このレビューはネタバレを含みます▼
個人的には、胸糞というほどでもなかった。
「子供同士のいじめと親の問題」ではなくて、「集団化した人間の怖さ」が随所に描かれていて…不適切かもしれませんが、面白かったです。
『悪者を懲らしめようとする』ネットの住人、『悪者退治』をしようとする保護者会、
そして小春ちゃんが虐められる前にしたことを知らないまま愛ちゃんを『悪者』として無意識に見てしまっていた私含め読者達も、その集団の一人なんでしょう。
勿論、気に入らないことをされて周囲をイジメに参加するように焚きつけた愛ちゃんは悪い子です。学校の対応の遅さも。
でも小春ちゃんママがやったこともイジメであり集団をたきつける行為でもあった。多分愛ちゃんも同じだったと思います。はじめは些細な『あの子嫌なんだよね』という「他者からの肯定」が欲しかっただけなのに。
小春ちゃんママがやったことは、イジメをしていた愛ちゃんと同じことだった。
だから小春ちゃんは途中から話さなくなったんじゃないかなと思い至ってなんというか、面白かったです。
保護者会でも『悪者退治する側だと思っていたら、自分も悪者側になるかもと知った瞬間焦って阿鼻叫喚の騒ぎになる』というのも皮肉が滅茶苦茶に利いてて良かった。
中立の立場になることの難しさといいますか『悪者を懲らしめようとする集団=新たな加害者』にならないようにする難しさを叩きつけられた気がします。