王様と幸福の青い鳥
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王様と幸福の青い鳥

六青みつみ/花小蒔朔衣

相手の幸せを願う純粋で清らかな心に感動

2023年10月12日
今回もいいお話でした。先生の作品は、原作漫画も小説も泣かなかったことがないくらい全部泣けます。でもどれ一つとして似たようなのはないし、どれも良いですね。今回は、受けちゃんが純粋無垢で素直で健気…なので、救いようのない心が凍えるほどの悲しみ・苦しみはなかった気がします。
途中、起承転結の「転」で罠に嵌ってしまった時は、教会サイドの人間以外は悪意がなく、ただ忠義心から出た行動だけに責めどころを失って辛かったです。悪気のない善意が、時に凶刃となって斬りかかり、命取りになるほどの傷を負わせる事もあるのだなぁと、やり切れない気持ちになりました。
そんなやるせなさをも乗り越え、最後はイリリアの真っ直ぐで澱みのない愛情が頑ななレグリウスに降り注ぎ、凝り固まった心を解きほぐしていったのだと思います。
2巻は、登場人物それぞれから見た視点変えストーリーの短編集といった感じでした。
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