが文宏にもっと届くような気がします。
2023年7月 総174ページ 挿絵なし
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