このレビューはネタバレを含みます▼
この物語は大蛇と娘の異種婚姻譚だけではなく、ミヨとハツミという対照的な2人の女性の運命を描いているようにも見えるし、大蛇を象徴とする大自然と人間世界の相容れない対立を描いている壮大な叙事詩のようにも見える。
ミヨとハツミは両者とも父親が酷い死に方をして、その真相を長い時間をかけて追求して行くのだが。
彼女達の娘や夫に、その運命のようなパターンが引き継がれていかれはしないか?という不安を抱かずにはいられない。
そんな読み手のハラハラドキドキする心理を手玉にとるような作者の物語運びの上手さや、時おりはさまれる美しくも物悲しい自然の情景描写が素晴らしい。